冬になると、よく見かける焼き芋屋さん。最近は、スーパーやコンビニにも焼き芋コーナーがあり、ファンが多いことがわかります。
あったかくて、甘くて、ほっこりしますよね。
さつまいもは便秘解消によいと言われて久しいですが、食べ方を間違えると、効果が半分ぐらいしかなかったり、むしろ便秘が悪化してしまうこともあります。
人によっては、あんまり食べ過ぎないほうが良い場合もあるので、その理由を知っておくことはとても大切です。
今回は便秘解消にさつまいもが効く理由とその効果を高めるコツ、そしてむしろ逆効果になってしまうケースについてまとめてみました。
便秘解消にさつまいもが効く理由
サツマイモは中央アメリカが原産地と言われる、イモ類に分類される食物です。
寒さに弱い傾向にありますが、土壌が豊かな地域でなくてもおいしいサツマイモができるので、日本では江戸時代から栽培され、私たちの食を担ってきました。
さつまいもの産地としては鹿児島県が有名ですが、今も比較的暖かいところで栽培されていますよね。薩摩の国から栽培が始まったので、「さつまいも」と呼ばれるようになりました。
そんなさつまいもですが、便秘解消のためによい食材の代表のように扱われています。なぜ、さつまいもは便秘解消によいのでしょうか?まずはその理由をまとめてみました。
小腸での消化吸収速度が遅い
さつまいもの主成分は、でんぷんでお米や小麦に含まれる糖質の一種です。
しかし、さつまいもの糖質は米や小麦に比べると、腸で消化、吸収されるスピードが遅いという特徴を持っています。
消化吸収が遅いということは、糖質がゆっくりと吸収されるということ。
消化が遅いと、入ってきたものをしっかり消化しないといけないという力が働いて、腸のぜん動運動が活発になります。この腸のぜん動運動の変化が腸から内容物を押し出す力として働いて、便秘解消につながるんです。
また、この消化吸収が遅い糖質は、満腹感を得やすくなる働きを持つ「GLP-1」というホルモンの分泌を促してくれるので、お米やパンよりも早くお腹がいっぱいになり、ダイエットにつながる可能性もあります。
もちろんお腹いっぱいなのに、体からでるサインを無視して食べ過ぎちゃったら意味ないけどね。
不溶性食物繊維がたっぷり
日本食品標準成分表によると、さつまいもの不溶性食物繊維の量は、お米やじゃがいもよりもかなり多くなっています。
じゃがいも 0.7g/100gあたり
米(うるち米) 0.6g/100gあたり
参考:日本食品標準成分表
食物繊維には「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があり、腸内環境を整えるためには、両方を良いバランスでとることが大事で、水溶性食物繊維:不溶性食物繊維を1:2でとるのがベストなバランスだと言われています。
水溶性食物繊維
=水に溶ける食物繊維
=腸内細菌のえさになる
=ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸など
不溶性食物繊維
=水に溶けない食物戦
=便の量を増やし、腸を刺激し、腸のぜん動運動を促す
=セルロース、キチン、キトサンなど
不溶性食物繊維の量が多いさつまいもは、便の量を増やして、腸のぜん動運動を促してくれるため、便秘解消に役立ちます。
独自成分「ヤラピン」が腸の動きを活発に
お料理をする方は見たことがあるかもしれません。さつまいもを包丁で切ると、白っぽい液体が染み出てくることがあります。
これが「ヤラピン」という成分で、糖脂質の仲間です。
ヤラピンはサツマイモの独自成分で、便を柔らかくしたり、腸のぜん動運動を活発にしてくれる効果があります。
食物繊維や消化スピードだけではなく、このさつまいもの独自成分であるヤラピンが便秘解消効果を高めてくれています。
ビタミンCで腸のパワーチャージ
抗酸化作用があり、美肌や免疫力の向上に役立つと言われているビタミンCですが、サツマイモにもたくさん含まれています。
特にさつまいもに含まれているビタミンCは、大量のでんぷん(糖質)に保護されていることから熱に強いのも特徴です。
このビタミンCにも腸のぜん動運動を活発にして、便を速やかに排泄してくれる効果があると言われています。下痢気味の方は、ビタミンCは採り過ぎないようにしたほうが良いと言われるほどの効果が期待できます。
さつまいもには、腸のぜん動運動を促したり、便を柔らかくしてくれる成分がたくさん入っていることがお分かりいただけたでしょうか?
不溶性食物繊維が多く含まれている
ヤラピンと言われる糖脂質が多く含まれている
ビタミンCが多く含まれている
しかも、さつまいもの便秘解消効果をもっと高める方法があると言われているのをご存知ですか?
それが最近話題の炭水化物「レジスタントスターチ」です。
便秘解消効果を高めるには?
さつまいもの主成分はでんぷんと呼ばれる糖質であることをお話しましたが、このでんぷんの中には「難消化性でんぷん=レジスタントスターチ」という、なかなか消化しないで腸まで届くでんぶんが含まれています。
レジスタントスターチとは?
まずはウィキペディアでレジスタントスターチを調べてみましょう。
参考:ウィキペディア
レジスタントスターチは、難消化性であるため、腸までそのまま届きます。そして、腸にいる善玉菌のえさになり、腸内環境を整えてくれると言われています。
実はこのレジスタントスターチは、さつまいもの中にもたくさん入っていて、特にさつまいもを冷たいまま食べると、レジスタントスターチの量がふえることがわかっているのです。
一度加熱したさつまいもを、冷やしてから食べると、レジスタントスターチが増えます。焼き芋の場合は、焼き芋にした段階で一度加熱していますから、それを常温に冷やして食べることで、便秘解消効果がアップすることがわかっています。
便秘解消効果アップレシピ「サツマイモ入りヨーグルト」
さつまいもを温かいまま食べるのもとてもおいしいのですが、便秘解消効果を狙うのであれば、冷やしてから、レジスタントスターチを増やして食べるのもお勧めです。
ヨーグルトに入れて食べると、歯ごたえがアクセントになりますし、冷たくてもおいしいさつまいもが味わえるし、さつまいもの甘さではちみつなどの甘味料が少なめでもおいしいのでおすすめです。
プレーンヨーグルト:適量
冷たい焼き芋:1/3本
はちみつ 適量
冷たい焼き芋をさいころ状に切って、ヨーグルトに入れ、はちみつで味を調整するだけの手抜きレシピです。
でもヨーグルトだけよりも食べ応えがあって、満腹感が続くので、ダイエット中の方にもおすすめですよ。
便秘解消にさつまいもが逆効果になる理由
これだけ便秘解消によいとされるさつまいもですが、実は食べ過ぎると、逆に便秘になるという報告が後を絶ちません。
その理由はいったいなんなのでしょうか?
不溶性食物繊維の採り過ぎは危険
腸の調子が比較的よくて、そんなに便秘や下痢にならない方なら良いのですが、長い間腸に便が溜まっていたり、腸のぜん動運動が弱いために便秘を引き起こしている方は、注意が必要です。
なぜなら便のかさを増やし、腸のぜん動運動を促進するはずの食物繊維は、採り過ぎると便が増えに増え、詰まってしまうことが考えられます。
より強いぜん動運動が必要なのですが、腸が疲れていると、そのぜん動運動も起こりにくく、ただただ詰まるだけに・・・。
体質にもよりますが、私もさつまいもを食べ過ぎるとひたすら詰まってしまうことが多いので食べ過ぎないようにしています。自分の腸の性質を見極めることがとても大事ですよ。
便秘解消に逆効果にならないために
さつまいもを食べて便が詰まってしまうことがあるみなさんに特に注意してほしいのは、水分の採り方です。
実は、便秘解消に大切なことの1つに水分の採り方があります。さつまいもは食物繊維がたくさん含まれているので、特に水分を十分に採らないと、お腹の中で固くなってしまいがち。
便秘の方で、意外と水分を多くとるようにしたら自然と治ったという方もいるぐらいなので意識して水分をとることを心がけましょう。
朝起きたらまず1杯の水を飲みましょう。
まとめ
さつまいもには腸のぜん動運動を促すたくさんの理由がありました。そのため、便秘解消効果は抜群です。
不溶性食物繊維が多く含まれている
ヤラピンと言われる糖脂質が多く含まれている
ビタミンCが多く含まれている
そして、もっと便秘解消効果を高めたいと思ったら、冷たいさつまいもを食べるのがベスト。冷やしたさつまいもは、難消化性でんぷんのレジスタントスターチがたくさんふくまれているからです。
腸が疲れている方やすでに便秘の方は、食べ過ぎないようにして、自分の腸内環境の様子を見ながら食べることが必要ですが、気になる方はぜひ試してみてくださいね。