酢キャベツを毎日たべるだけでOKという、「酢キャベツダイエット」。
簡単に作ることができ、作り置きおかずとしても使いやすい、そして、おいしいという理由から、テレビや雑誌などのメディアにも注目されていました。
流行り始めたのは、数年前ですが、かなりのロングセラー。
未だにダイエット食として、そして便秘予防のための腸活食として人気なのには、理由があります。
今回は「酢キャベツダイエット」がなぜ人気なのか、その科学的根拠と効果をまとめてみました。
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酢キャベツとは?
「酢キャベツ」は、キャベツをお酢で漬けた漬物です。
①キャベツを千切りにする
②千切りにしたキャベツを塩で軽くもむ
③塩もみしたキャベツをお酢に1晩つける
なんとなく酸っぱそうですが、意外とそうでもなく、付け合わせにピッタリ。酸味が苦手な人は、ちょっとヨーグルトを足すのもおすすめです。まろやかになって、とても食べやすくなりますよ。とてもかんたんに作ることができて、塩と酢につけてあるおかげで腐りにくく、日持ちします。
酢キャベツは、酢とキャベツからできています。
そして、こう置き換えることもできます。
酢に含まれる酢酸と、キャベツに含まれる水溶性食物繊維、そして不溶性食物繊維が、私たちの腸を元気にし、痩せやすい体を作ってくれます。
酢酸とは?
酢酸は食酢の主成分として知られる有機化合物で、わたしたちの腸内環境のバランス調整してくれます。
=酢(食酢)の主成分として知られる有機化合物
=腸内を酸性に保ち、腸内環境を整えてくれる
お酢などから摂取することもできますが、わたしたちの腸内にいる腸内細菌たちも酢酸を作ることができます。
酢酸はヒトにとってとても大切な成分です。腸内環境を酸性に保ち、悪玉菌が増えすぎないように調整してくれます。それだけではありません。小腸を元気に働かせる役割も担っています。
小腸の大きな役割のひとつに「免疫」があります。免疫は体の中に入れるモノと入れないモノを判別します。
そして、入れないと決めたものについては、入ってきた場合に攻撃して排除したりもします。
これを「免疫力」と言います。
=自己と非自己を区別し、異物が侵入しても、それに抵抗する力
風邪やインフルエンザ、そしてコロナなどのウイルス性の病気から身を守ることができるのは、この免疫細胞が正常に働いているからです。免疫細胞の働きを助けるものとして「酢酸」はとても優秀です。
酢酸と免疫力
2019年に東大の医科学研究所などを含むチームが発表したマウス実験(※1)をご紹介しましょう。
この実験では、インフルエンザウイルスへの免疫反応が低下したマウスに酢酸を投与しました。すると、マウスの小腸が元気に動き出し、免疫力が回復したというのです。
↓
酢酸などの短鎖脂肪酸を投与
↓
インフルエンザウイルスを排除する免疫反応が回復
酢酸には、こんな栄養ドリンクのような力があります。
酢酸とダイエット
2009年にミツカンが発表した研究結果(※2)をご紹介しましょう。
この実験の対象者は、少しぽっちゃり気味(BMI:25-30)の104名。
対象者に12週間、お酢ドリンクを飲んでもらいました。
頻度:毎日、朝晩2回に分けて飲む
すると、以下のような変化がありました。
内臓脂肪:4.9%減
体重:1.6%減
腹囲:1.5%減
BMI:1.5%減
血中中性脂肪:18.2%減
なんと内臓脂肪は5%近くも減りました。お酢だけでもある程度の効果があります。しかし、もっと効果を高めるには、腸内細菌にエサをやり酢酸を作ってもら方法があります。
食物繊維と腸内細菌
酢キャベツは、酢酸自体はもちろん、酢酸を作ることができる菌のエサも同時に摂取することができるという点でとても優れています。
キャベツは食べやすいし、いろいろな料理に組み合わせやすい、
そして、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維のバランスがよいのも特徴のひとつ。
食物繊維がたっぷり含まれたおかずは、腸内環境を整えるのはもちろん、血糖値の急上昇をおさえて、太りやすくなるのを防いでくれます。
2010年に城西大学が発表した研究(※3)によると、酢キャベツは血糖値の上昇をおさえることがわかっています。
被験者:
10名の健康な人
内容:
以下の2パターンで食事をし、どっちが血糖値が上がるか測定する。
1:米を食べたから酢キャベツを食べる
2:酢キャベツを食べてから米を食べる
結果:
1:食後からすぐ血糖値があがり、食後30分でピークになる
2:食後から60分まではゆるやかに血糖値が上がり、その先はあまり上がらない
酢キャベツダイエットは、腸内環境にも優しく、痩せやすいだけじゃなく免疫力を強化してくれるすばらしいダイエット法でした。
参考にしてみてね。
ばいばいきん。
参考:研究結果&論文等
https://www.pnas.org/content/116/8/3118
Vinegar Intake Reduces Body Weight, Body Fat Mass, and Serum Triglyceride Levels in Obese Japanese Subjects
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19661687/
Glycemic Index 食の摂取順序の違いが食後血糖プロファイルに及ぼす影響
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/53/2/53_2_96/_pdf
※この内容は、診断・治療または医療アドバイスを提供しているわけではありません。あくまで情報提供のみを目的としています。
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