【この記事で解決できるお悩み】
・白味噌とは?
・白味噌の特徴や作り方を教えて!
・赤味噌や西京味噌との違いは?
この記事では、こんなお悩みを解決します!
まっしろな見た目と甘みが特徴的な白味噌。
関西の人にとってはなじみ深いかもしれませんが、全国的に日常使いしている地域は多くありません。
あまり知られていないかもしれませんが、白味噌には料理をおいしくするだけでなく、GABAなどの有効成分も多く含まれ、リラックスさせてくれるスゴイ効果も。
そこで今回は、白味噌とはどんな味噌なのかを徹底解説!
赤味噌や西京味噌との違いも整理してみました。
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この記事を書いた人:
腸活研究家 長谷川ろみ
発酵食品にハマり、ダイエットなしで12㎏減。痩せたことをきっかけに腸を愛でる生活に目覚める。重度の便秘から解放され、腸活研究家として活動開始。今では発酵ライフ推進協会通信校校長を務め、昔の自分と同じ悩みを持つ方に向けて腸や菌のおもしろさを発信中。詳しくはこちら
白味噌とは?
白味噌とは、いったいどんな味噌なのでしょうか?
一つずつ整理していきましょう。
味噌の種類
味噌は、その色や塩分量、麹歩合(麹の割合)によって、分類することができます。
色:赤味噌、淡色味噌、白味噌など
塩分量:甘味噌、甘口味噌、辛口味噌
麹歩合:辛口(麹歩合が低い)、辛口(麹歩合が高い)
味噌っていろんな分け方がありますよね。中でも白味噌は、見た目が他の味噌と全く違って、個性的!
白味噌の原材料
白味噌の最大の特徴は、その色が白いこと。
色が白いということは、メイラード反応と呼ばれる化学反応があまり起きていないことを意味します。
メイラード反応
=加熱や発酵により、糖とアミノ酸が反応し、褐色物質「メラノイジン」などができること
褐色物質「メラノイジン」は、抗酸化成分のひとつで老化予防にもなると言われているよ。詳しくはこの記事も読んでみてね。
白味噌は、大豆と麹からできている点は、他の味噌と同じです。
しかし、その作り方の工程が他の味噌とは大きく違います。
白味噌の作り方
白味噌は、大豆などの材料に含まれているタンパク質を、極力減らしながら作ります。
そのため、アミノ酸が少なく、糖との反応が起こりにくくなっています。
だから、褐色物質の「メラノイジン」が少なく、色が薄いんです。
具体的なタンパク質の減らし方は、以下のとおり。
1:大豆の準備と煮込み
大豆は皮をしっかりむき、長時間煮込む。
長時間煮込むことで、水にタンパク質が逃げていく。
2:米麹の準備と混ぜ方
大豆に混ぜる米麹は、フードプロセッサーなどで細かくするのが主流。
色を白く仕上げるために熟成期間を短くすることを見越して、発酵しやすくするために細かくする。
3:発酵時の温度や熟成期間
ゆであがった大豆はsっかり冷めてから粒をつぶして、発酵しやすく。
熟成期間は短めで、家庭で作る味噌なら1週間後から食べられる。
各工程でタンパク質を減らして、色をつけない工夫をして作るんです。
地域による味噌の違い
白味噌は主に広島県や香川県、近畿地方などの関西圏で好まれています。
関東では、あんまり食べたことがない人もいるかもしれないけど、普通の米味噌とは全く別物だから一度食べてほしい!
塩分は5%程度と少なく、麹歩合は高め、そして1週間~2週間で熟成させる短期熟成型の味噌です。
同じ白味噌でも、白味噌の中でも、各地方によって呼び方が違います。
西京味噌(京都府)
=王朝時代の貴族たちの嗜好から生まれた味噌
讃岐味噌(香川県)
=12世紀に讃岐に流された崇徳上皇が京から持ち込んだ説あり
府中味噌(広島県)
=政治経済の中心だった府中市で生まれた味噌は、西京味噌より歴史が古いと言われている
文化が生まれるところには、必ず味噌があると言っても過言ではありません。
白味噌と赤味噌の違い
白味噌と赤味噌の一番大きな違いは、その名のとおり、見た目の色です。
しかし、根本的ないちばん大きな違いは、やはり作り方です。
白味噌がタンパク質を極力残さないように作られるのに対し、赤味噌はなるべくタンパク質を材料の中に閉じ込めたまま、発酵工程に持ち込みます。
例えば、大豆はゆでるのではなく蒸す、熟成期間を長く見積もるなどなど…。
熟成期間が長いので、腐敗を防ぐために赤味噌は塩分を多く入れることになり、麹歩合も高くなります。
白味噌の特長
白味噌の大きな特徴は、以下の3つです。
一つずつ見ていきましょう。
メイラード反応が弱く、色が白い
白味噌は、白っぽいクリーム色をしています。
普通の味噌(合わせ味噌):薄い茶色~濃い茶色
白味噌:黄色~クリーム色
普通の味噌(合わせ味噌)は、熟成期間が長く、その間に味噌の中に含まれる糖質とアミノ酸が反応し、メイラード反応が起こります。
メイラード反応
=糖質とアミノ酸が化学反応を起こし、褐色成分が増えること
普通の味噌(合わせ味噌)は、タンパク質が多く含まれているので、メイラード反応が起きやすく、また熟成期間も長いので、徐々に茶色っぽく色が変わり、メラノイジンという抗酸化成分が作られます。
一方、白味噌はタンパク質も少なく、熟成期間も短いのでメイラード反応が起こりにくく、褐色成分は作られにくくなります。
麹歩合が高く、甘い
麹歩合とは、味噌の米の割合と大豆の割合の質量比のことを言います。
麹歩合
=米の割合と大豆の割合の質量比
白味噌は一般的に大豆を少なく、米麹を多く使う味噌で、その割合は15~30%です。
普通の味噌(合わせ味噌):10%前後
白味噌:15~30%程度
米麹が多いということは、米に含まれているでんぷんが多いということ。
でんぷんは、麹菌の発酵によって、オリゴ糖やブドウ糖に分解されるため、糖が多い味噌になり、甘く感じます。
この甘さが理由で、白味噌は「甘味噌」と呼ばれることもあります。
三条若狭屋の祇園ちご餅
— monpul@京都移住 (@monpulmonpul1) July 7, 2023
やわらかな求肥の中に甘い白味噌餡♪#京都 #和菓子 pic.twitter.com/st0Apb1I8w
塩分が少ない(5%前後)
白味噌は、塩分量が少ない味噌です。
普通の味噌(合わせ味噌):10~13%前後
白味噌:5~6%程度
だから塩分ひかえめを意識している人や高血圧の方にも人気の味噌なんです。
白味噌の塩分量が少ないのは、発酵&熟成期間が短いからです。
通常の味噌は、発酵・熟成期間が長く、その間に腐らないようにするために腐敗菌が嫌いな塩を多く混ぜる必要があります。
しかし、白味噌は熟成期間が短いため、少しの塩分でも製造が可能です。
塩の量は、熟成期間にも関連があるんです。
タンパク質を残さない独特な製造方法と栄養価
白味噌は、普通の味噌(合わせ味噌)と比べると、タンパク質が少なく、炭水化物が多い味噌です。
食品成分データベース(日本食品標準成分表2020年版)によると、その成分は以下のとおり。
成分名 | 白味噌 | 合わせ味噌 | 赤味噌 |
---|---|---|---|
エネルギー(kcal) | 206 | 182 | 178 |
たんぱく質(g) | 9.7 | 12.5 | 13.1 |
脂質(g) | 3 | 6 | 5.5 |
食物繊維総量(g) | 5.6 | 4.9 | 4.1 |
炭水化物(g) | 37.9 | 21.9 | 21.1 |
ナトリウム(mg) | 2400 | 4900 | 5100 |
カリウム(mg) | 340 | 380 | 440 |
カルシウム(mg) | 80 | 100 | 130 |
マグネシウム(mg) | 32 | 75 | 80 |
リン(mg) | 130 | 170 | 200 |
鉄(mg) | 3.4 | 4 | 4.3 |
亜鉛(mg) | 0.9 | 1.1 | 1.2 |
銅(mg) | 0.22 | 0.39 | 0.35 |
ヨウ素(μg) | ー | 1 | 1 |
セレン(μg) | 2 | 9 | 8 |
クロム(μg) | 2 | 2 | 1 |
モリブデン(μg) | 33 | 57 | 72 |
ビタミンK(μg) | 8 | 11 | 11 |
ビタミンB1(mg) | 0.05 | 0.03 | 0.03 |
ビタミンB2(mg) | 0.1 | 0.1 | 0.1 |
ナイアシン(mg) | 1.5 | 1.5 | 1.5 |
ナイアシン当量(mg) | 3.5 | 3.9 | 3.5 |
ビタミンB6(mg) | 0.04 | 0.11 | 0.12 |
葉酸(μg) | 21 | 68 | 42 |
ビオチン(μg) | 5.4 | 12 | 14 |
食塩相当量(g) | 6.1 | 12.4 | 13 |
白味噌は、他の味噌に比べて栄養価が低めである一方で、塩分量が少ないという特徴も。
栄養価が少ないのも、塩分がひかえめにできるのも、発酵時間が少ないことが原因です。
塩分量が少ないので、ほかの味噌と比べると長期保存向きではありません。一般的な保存期間は、ほかの味噌が1年以上のところ、白味噌は3か月程度であることが多いです。
白味噌の代用品は?
白味噌は、とても個性が強いので、そっくりな代用品を探すのはとても難しいと言われています。
でも、ちょっとしか使わない人は、何かで代用したいよね…
ちょっとしか使わない予定の方に向けて、みなさんが白味噌をどんな調味料で代用しているのか調査してみました!
・違う料理になってもおいしければよい
・大さじ1杯ぐらいの隠し味にしか使わないので、簡易的な方法で大丈夫
ただし!味は全く違うので、白味噌を入れた場合と同じ味にしたい人は、少ししか使わない予定でも、白味噌を買いましょう!笑
口コミによる白味噌の代用品は、以下のとおりです。
一つずつ見ていきましょう。
合わせ味噌半分+砂糖+みりん
白味噌の代用品としていちばん多いのは、普通の味噌(合わせ味噌)を使う方法です。
普通の味噌(合わせ味噌)は、白味噌と比べると塩分量が半分なので、塩分を追加しすぎないために、まずは半分の量を使うのが一般的です。
そこに甘さを追加するために、砂糖とみりんを調整しながら加えます。
わたしは砂糖+みりんよりも、米麹甘酒を入れたほうが少し近くなる気がしてます。
きなこ+煎り酒
白味噌の代用品として、かなりレアな方法ですが、きなこ+煎り酒で代用されている方もいらっしゃいました。
白味噌が主役の料理には向きませんが、隠し味に使うならきなことお酒でコクをプラスできます。
ヨーグルト
白味噌の代用品として、こちらもかなりレアな方法ですが、ヨーグルトで代用されている方もいらっしゃいました。
ヨーグルトも全く白味噌とは違うけど、隠し味に使うならあり?!もう別の料理だけど、コクは多少でそうかな?
白味噌の代用失敗例!みんなの口コミ
ネット上では白味噌を家にあるもので代用する方法がたくさん紹介されていて、わたしも複数の方法をためしてみました。
でも、私の中で白味噌を食べたときの「優しい風味」や「ほっこり感」を再現できるものは、なかなかありません。
おお!わたしと同じ「ほっこり好き」な方がいっぱいいるぞ。
この白味噌独特の「ほっこり感」は、発酵の過程で発酵菌が作る「GABA」によるものだと言われています。
GABA
=ガンマアミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)の略称
=自律神経の安定を促し、ストレスを緩和する効果が注目されている
2008年に日本栄養・食糧学会誌に掲載された内容(※1)によると、GABAには自律神経の安定を促し、ストレスを緩和する効果があるのだとか。
合わせ味噌や赤味噌と比較すると、白味噌は圧倒的に「GABA」や「乳酸菌」が多いという特徴があります。
白味噌って甘酒で代用するほうがまだ口に入れたときの感覚が近い気がしてるんだよなぁ…。味噌以外の調味料で代用する方法は後述しますが、白味噌のお味噌汁のほっこり感は、どうやっても別の味噌じゃ出せないんだよね…
白味噌を合わせ味噌や赤味噌で代用するのは無理とは言いませんが、まったく違う料理になる可能性が高いことは否めません。
白味噌をほかの味噌で代用しようと試みた方の口コミも見てみましょう。
一つずつ見ていきましょう。
味噌を変えただけで、別の料理になった
白味噌を八丁味噌(豆味噌)で代用する勇気に乾杯!笑
単純にまずい/おいしくない
麦味噌は色が白っぽいから、一見代用しやすそうなんですよね。ただ、ぜんぜん味が違うので、私も失敗してます…w
味がまとまらず口の中で喧嘩して、気持ち悪くなった
おお。とうとう体調がすぐれない方まで…これはおとなしく白味噌を買ったほうが早いのかも…
このように白味噌を普通の味噌(合わせ味噌)や赤味噌で代用するのは、とても難しいことが分かります。
白味噌が主役の以下の料理を作るなら、白味噌の購入をおすすめします。
・関西の白味噌のお雑煮を再現したい!
・西京漬けを作りたい!
・白味噌のぬた和えや酢味噌和えを作りたい!
どうしても難しい場合は、西京焼き専門店で買うという手もあるぞ…笑
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白味噌の保存方法
白味噌は赤味噌同様、常温保存のほかに冷蔵・冷凍保存も可能です。
しかし、色の変化を抑えたいなら、赤味噌より注意が必要です。
詳しく見てみましょう。
常温保存
白味噌は発酵も弱く、色も変わりやすいため、常温保存する際は、注意が必要です。
・直射日光が当たらない、風通しの良い床下や冷暗所に保存する
・梅雨の湿気が多い時期は、常温保存に向かない
・夏の気温が高い時期も、常温保存に向かない
湿気が多いところではかびやすいし、夏は色が変わりやすいなど…品質を保つのが難しいので気をつけよう。
冷蔵保存
白味噌にいちばん適した保存方法は、冷蔵保存です。
白味噌は色が変わりやすく、発酵が進みやすいので、一定の温度や湿度の場所で管理するのがベスト。
なるべく空気に触れないように、密閉できる容器やジップロックなどの袋を使って、隙間なく詰めるのがおすすめです。
冷凍保存
白味噌は冷凍保存をすることも可能です。
しばらく食べる予定がない場合は、冷蔵保存用に空気を入れずに詰めた容器やジップロックをそのまま冷凍庫に入れればOK。
味噌が凍る温度は、-20度程度から。
冷凍庫に入れた味噌は-20度まで下がることは少ないので、あまり硬くならず、そのまま料理に使うことも可能です。
冷凍庫に入れて忘れてしまったらさすがに品質が低下します。なるべく早く食べるのは基本だよ。
白味噌を使ったおすすめレシピ
白味噌を使ったおすすめレシピをご紹介します。
お雑煮や煮物には使いやすく、定番の使い方ではありますが、その他焼き物に使ったり、洋食や多国籍料理にも使うことができます。
一つずつ見ていきましょう。
白味噌のお雑煮
花かつおをたっぷり入れた、白味噌のお雑煮は、主に京都で古くから食べられている、伝統のお雑煮です。
あっさりめの昆布だしに、白味噌を濃いめに溶いてつくるのが主流らしい!
また、香川県ではあんがたっぷり入ったおもちを使った、あんもち雑煮が人気です。
甘いものが好きな方にはたまらないお味!
白味噌の煮物・味噌汁
白味噌は、GABAがたっぷり含まれているので、ストレスが溜まりやすい人におすすめのお味噌です。
ほっこりとやさしい気持ちになれるお味です。
白味噌で作る西京焼き
和食の定番として、長く愛され続けている西京焼きは、白味噌料理の代表格です。
多国籍料理を白味噌でアレンジ
白味噌は和食だけでなく、海外の料理や洋風料理とも相性が良い調味料です。
赤味噌は和風テイストが合うけど、白味噌はどっちもイケる気がします!
特に人気なのは、アクアパッツァやシチュー、グラタンなどの洋風料理。
濃厚のうま味と甘みが、料理にコクを加えてくれます。
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まとめ:白味噌とは?地域や特徴、作り方を解説!赤味噌との違い
白味噌の最大の特徴は、その色が白いこと。
色が白いということは、メイラード反応と呼ばれる化学反応があまり起きていないことを意味します。
メイラード反応
=加熱や発酵により、糖とアミノ酸が反応し、褐色物質「メラノイジン」などができること
白味噌は、大豆と麹からできている点は、他の味噌と同じです。
その他の特徴は以下の通り。
白味噌は味噌の中でも特徴的で、他の調味料などで代用するのはかなり難しいと言われています。
買ってみると、意外と使いみちも多いので、一度使ってみて使い方を模索してみるのがおすすめ。
毎日の料理のレベルがワンランクアップするかもしれません。
ただ、大さじ1杯の隠し味にしか使わない予定の方は、そのために購入するのももったいないので、以下の白味噌の代用方法もご紹介してみました。
参考にしてみてね。
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参考文献
(※1)GABA経口摂取による自律神経活動の活性化(日本栄養・食糧学会誌第61巻第3号)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs/61/3/61_3_129/_pdf