「明日は変えられる」というコピーで有名な、アステラス製薬株式会社さんが、新しい製薬の製造販売承認を厚生労働省から取得したと発表しました!
そのお薬とは、リンゼスです!リンゼス錠とも呼ばれますね。リンゼスは、これまで世界30か国で認められていながら、日本では認められていなかった、日本人にとっては幻の医薬品といっても過言ではない、便秘型過敏性腸症候群治療薬です。
成人の2.9%が、便秘型過敏性腸症候群だと言われている日本。もちろん、普段の食生活や運動の習慣を変えたり、環境変化によって便秘を治すことがいちばんよいというのが前提ですが、この薬剤で便秘型過敏性腸症候群が改善し、救われる方が出てきたらすばらしいことです。
とはいえ、このリンゼスも医薬品です。私たちの体にどう作用するのか、特徴や効果はどうなのか、そして副作用やリスクも気になります。リンゼスは医師も薦める場合が多い、副作用が少ない薬だと言われているようですが実際はどうなのでしょうか?
今回は、この便秘によく効くと言われる「リンゼス」「リンゼス錠」について、少し深堀してみたいと思います。
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便秘型過敏性腸症候群とは?
まずは、リンゼスを飲まなければならない状態である「便秘型過敏性腸症候群」について、復習しておきましょう。
「便秘型過敏性腸症候群」とは、主にストレスによって便秘を繰り返してしまう病気のことです。実は、反対にお腹を下してしまう「下痢型過敏性腸症候群」という病気もありますが、リンゼスは「便秘型過敏性腸症候群」になります。
ストレスは、私たちの腸に緊張を招きます。その緊張が引き金となり、便秘を発症したり、下痢を発症したり、体質によって同じ症状を繰り返すことになります。この状態が「便秘型過敏性腸症候群」です。
一般的には、男性が下痢型過敏性腸症候群が多く、女性の場合は便秘型過敏性腸症候群が多いと言われていますが、実はその両方を繰りかえす、混合型過敏性腸症候群ってのもあるんですって。一般的には、その3種すべて合わせて、過敏性腸症候群(IBS)と呼ばれています。IBSに関する情報サイトのIBSネットさんでは、このように説明されていました。
「IBS(過敏性腸症候群)」は、おもにストレスに起因して、下痢や便秘を慢性的にくりかえす疾患です。
大腸がんや潰瘍性大腸炎などは血液検査や大腸内視鏡検査などで腸に異常が認められますが、IBSは、検査でそうした異常はないことが確認されたうえで、症状が続く場合に診断されます。
日本人のおよそ7人に1人がIBSに当てはまると推定されており、30代より若い年代に比較的多くみられる傾向があります。
参考:http://ibsnet.jp/geri/ibs/
異常が見られないのに、お腹が痛く、違和感があるので、かかってしまうとなかなか治らない病気の1つとされていました。ストレスってこわいですね…
リンゼスはどっち?「刺激性下剤」と「非刺激性下剤」
IBS(過敏性腸症候群)製薬の副作用について考える上で、重要な考え方の1つに、その薬剤が刺激性なのか、非刺激性なのかという問題があります。さて、今回厚生労働省から製造販売承認がおりたリンゼスは一体どっちなのでしょうか?
まずは、この2つの医薬品の特徴をまとめてみました。
刺激性下剤の特徴
刺激性下剤は、便秘薬で直接腸の粘膜を刺激して、ぜんどう運動を活発化するお薬です。ムリヤリ腸を動かすので効果はありますが、習慣化すると効かなくなったり、お腹が痛くなる方がいるという安全性の面で不安があるため、医師から薦められることが少ない医薬品です。
副作用という意味では、服用を習慣化すると、大腸黒皮症(大腸メラノーシス)と呼ばれる腸が黒くなる病気になる危険性があると言われています。黑くなるだけなら良いのかもしれませんが、他の医薬品が効かなくなったり、慢性的な便秘の症状を重くしたり、他の腸の病気になりやすくなることも示唆されています。
日本ダルム株式会社さんのホームページでは、大腸黒皮症(大腸メラノーシス)の危険性が以下のように説明されていました。
参考:http://www.darm.co.jp/health/melanosis.php
非刺激性下剤の特徴
非刺激性下剤は、大腸が水分を吸収するのを抑えたり、腸液を増やしたりして、便をかさまししたり、やわらかくして便秘を防ぐ医薬品です。今回認められたリンゼスもこちらの非刺激性下剤に当たります。
リンゼスは、腸に刺激を与えずに排便を促す医薬品なので、即効性は劣ります。ただし副作用となる腹痛や長期的な大腸の病気の危険性をもたらすものではなく、比較的安全なので病院で医師にリンゼスを薦められる例もあるようです。酸化マグネシウムを使ったものが有名ですね。
ただ、何事も摂りすぎは体によくありません。お薬はお薬です。酸化マグネシウムも摂りすぎると、高マグネシウム血症を発症する場合があるので注意が必要です。一般的には、リンゼスなどの非刺激性下剤の特徴は、リスクが少ないことが挙げられます。
今回アステラス製薬株式会社さんの動きや、リンゼスに対してかなりの注目が集まっているのは、副作用が少ない医療薬「非刺激性下剤」であることが、大きな理由の1つです。そういう意味では、リンゼスはかなり注目されています。
これまでに全く非刺激性下剤がなかったわけではないのですが、海外では認められているのに、日本では認められていない便秘薬が多いのは確かで、リンゼスは副作用が少ない便秘薬という意味では、かなり貴重なものです。
非刺激性下剤の1つとして日本でも服用できるものとして有名なのは、2012年に発売された便秘薬「アミティーザ」というお薬です。腸内の水分を多くして、便をやわらかくするのをお手伝いしてくれます。「医師が教える処方薬の全て」というホームページの説明によると、こんな特徴があることがわかりました。
・腸液を分泌して便を柔らかくするため、便の硬い便秘に向く
・安全性が高いが、妊婦には禁忌
・値段が高い
参考:https://druginformation-clinic.com/lubiprostone-effect/
また、オリゴSPさんのホームページにもこのような説明がされています。比較的新しいタイプのリスクの低い便秘薬であるという特徴があるようですね。
参考:http://www.emmachristopher.com/category4/entry62.html
ふんふん。このお薬も水分不足のお腹に効きそうですね。大腸を刺激せずに水分を多くすることで便が出やすい環境を作るものです。では、今回製造販売承認を厚生労働省から取得した「リンゼス」は、いったいどんなお薬なのでしょう。
「リンゼス」の特徴・効果・副作用まとめ
医療メディアの「医療NEWS」さんのホームページでは、リンゼスORリンゼス錠について、このように説明されていました。
参考:http://www.qlifepro.com/news/20161221/lindsz-tablets-approved-in-japan.html
リンゼスはストレスで鈍くなってしまっている腸管の働きを元に戻してくれるというのが主な働きのようです。では、ちょっと心配な副作用は、どんなことが考えられるのでしょうか?
アステラス製薬株式会社が出しているリンゼスの処方箋をみてみました。すると、「重度の下痢」が「重大な副作用」欄に!そっか、お薬が効きすぎちゃうとそうなるのかな。他には、以下の症状が考えられるそうです。
発熱、口渇
肝機能異常 など
参考:http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/800126_23990A4F1026_1_02.pdf
比較検証!「リンゼス」と「アミティーザ」
KEGG MEDICUS 医薬品情報に掲載されていた2つの非刺激性便秘薬、「リンゼス」と「アミティーザ」のデータを比較してみたいと思います。まずは、アミティーザから見てみましょう!
販売名:アミティーザカプセル24μg
欧文商標名:Amitiza
製造会社:スキャンポファーマ
薬価:161.1円/カプセル
規制区分:処方箋医薬品
禁忌:
腫瘍,ヘルニア等による腸閉塞が確認されている又は疑われる患者[腸閉塞を悪化させるおそれがある.]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照]
効能効果:
慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)
※効能効果に関連する使用上の注意
薬剤性及び症候性の便秘に対する使用経験はなく,有効性及び安全性は確立されていない。
こう見ると、妊婦さんは飲めなかったり、便秘に対する安全性についてはまだわからないとか・・・結構気になることも多いお薬なんですね。一方、リンゼス錠は・・・
販売名:リンゼス錠0.25mg
欧文商標名:Linzess Tablets 0.25mg
製造会社:アステラス製薬
薬価:92.4円/錠
規制区分:処方箋医薬品
禁忌:
機械的消化管閉塞又はその疑いがある患者
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能効果:
便秘型過敏性腸症候群
※効能効果に関連する使用上の注意
便秘型過敏性腸症候群治療の基本である食事指導及び生活指導を行った上で、症状の改善が得られない患者に対して、本剤の適用を考慮すること。
わぁ・・・リンゼスって、なんか、すごく安い!笑 注目するところ、違うかもしれないけど。笑 あと、比較的飲まないほうが良い人の制限が「リンゼス」と「アミティーザ」を比較すると、少し緩和されたように思います。比較的多くの方を救ってくれる製薬になる可能性を期待してもいいのかも?
お薬は、やっぱりお薬なので副作用がないことはありえないと考えると油断はできません。ちゃんと医師や専門家の話を聞いてから服用するのはもちろんのこと、食習慣、運動、環境の変化も検討しつつ、治していきましょう。
でも、本当につらい時は、選択肢の1つとして知っておいて損はないかもしれません。自分のカラダに合わせて、便秘薬も考えて行きたいですね。
便秘時の参考にしてみてください。