【この記事で解決できるお悩み】
・アンチョビってなに?どんな味?
・アンチョビの栄養素やおいしい食べ方をおしえて!
・オイルサーディンとは何が違うの?
この記事では、こんなお悩みを解決します!
いつもの料理をおしゃれに変身させて、濃厚なうま味を加えてくれるアンチョビ。
外食すると、王道パスタのペペロンチーノや、蒸し野菜をつけるバーニャカウダソースなどに入っていることから、ひそかにファンが多い食材です。
でも、なんとなくおいしいことは知っていても、まだまだ謎が多い食材のひとつ。
そこで今回は、アンチョビを徹底解説!
味や栄養、おいしい食べ方はもちろん、オイルサーディンとは何が違うのかなど似ている食材との違いも整理してみました。
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この記事を書いた人:
腸活研究家 長谷川ろみ
発酵食品にハマり、ダイエットなしで12㎏減。痩せたことをきっかけに腸を愛でる生活に目覚める。重度の便秘から解放され、腸活研究家として活動開始。今では発酵ライフ推進協会通信校校長を務め、昔の自分と同じ悩みを持つ方に向けて腸や菌のおもしろさを発信中。詳しくはこちら
アンチョビとは?
アンチョビは、かたくちいわしを塩漬けにしてつくる、魚の加工食品です。
詳しく見ていきましょう。
産地と作り方
アンチョビの産地と言えば、イタリアのシチリアやリグーリアなど、ヨーロッパが有名です。
イタリア以外の産地で有名なのは、スペインの北部カンタブリア海近く。
もともとはイタリア移民がスペイン北部で身がふっくらした上等ないわしに出会い、スペインでもアンチョビを作り始めたことから、広まったと言われています。
アンチョビの作り方は、とてもシンプル。
一切加熱はせず、生のまま塩漬けにして、熟成させるだけ。
1:水揚げしたかたくちいわしを3枚におろして、頭と内臓をとる
2:塩漬けにして、2~6か月ほど熟成する
3:熟成後、油に漬ける
4:缶詰めやビン詰めにする
かんたんに言えば、いわしの塩漬けです。熟成という過程を踏むので、生のかたくちいわしよりタンパク質やうま味(アミノ酸)、ビタミンが増えると言われているよ。
どんな味?
火を使わずに塩漬けにしているので、かなりしょっぱいです。
しかし、アンチョビにしかない独特のうま味がたっぷり含まれ、他にはない濃厚な風味が味わえます。
この濃厚なうま味が作られるのは、熟成=自己消化に関係があります。
自己消化
=魚介類が持っている消化酵素で、自分のタンパク質を分解すること
=タンパク質は分解するとアミノ酸(=うま味成分)になる
=イカの塩辛などのうま味も同じ自己消化によって作られる
魚介類がもともと持っている消化酵素が、自分のタンパク質を分解し、アミノ酸(うま味)をたくさん作ることで、濃厚なうま味を持つアンチョビができます。
酵素は火に弱いので、この酵素の働きを最大限生かすために、火は使わないで作るよ。
どんな栄養素?
日本食品標準成分表2020年版(八訂)(※1)によると、アンチョビ(=熟成後のかたくちいわし)と生のかたくちいわしの栄養素(100gあたり)は、以下のとおり。
アンチョビ | かたくちいわし(生) | |
---|---|---|
カロリー(kcal) | 157 | 171 |
たんぱく質(g) | 24.2 | 18.2 |
脂質(g) | 6.8 | 12.1 |
炭水化物(g) | 0.1 | 0.3 |
カリウム(mg) | 140 | 300 |
カルシウム(mg) | 150 | 60 |
マグネシウム(mg) | 39 | 32 |
リン(mg) | 180 | 240 |
鉄(mg) | 2.6 | 0.9 |
亜鉛(mg) | 3.7 | 1.0 |
ビタミンA(レチノール)(μg) | 4 | 11 |
ビタミンB1(mg) | 0 | 0.03 |
ビタミンB2(mg) | 0.31 | 0.16 |
ビタミンB6(mg) | 0.21 | 0.58 |
ビタミンB12(mg) | 14.0 | 14.0 |
ビタミンD(μg) | 1.7 | 4.0 |
葉酸(μg) | 23 | 19 |
食塩相当量(g) | 13.1 | 0.2 |
熟成によってタンパク質、カルシウムや鉄、亜鉛などのミネラル、そしてビタミンB2や葉酸が増えました。
アンチョビに含まれる注目の栄養素と言えば、オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)とタンパク質です。
オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)
オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)は、かたくちいわしなどの青魚に多く含まれています。
生のままのほうが多く含まれますが、もちろんアンチョビにも含まれている重要な栄養素のひとつ。
アンチョビ | かたくちいわし(生) | |
---|---|---|
オメガ3脂肪酸(n-3系)(g) | 0.80 | 2.24 |
いわゆる「良質な油」の代表です!青魚やえごま油など、限定した食品にしか含まれていないから、とても貴重!
オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)は、血流を良くして、認知症を予防したり、喘息やうつ病になりにくくするという報告もあり、体の老化を遅らせる効果が注目されている成分です。
・オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を10か月継続して摂取したら、喘息症状が緩和された(※2)
・オメガ3脂肪酸(DHA)および海藻を摂取している人のほうが、産後うつ病になりにくい(※3)
・オメガ3脂肪酸(DHA)を3ヵ月継続して摂取したら、他者に対する攻撃性が抑制された(※4)
・肥満小児にオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を3週間継続して摂取させたら、血中総コレステロール量が減少し、合わせて体重が減少した(※5)
わ~なんかいろんな効果がありそうだぞ…!これは必見?!青魚は積極的にとりたいですね。
タンパク質
タンパク質は、ヒトの血や筋肉、細胞を作るもとになる栄養素です。
生のかたくちいわしを食べるより、アンチョビを食べるほうが効率よくタンパク質を摂取することができます。
野菜や穀物などタンパク質があまり含まれていない食べ物に、少しミックスすればタンパク質を効率的にとることができます。
もちろん塩分は多いので、アンチョビを食べ過ぎるのはおすすめしません。でもタンパク質がちょい足しできるって、すごいよね!
他にも、アンチョビには、カルシウム、鉄、亜鉛、ビタミンB2、葉酸などが多く含まれていて、ぜひ日々の食事に追加したい食材です。
アンチョビの選び方① 形状別
アンチョビには、その形状によって大きく3つの種類があります。
調理の仕方によって、向いているタイプが違います。ちょっと整理してみましょう。
フィレタイプ
アンチョビのオイル漬けを、そのまま缶詰や瓶詰にしたもので、いちばん数が多いのがこのフィレタイプです。
フィレタイプ
=アンチョビのオイル漬けをそのまま缶詰や瓶詰にしたもの
細かく刻んで野菜やパスタに合えたり、そのままピザにトッピングしたりと、どんな料理にも使える万能なタイプです。
迷ったらフィレタイプを買っておけば、つぶしが効きます!
ロールタイプ
アンチョビのオイル漬けを、オリーブやケッパーなどにロール状に巻き付けたものです。
ロールタイプ
=アンチョビのオイル漬けをオリーブやケッパーなどにロール状に巻き付けたもの
おつまみや前菜として、クラッカーやパンに乗せて食べることが多く、比較的そのまま使うことが多いタイプです。
塩気は少なめなものが多いので、あまり調理せずそのまま使うことが多いでしょう。
お酒のお供にすることを考えている人には、ロールタイプをおすすめします。
ペーストタイプ
アンチョビのオイル漬けを、ペースト状にしたものです。
ペーストタイプ
=アンチョビのオイル漬けをペースト状にしたもの
あらかじめペースト状になっているので、細かく刻んだり、下ごしらえをする必要がなく、かんたんにドレッシングやソースを作ることができます。
便利ですが、逆に丸ごとトッピングしたり、刻んで歯ごたえを残したい料理を作ることができないので、汎用性は低くなります。
チューブ状になっていることも多く、とてもかんたんにアンチョビが使えます。
アンチョビはソースかドレッシングにする以外は使わない人向き!オイルやマヨネーズに混ぜるだけでも美味しいので、料理をあまりしない人にもおすすめかも。
アンチョビの選び方➁ 原料別
アンチョビは、形状別の種類のほかに、原料別にもいくつかの種類・選び方があります。
注目すべき点は、以下の3点です。
詳しく見てみましょう。
使われている油の種類で選ぶ
塩漬けにしたかたくちいわしをオイル漬けにする時に使われる油は、オリーブオイルだけではありません。
味が全然違うので、オイルにこだわって選んでみてもおもしろいよ。
オリーブオイル漬け
=アンチョビの缶詰の中でいちばん多い
=不飽和脂肪酸のオレイン酸が多い
=独特の香りがあり、イワシの臭みが少ないので魚臭がニガテな人におすすめ
ヒマワリ油漬け
=アンチョビの缶詰の中では比較的めずらしい
=オレイン酸・ビタミンEが豊富に含まれる
=香りが少なく淡泊な風味が特徴で、クセがない
そのほかの植物油漬け
=値段が安いものが多い・コスパが良い
おいしさで選ぶなら、わたしはやっぱりオリーブオイルが好きかも…笑
原材料で選ぶ
アンチョビの缶詰を選ぶ時は、きちんと原材料をチェックするのがおすすめです。
いちばんシンプルなアンチョビは、かたくちいわし、食塩、油のみで作られていますが、中には保存料や着色料、スパイスや調味料等が含まれているものもあります。
料理に使うならシンプルな味つけのアンチョビのほうが、汎用性が高くておすすめです。
原産国で選ぶ
アンチョビの缶詰を選ぶ時は、原産国をチェックしてもおもしろいです。
いちばん多いのは、かたくちいわしが多くとれる地中海沿岸で、イタリア産のものが多いですが、中には珍しい地域で作られたものも。
わたしはイタリア産のものをついつい選んじゃいますが、味比べしてみるのもありだよね!
失敗しない!はじめての缶詰アンチョビならコレ
缶詰アンチョビには、原材料、原産国、油の種類から形状まで、選び方にたくさんのポイントがあります。
まだそんなにアンチョビの缶詰を試したことがないのなら、どんな料理にも使いやすいシンプルなアンチョビがベスト。
【はじめての缶詰アンチョビの条件】
・フィレタイプ+皮や骨が付いていないもの
・原材料はかたくちいわし、食塩、油のみ
・オリーブオイル漬け
具体的におすすめなアンチョビの缶詰のブランドはこちらです。
一つずつ見ていきましょう。
創業150年のロレア(LOREA)
創業150年以上の伝統的な製法で作られたアンチョビ。
肉厚なので、そのままサラダやピザにトッピングすることもできます。
種類:フィレタイプ
原材料:カタクチイワシ、食用オリーブ油、食塩
\ 150年の伝統の味を試してみよう(*´▽`*) /
世界トップクラスの出荷量!ラ・モネガスク
世界トップクラスの出荷量を誇るアンチョビメーカー「ラ・モネガスク(LAMONEGASQUE)」のモロッコ産のアンチョビです。
かたくちいわしを水揚げした後、24時間以内に内臓を処理して、塩漬けしているというこだわりの品です。
種類:フィレタイプ
原材料:カタクチイワシ、食用オリーブ油、食塩
\ モロッコ産のアンチョビの味を試してみよう(*´▽`*) /
世界一おいしいと評判!ロイヤルパール
世界一おいしいと評判の、スペイン・カンタブリコ海でとれたアンチョビです。
雑誌「dancyu」でも紹介された、上質なオリーブオイルに包まれた深いコクとうま味が特徴の品です。
種類:フィレタイプ
原材料:カタクチイワシ、食用オリーブ油、食塩
\ 世界一おいしいアンチョビを試してみよう(*´▽`*) /
輸入調味料メーカーのギャバン
輸入調味料などを取り扱うメーカー、ギャバン(GABAN)のアンチョビです。
お手頃価格なところが助かります。
種類:フィレタイプ
原材料:カタクチイワシ、食用オリーブ油、食塩
\ 人気の味を試してみよう(*´▽`*) /
アンチョビの代用品!違いを調整する方法
「アンチョビが手元にない!でも、料理本の材料のところに書いてある…」
そんな時、アンチョビは次の材料で代用することができます。
アンチョビの代用品一覧
アンチョビは、魚介類独特のうま味と塩分をミックスすると、代用することができます。
代用品 | 代用方法 | 備考 |
---|---|---|
オイルサーディン | 塩を足す | 足りない塩味を加える |
ツナ缶 | 塩とナンプラーを足す | 足りないうま味と塩味を加える オイル漬けのほうがさらに代用しやすい |
ナンプラー | そのまま加える | 水分量が多いので、使えるのはペーストやスープのみ |
いかの塩辛 | そのまま加える | 独特の風味はあるが、うま味は追加できる |
さばの水煮缶 | 塩を足す | 魚臭さが残ってしまうので、料理次第でスパイスやオイルを足す |
かつおぶし | 塩を足す | 足りない塩味を加える 若干発酵臭が足りないので味噌などを加えてもよい |
ナンプラーの魚臭さはアンチョビにかなり近いかも!お手軽にコクを追加できるので、気になる方はぜひ試してみて。
オイルサーディンとの違いは?
アンチョビとオイルサーディンは、よく似ていると言われますが、実は材料も加工方法も全く違います。
アンチョビがかたくちいわしの塩漬けなのに対し、オイルサーディンは、事前に調理したまいわしやうるめいわしを、油漬けにしたものです。
アンチョビ | オイルサーディン | |
---|---|---|
使用する魚 | かたくちいわし | まいわし・うるめいわし |
加熱 | していない | している |
発酵・熟成 | している | していない |
加工方法 | 塩漬けメイン | 油漬けメイン |
使い方 | 調味料として使う | 食材として使う |
似ているようで全く似ていないのが、アンチョビとオイルサーディンかも…!
アンチョビに似たうま味を感じることはできますが、圧倒的に塩味は少ないです。
塩や塩こうじ、ナンプラーなどを使って、塩味を加えましょう。
さらに、アンチョビは調味料のひとつとして使うことが多いですが、オイルサーディンは食材として使用するのがよさそうです。
いかの塩辛との違いは?
アンチョビといかの塩辛は、魚介類の内臓と一緒に塩漬けにして、自己消化(=熟成)を経て作られるという意味では、とても似ています。
自分のタンパク質を分解するため、いかの塩辛もアンチョビもうま味が豊富です。
ツナオイル漬け+ナンプラーでも代用できる!
ナンプラーはそもそも、アンチョビと同じかたくちいわしを塩漬けにしたときに作られる液体です。
材料はほぼ同じため、アンチョビの風味とナンプラーの風味はほぼ同じです。
しかし、ナンプラーは液体で、アンチョビは個体であることから、料理によっては全く違う見た目になってしまうことを覚悟しましょう。
そんな時、ちょっと個体のアクセントがほしければ、ツナのオイル漬けと組み合わせるのもおすすめです。
初心者向け!アンチョビのおいしい食べ方レシピ
アンチョビを使ったおいしい食べ方レシピは、以下のとおりです。
一つずつ見ていきましょう。
バーニャカウダソース
バーニャカウダソースの作り方は、意外と簡単!
1:牛乳とにんにくを煮て、にんにくをつぶす
2:アンチョビをつぶしながら加える
3:オリーブオイルを少しずつ加える
4:塩こうじ・塩などで味を調えて完成
野菜をちょっとつけて食べるだけで、食卓が豪華になり、栄養バランスも整います。
ブロッコリーやアスパラガスをつけて食べると、めちゃくちゃおいしい!
アンチョビパスタ
アンチョビは、オイルベースのパスタにもとてもよく合います。
塩の代わりに使うので、他の具材は塩味の少ない野菜やきのこにするのがおすすめ。
にんにくや唐辛子だけのシンプルなペペロンチーノもおいしいです。
アンチョビキャベツ
アンチョビは、ゆでたキャベツととても相性がよく、おすすめです。
塩気が強いので、他に塩味がある調味料はいりません。
お酒のおつまみにもぴったり!かんたんにできるので便利です。
アンチョビポテト
アンチョビとじゃがいもの相性は完璧です。
じゃがいもの甘さと、アンチョビのうま味+塩味がパーフェクト。
じゃがいもはゆでただけでも、ポテトサラダにしても、フライドポテトにしてもアンチョビによくあいますが、アンチョビを使う時は塩加減に注意が必要です。
まとめ:アンチョビとは?どんな味?おいしい食べ方や栄養素
アンチョビは、かたくちいわしを塩漬けにしてつくる、魚の加工食品です。
魚介類がもともと持っている消化酵素がタンパク質を分解し、アミノ酸をたくさん作るため、濃厚なうま味が味わえます。
栄養素は、もともとかたくちいわしに多く含まれる良質な魚の油「DHA・EPA」はもちろん、タンパク質やカルシウム、ビタミンB2などが豊富です。
アンチョビは、その形状や味付けの違いによって、多くの種類があります。
もし、いろんな料理に汎用的に使いたいなら、なるべくかたくちいわし、塩、オリーブオイルだけで作られたシンプルなものを選びましょう。
具体的におすすめなアンチョビの缶詰のブランドはこちらです。
参考にしてみてね。
参考文献
(※1)日本食品標準成分表2020年版(八訂)|文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
(※2)Dietary supplementation with fish oil rich in omega-3 polyunsaturated fatty acids in children with bronchial asthma
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11153584
(※3)Seafood consumption, the DHA content of mothers’ milk and prevalence rates of postpartum depression: a cross-national, ecological analysis
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12103448
(※4)The effect of docosahexaenoic acid on aggression in young adults. A placebo-controlled double-blind study
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8613538
(※5)Possible effect of DHA intake on body weight reduction and lipid metabolism in obese children
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22101886