1年のうちで基礎代謝がいちばん低くなる季節は、10月だと言われてます。
夏ごろから少しずつ下がっていき、底は10月。
そう考えると、夏ぐらいから秋にかけて、太りやすくなるとも言えます。
今回は、基礎代謝の季節ごとの変化についての研究論文をご紹介しながら、基礎代謝を下げ過ぎないためにできることをまとめてみました。
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代謝は1年でどれくらい変動するのか?
夏は日照時間も長くて、夏バテであまり食欲がなくなったり、それが原因で夏痩せする方が多いイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
でも実は夏のほうが痩せにくく、ダイエットには向いていない季節という考え方もあるんです。
夏に痩せにくくなる理由はかんたんで、基礎代謝が下がるから。
=生命を維持するために消費するエネルギーのこと
基礎代謝は生命を維持するために必要なエネルギーのことで、運動をしなくても生きているだけで消費するエネルギーのことを言います。
1日に消費されるエネルギーには3種類あって、食事しなくても運動しなくても、自然に使われていくエネルギーが基礎代謝なんですよね。
=生命維持のために消費されるエネルギー量
生活活動代謝:約30%
=生活をするうえでの活動(歩く、家事をする、仕事をする、運動をするなど)で消費されるエネルギー量
食事誘導性熱産生:約10%
=食事をするときに消費するエネルギー量
実際どれくらい季節ごとに変動するのか、大分医科大学などの研究チームが調べてくれた研究結果(※1)があるのでご紹介します。
この研究では、大分県の陸上自衛隊の男子隊員7名の方を対象に、1年間の間基礎代謝量を計測し、平均値を出しました。
その結果、最高値が出たのは春の4月。最低値だったのは秋の10月。
そして1年間で、約10%異なることがわかりました。
最低値:10月は平均値より5.8%低い
※年間の変動幅は11%
秋は春より1割以上減ってしまいます。これは結構大きいですよね。
でも、こんなに季節によって変化するのは日本人だけかもしれないという研究もあります。
カナダでも同じような基礎代謝の研究(※2)を行っているのですが、その結果によると、季節による変動は体格が大きい人ほど影響を受けずらいと言われています。
日本人の中でも体格が小さい人のほうが差が大きい
ということがわかっています。
筋肉の差も大きいかもしれませんね。
夏・秋に基礎代謝が下がる原因
ではなぜ、こんな季節差がうまれてしまうのでしょうか?
その理由は大きく分けると4つあります。
1:気温が高い時期は、体温維持のための熱産生が減るから
温かい夏・秋は、私たちの体に流れる血液の温度が下がり過ぎることなく、一定の温かさを維持できます。
そのため、各臓器が頑張って熱を作らなくても体温の維持が可能です。
そのため、熱産生が減り、基礎代謝が下がってしまうと言われています。これがいちばん大きな理由です。
2:栄養不足になりがちになるから
もうひとつの大きな理由は、栄養不足になるからです。
夏は夏バテという言葉があるくらいなので、食欲が減り、同じものばっかり食べてしまったり、好きなものだけを食べてしまったり、栄養が偏ったものばかりを食べてしまいがちです。秋になると今度は食欲の秋で、急に食べ過ぎてしまうこともあるでしょう。
また、食事のバランスをとる事に対して手を抜くと、どうしても糖質メインの食事になりがちでビタミンやミネラル不足に陥ります。
ビタミンミネラルが不足すると、なかなか熱産生がしずらくなります。
夏によく食べるものと言えば、そうめんやお茶漬け、ラーメンなどなどの1品料理です。
また、食欲がないからと言って、アイスクリームやお菓子やファーストフードなどの食べやすいものばかりを食べてしまう人も多く、栄養が偏りがちです。
その結果、熱を作るためにいちばん重要なタンパク質も不足しがちになります。
3:睡眠不足や冷えなどのトラブルになりやすいから
どうしても夏は寝苦しくて睡眠不足に陥りやすい季節です。
ちゃんと寝られたとしても冷房をかけすぎて体が冷えてしまうことも多く、熱をきちんと産生できない体になってしまいがちです。
寝不足になると私たちの自律神経やホルモンバランスが崩れて、食欲を減らしてくれるレプチンの分泌が減り、食欲を増やすホルモンのグレリンの分泌が増えるなど、かなりバランスが悪くなるのです。
夏の基礎代謝をなるべく下げないためにできること
では基礎代謝をなるべく下げないようにどんなことができるのでしょうか?
1:飲み物はなるべく常温で
お水などはできれば常温のものを飲むようにし、また野菜スープやお味噌汁などの温かいスープも嫌がらないで飲むようにするのがおすすめです。
特にお味噌汁は、ビタミンやミネラル、タンパク質もバランスよくとれるので、体を温める食材や代謝を促してくれる食材を入れて作ると代謝アップ効果が狙えそうです。
ブロッコリー、人参、玉ねぎ、紫蘇、豆類、ピーマン、小豆、にら、ねぎ
ビタミンB1:玄米、えのきたけ、とうもろこし
ビタミンB2:納豆、まいたけ、モロヘイヤ、青魚
ビタミンB6:にんにく、赤パプリカ、玄米、ごま、バナナ、青魚
2:体内時計を狂わせないように生活リズムを整える
毎日同じ時間に寝て、毎日同じ時間に起きることはもちろん、起きたらきちんと日の光を浴び、良質なタンパク質を食べて、体内時計を安定させることを心がけましょう。
朝ごはんにトリプトファンが含まれる食べ物を食べると、夜決まった時間に良質な睡眠がとれると言われるホルモンメラトニンの分泌が高まります。
たまご、乳製品、豆類、バナナなど
また代謝を落とさないように筋トレやウォーキングなども生活の中に採り入れましょう。
参考にしてみてね。
ばいばいきん。
参考:研究結果&論文等
https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikisho1966/24/1/24_1_3/_pdf/-char/ja
基礎代謝の季節変化の人種的差異に関する研究
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs1949/20/5/20_5_422/_pdf/-char/ja
※この内容は、診断・治療または医療アドバイスを提供しているわけではありません。あくまで情報提供のみを目的としています。
※診断や治療に関する医療については、医師または医療専門家に相談してください。この内容は医療専門家からのアドバイスに代わるものでもありません。