残念ですが、痩せにくい人はいます。同じものを食べて同じ運動をしていても、脂肪が燃えやすい人と脂肪が燃えにくい人がいるんです。
理由はひとつではありません。基礎代謝の問題、体温の問題、筋肉量の問題、習慣や環境の問題など、無数の問題が絡まっています。
ここでは、その中でも腸内環境の違いについてまとめてみたいと思います。
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痩せにくい人の特徴
最初に1つの論文をご紹介します。
2006年に総合科学雑誌「nature」に報告された、有名な論文(※1)があります。
この論文の結論は、以下のとおり。
・痩せやすい人と痩せにくい人は飼っている腸内細菌のバランスが違う
この論文では、ファーミキューテス門の菌が肥満に関連していると示されています。
腸内細菌の分類
ここで腸内細菌の生物学的な分類方法を振り返ってみましょう。おおまかな分け方は以下のとおり。いちばん大きなグループは「門」で、その下に「網>目>科>属>種」と続きます。
いちばん大きな分類の「門」。「門」は4グループにわけることができます。
ファーミキューテス門
バクテロイデス門
プロテオバクテリア門
このうちこの論文に出てくるのは、以下の2つの門です。
バクテロイデス門
この2つの門の割合が人によって違い、痩せやすさを決めているというのが、この論文の内容です。
=痩せにくい人に多い
=エネルギーを取り込み、脂肪として蓄える力が強い
バクテロイデス門(痩せ菌)
=痩せやすい人に多い
=エネルギーを取り込み、筋肉で燃焼させる力が強い
デブ菌や痩せ菌の定義は、メディアによって違います。そのため、ここで紹介する方法が正しいわけではないのでご注意ください。
痩せ菌がしていること
ではなぜ、痩せ菌がたくさんいると、痩せるのでしょうか?その理由は、痩せ菌は「短鎖脂肪酸」を作るからです。
=痩せやすいカラダを作る有機酸
短鎖脂肪酸が腸内に充満すると、やせホルモン「インクレチン」が分泌されるという論文もあります。
=食欲抑制ホルモン
=血糖値を下げるインスリンの分泌を促す
インクレチンは食欲を抑制したり、血糖値を下げる働きをするので、結果的に痩せやすい体が作れるのです。
痩せやすい人になるために
痩せやすい人になるために、短鎖脂肪酸を腸内にたくさん作るには、どうしたらいいのでしょうか?
今回は短鎖脂肪酸の中でも酪酸に注目してみましょう。酪酸を増やすためにできることは2つです。
酪酸自体を摂取する
酪酸はお酢に含まれています。しかし、お酢を大量に飲むのは難しいので、酪酸を作る菌を増やすことを考えましょう。
酪酸菌を増やすためには、食事と運動です。
きのこ類や海藻類、オクラやアボカド、オリゴ糖ならにんにくやたまねぎなど
2:週に3回程度、継続的に30~60分間の運動をする。
運動習慣の改善も腸内の酪酸菌を増やすのに効果的です。息が上がるようなやや強度の高い運動を30~60分間、週に3回を6週間続けて行うことで、BMIにかかわらず酪酸菌が増えることが報告されています。
酪酸菌は痩せ型の人の腸に多いので、痩ている人のほうが効果が出やすく、すでにこの時点で肥満型の人はちょっとハンデがあります。
このハンデをひっくり返すのは、やはりコツコツ継続することです。継続して食事と運動に気をつけて痩せ体質になれば、ちょっとやそっとサボっただけでは肥満になりにくい痩せやすい人になれるかもしれません。
参考にしてみてね。
ばいばいきん。
参考:研究結果&論文等
https://www.nature.com/articles/nature05414
Gut microbiota differences in elderly subjects between rural city Kyotango and urban city Kyoto: an age-gender-matched studyhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jcbn/65/2/65_19-26/_pdf/-char/ja
Exercise Alters Gut Microbiota Composition and Function in Lean and Obese Humanshttps://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29166320/
Influence of Exercise on the Human Gut Microbiota of Healthy Adults: A Systematic Reviewhttps://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32463624/
Short-chain fatty acids stimulate glucagon-like peptide-1 secretion via the G-protein-coupled receptor FFAR2https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22190648/
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