今回は、こんな疑問にお答えします。
・「寝不足が原因で便秘になる」というピンポイントなエビデンスはない
・しかし「寝不足」が自律神経を乱し、睡眠中の腸内細菌の働きを邪魔するので便秘や下痢になりやすい
寝不足になると、困るのは腸の不調です。
便秘はもちろん、体質によっては下痢や過敏性腸症候群の緩和など、寝不足なだけで、なぜか腸が思ったように動いてくれなくなると感じる人は多いでしょう。
よく寝たらお通じが。寝不足が便秘の原因だったのかも
— 彩乃@177センチ64→59ダイエット本気! (@miketan0325) March 21, 2022
一見、関係ないように見える寝不足と便秘。いったいどんなつながりがあるのでしょうか?
今回は睡眠と腸のふか~い関係を解説します!
結論:寝不足だと便秘になる!
「寝不足で便秘になる」というピンポイントなエビデンスはありません。
しかし、まったく関係がないとは言い切れません。
寝不足で便秘になりやすくなるとわたしたちが感じるのには、理由があります。
その理由は、「主に便を作る大腸が活発に働くのは、夜私たちが寝ている間だから」です。
便秘とは?
便秘とは、排便頻度が週2回以下で、便が硬く排便が困難であること、また残便感がある状態のことを言います。
=排便頻度が週2回以下
=便が硬く排便が困難であること、また残便感がある状態のこと
便秘の中でも慢性的に発生する「慢性便秘」には主に4つの種類があります。
症候性便秘:糖尿病やパーキンソン病などの基礎疾患が原因で起こる便秘
薬剤性便秘:抗うつ薬などの抗コリン作用を有する薬物や下剤の乱用が原因で起こる便秘
器質的便秘:大腸癌や腸閉塞など腸管に基礎疾患が存在することで起こる便秘
便秘の人の大半は、病気や薬とは全く関係ない機能性便秘だと言われています。
機能性便秘はだれでも体や心ののバランスが崩れると起こりやすいので注意が必要です。
今回のテーマである「寝不足」も機能性便秘を招く原因の一つです。
排便の時間帯と睡眠の関係
わたしたちは1日のうちでいつ排便することが多いのでしょう?
排便の時間帯は「朝」が一般的です。
特定非営利活動法人日本トイレ研究所が3000名を対象に大人の排便に関する意識調査(※1)を行ったところ、朝・昼・夜のうち一番多かったのは「朝」でした。
昼:8.2%
夜:4.1%
決まっていない:42.4%
また排便頻度は「1日に1回」が一般的であることがわかりました。
2日に1回:24.2%
3日に1回:16.0%
1日に2回以上:10.9%
多くの人は1日に3食食べると思いますが、それでも多くの方は「1日1回」&「朝」に排便します。
この理由はやはり、夜寝ている間に便が作られることが多いからです。
食べたものから便が作られ、肛門から排出されるまでに要する時間は約24~72時間だと言われています。
しかし、この約24~72時間は各臓器で均等に割り振られているわけではありません。
一般的には小腸に到達するまでに約4時間、そして小腸で栄養の吸収などを行うのに約8時間、あとの12時間~60時間はずっと大腸にいます。
この12時間~60時間で便が作られます。
特に大腸が活発に働くのは、夜の睡眠中です。
大腸に集められた食事の食べかすや腸内細菌の死がい、剥がれ落ちた腸壁などの便の素が腸内細菌の発酵や腸のぜん動運動によって、少しずつ排便しやすい形に変わっています。
寝不足だと便秘になる理由
ところが寝不足が続いてしまうとどうなるでしょう?
腸のぜん動運動も十分ではなく、腸内細菌の働きも通常とは違います。
それによって、便を作る作業が思ったように進まず、大腸内に便が留まる時間が増えてしまうのです。
腸のぜん動運動や腸内細菌が上手く働かない理由は、自律神経にあります。
腸の働きは自律神経によってコントロールされていますが、特に副交感神経が優位になると活発になると言われています。
=主に昼間優位になる神経
=仕事や勉強、運動などをしている活動時に働く
=主に夜間優位になる神経
=リラックスしている時や睡眠時などの休んでいる時に働く
寝不足で便秘になるのは、夜になっても副交感神経が働いてくれないからです。
(逆に言えば副交感神経が上手く働かないから眠れないということになります)
腸内環境が悪化するとますます寝不足に
寝不足になると、便秘になりやすくなります。
そして、便秘によって腸内環境が悪化すると、ますます寝不足になります。
そのメカニズムは以下の通りです。
↓
腸の働きが悪化
↓
便秘
↓
ますます腸の働きが悪化
↓
睡眠ホルモン「メラトニン」が分泌されにくい
↓
ますます寝不足
寝不足によって便秘になると、腸内に老廃物が溜まるので、ますます腸内環境が悪化します。
腸内環境が悪化すると、体を調整するホルモンが上手く作れません。
特に睡眠導入ホルモンである「メラトニン」は作られにくくなることが知られています。
「メラトニン」が作られないことでますます寝不足に陥ってしまうのです。
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寝不足が招く便秘以外のリスク
寝不足は、便秘以外にもいろいろな体の変化を及ぼします。
寝不足リスク➁ 体重増加
寝不足リスク➂ ストレス過多
寝不足リスク➃ 認知機能の障害
寝不足リスク➄ 血圧の上昇
一つずつ見ていきましょう。
寝不足リスク➀ 下痢・過敏性腸症候群の悪化
寝不足が招く便秘以外のリスクの筆頭にあげられるのは、下痢や過敏性腸症候群の悪化です。
体質によって便が出にくくなる人もいますが、逆に腸のぜん動運動が激しくなりすぎて下痢や過敏性腸症候群の悪化につながる人もいるのです。
下痢や過敏性腸症候群も便秘と同じで、自律神経系のバランスを整えることが重要だと言われています。
寝不足リスク➁ 体重増加
寝不足が招く便秘以外のリスクの2つ目は、体重の増加です。
寝不足によって腸内環境が悪くなると、正常にホルモンが作れなくなります。
そのため新陳代謝を高める働きをするホルモンや満腹中枢を刺激し、空腹と感じさせないホルモンを十分に分泌することができません。
結果、体重が増え、体脂肪も増えやすくなります。
寝不足リスク➂ ストレス過多
寝不足が招く便秘以外のリスクの3つ目は、ストレス過多です。
寝不足によって腸内環境が悪くなると、腸で作られるしあわせホルモン「セロトニン」も作りにくくなります。
睡眠不足になると、異常に不安になったり、集中できなくなったり、ストレスでイライラするのは、このしあわせホルモン「セロトニン」が足りていない可能性もあります。
長期的な睡眠不足は、うつ病発症リスクが高まるとも言われているので注意が必要です。
寝不足リスク➃ 認知機能の障害
寝不足が招く便秘以外のリスクの4つ目は、認知機能の障害です。
カリフォルニア大学が行った研究(※2)によると、アルツハイマー病の原因の一つである「アミロイドβ」と呼ばれる物質が睡眠中に洗い流されていることがわかっています。
寝不足リスク➄ 血圧の上昇
寝不足が招く便秘以外のリスクの5つ目は、血圧の上昇です。
自律神経のうち日中に働く交感神経が優位になると、血圧が上がります。
そして、夜寝ている時に働く副交感神経が優位になると、血圧が下がります。
この自律神経のリズムが睡眠によってきちんと保たれているうちは問題ないのですが、寝不足によって血圧が下がるタイミングがなくなると、体の緊張がほぐれるタイミングがなく、血圧が上昇しつづける原因のひとつになります。
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寝不足回避!睡眠の質を上げて便秘解消する方法
このように寝不足と便秘にはふか~い関係があります。
便秘解消するためには、寝不足を解消しなければなりませんし、そのためには自律神経を整える必要があります。
方法➁ 朝きちんと光を浴びる
方法➂ 午前中にトリプトファンを採ることを意識する
方法➃ 適度な有酸素運動を継続する
方法➄ 就寝1時間前までに入浴を終える
方法➀ 水を1日1.5~2L飲む
睡眠の質を上げて便秘解消する方法の1つ目は、水を1日1.5~2L飲むことです。
水不足は便秘の大きな原因の一つなので、まずは水を十分に飲むことが大切ですが、可能ならばミネラルがたっぷり入ったミネラルウォーターがおすすめです。
ミネラルウォーターに含まれたマグネシウムは、体内にあるGABA(ガンマアミノ酪酸)の機能をサポートする働きがあるので、覚醒状態をオフにすることができるからです。
方法➁ 朝きちんと光を浴びる
睡眠の質を上げて便秘解消する方法の2つ目は、朝きちんと光を浴びることです。
日光は自律神経の切り替えのスイッチャーになり、1日のリズムを整えてくれます。
朝日光を浴びることで交感神経を優位に働かせ、夜寝る前にはなるべくオレンジ色のやわらかい光を使い、強い光を浴びないようにしましょう。
スマートフォンやパソコンのブルーライトも注意が必要です。
方法➂ 午前中にトリプトファンを採ることを意識する
睡眠の質を上げて便秘解消する方法の3つ目は、午前中にトリプトファンを採ることを意識することです。
質の良い睡眠を作るためには、睡眠ホルモン「メラトニン」を分泌させることが大事ですが、「メラトニン」を分泌させるためには、昼間のうちに幸せホルモン「セロトニン」を作らなくてはなりません。
また、幸せホルモン「セロトニン」を作るためには、その材料である「トリプトファン」をとっておく必要があります。
人間は体の中で自発的に「トリプトファン」を作ることはできないので、食事でとる必要があります。
肉や卵、乳製品やバナナなどに多く含まれているので、可能ならば午前中のうちに摂取して、睡眠ホルモン「メラトニン」を分泌させる準備をしましょう。
方法➃ 適度な有酸素運動を継続する
睡眠の質を上げて便秘解消する方法の4つ目は、適度な有酸素運動を継続することです。
運動してある程度の筋肉をキープしておくことは、腸のぜん動運動を促すためにも有効です。
ムリして重い運動をする必要はないので、ウォーキングや筋トレを取り入れてみましょう。
就寝前は激しい運動はせずに、ストレッチや腸もみをしてリラックスすることも有効です。
方法➄ 就寝1時間前までに入浴を終える
睡眠の質を上げて便秘解消する方法の5つ目は、就寝1時間前までに入浴を終えることです。
寝つきを良くするためには、体温が下がるタイミングと寝付くタイミングを合わせる必要があります。
体温が下がるタイミングに寝るタイミングを合わせるとなると、寝る1時間前までにお風呂から出る計算で入浴する時間を決める必要があります。
まとめ ~寝不足が原因で便秘になるのか?~
「寝不足で便秘になる」というピンポイントなエビデンスはありません。
しかし、まったく関係がないとは言い切れません。
寝不足で便秘になりやすくなるとわたしたちが感じるのには、理由があります。
その理由は、「主に便を作る大腸が活発に働くのは、夜私たちが寝ている間だから」です。
ところが寝不足が続いてしまうとどうなるでしょう?
腸のぜん動運動も十分ではなく、腸内細菌の働きも通常とは違います。
それによって、便を作る作業が思ったように進まず、大腸内に便が留まる時間が増えてしまうのです。
便秘解消するためには、寝不足を解消しなければなりませんし、そのためには自律神経を整える必要があります。
方法➁ 朝きちんと光を浴びる
方法➂ 午前中にトリプトファンを採ることを意識する
方法➃ 適度な有酸素運動を継続する
方法➄ 就寝1時間前までに入浴を終える
参考にしてみてね。
逆転してしまった、昼夜のリズムを戻したい方におすすめ [aside type="boader"] 【特徴】
・テレビや新聞1300媒体で紹介された光で起こす目覚まし時計
・赤は寝付き、白は目覚めをサポート!1つで2度おいしい!
・睡眠の質/自律神経を改善!腸活や昼間のパフォーマンスUPに![/aside]
参考文献
https://www.toilet.or.jp/wp/wp-content/uploads/2021/05/%E5%A4%A7%E4%BA%BA%E3%81%AE%E6%8E%92%E4%BE%BF%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%84%8F%E8%AD%98%E8%AA%BF%E6%9F%BB.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspog/10/2/10_KJ00003770751/_pdf/-char/ja
https://www.nature.com/articles/nrneurol.2011.60