ヒトは食べ物を食べると、そのあと全く運動をしなくても代謝量が増えるようにできています。
これは体内に吸収された栄養素が分解されて、その分解の時に熱を作って、その熱が消費されるから。
そのため、食後は安静にしていてもエネルギー代謝量は増えます。
この食事をすることによって起こるエネルギー代謝のことを「食事誘発性熱産生」と言います。
この「食事誘発性熱産生」への影響が大きいものを食べるか、それとも小さいものを食べるか、この選択が明日の体重を決めるのかもしれません。
今回は、この食べることによって「ダイエット中に食べたい「食事誘発性熱産生」が多い食べもの」について、まとめてみました。
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食事誘発性熱産生(DIT)とは?
食事をすることによって、わたしたちはエネルギーを発しています。
このエネルギー代謝量が増えることを食事誘発性熱産生(DIT)と言います。
=食事後に安静にしていても代謝量が増大すること
どのくらいエネルギーを消費するかは、食べるものによって違います。
三大栄養素の中では、タンパク質がいちばん熱を作ることができます。
そして、次に糖質、そして脂質が最後です。
→摂取エネルギーの30%を消費
糖質のみの場合
→摂取エネルギーの6%を消費
脂質のみの場合
→摂取エネルギーの4%を消費
タンパク質がいちばんエネルギーを作ります。だから、タンパク質は不足しないように食べましょうとよく言われます。食べ過ぎはよくないけど、ある程度は食べないと熱を作れません。具体的には、肉・魚・卵・豆類などです。
よく「タンパク質は太らない」と言われますが、その理由のひとつがこの「熱産生の効率の良さ」にあります。
実際に、タンパク質がメインの焼肉を食べた後って、体があったかくなりますよね。
もちろん、熱を作ることをタンパク質だけに頼っていたら不健康になってしまいます。運動はもちろん健康的な体を保つためにもすごく重要なのですが、運動だけで痩せようとすると疲れちゃったり、怪我したり、すぐにしんどくなって三日坊主になったりします。
そんな時に、助けてくれるのがタンパク質です。
運動によるエネルギー代謝量は多くない
意外かもしれませんが、運動によるエネルギー代謝量はそんなに多くありません。
エネルギー代謝の方法には主に3つの方法があります。
1つ目は、さっきの食事をするときの代謝である食事誘発性熱産生、そして2つ目は生活活動代謝、そして最後が基礎代謝です。
2:生活活動代謝
3:基礎代謝
このうちの「食事誘発性熱産生」と「基礎代謝」は、私たちが特に意識しなくても自然に消費している代謝です。ウォーキングや筋トレなどの運動は生活活動代謝に入ります。ウォーキングや筋トレのほうが意識しないとできないので、エネルギー代謝量も多い気がしますが、そんなに多くないのがミソなんです。
2:生活活動代謝 20%
3:基礎代謝 70%
がんばっているのに、20%しかないなんて!
かなりつらいです。笑
もちろん適度な運動は健康のために大事だけど、頑張ってもそこまで影響が多くないので、メンタルに響きやすく、それが、運動によるダイエットはリバウンドになりやすいと言われるゆえんです。
ダイエットに成功したかったら、ある程度の運動はしながら、食事誘発性熱産生や基礎代謝をあげることに注力するほうが賢い方法だと言えそうです。
そういうと、「よし、タンパク質を食べよう!」と思う方も多いと思います。
もちろん「タンパク質」は重要です。一般的には、毎食20g(手のひらに1杯分)は食べたいところ。
しかし、もう一つ「食事誘発性熱産生を増やす食べ方のコツ」があるんです。
食事誘発性熱産生を増やす食べ方のコツ
食事誘発性熱産生を増やす食べ方とは、とにかくゆっくり食べること。
実は東京工業大学が2014年に行った研究(※1)で、よく噛んでゆっくり食べると食後のエネルギー消費量が増えることが分かったんです。
ちょっとその研究をご紹介してみましょう。
被験者は10名です。300kcal の食品をできるだけ早く食べてもらうのと、逆にできるだけゆっくり食べてもらい、その秒数や咀嚼回数、そして食事誘発性体熱産生量を計りました。
そこでわかったことはこちら。
なんと、ゆっくり食べるだけで、約200calも差が開いてしまうんです。
ゆっくり食べると、わたしたちは消化吸収活動を十分に行うようになり、エネルギー消費量が増えます。
食べて痩せるダイエットをしようとしている方は、タンパク質もきちんと20gとるようにするだけでなく、たのしみながらゆっくりたべることも意識するとよさそうです。
参考にしてみてね。
ばいばいきん。
参考:紹介論文&研究結果
(※1)ゆっくり食べると食後のエネルギー消費量が増えることを発見
https://www.titech.ac.jp/news/pdf/n000276.pdf
※この内容は、診断・治療または医療アドバイスを提供しているわけではありません。あくまで情報提供のみを目的としています。
※診断や治療に関する医療については、医師または医療専門家に相談してください。この内容は医療専門家からのアドバイスに代わるものでもありません。