【この記事で解決できるお悩み】
・どぶろくと甘酒、にごり酒の違いってなに?
・どぶろくは健康や美容にイイってホント?
・どぶろくの特徴や作り方をわかりやすくおしえて



この記事では、こんなお悩みを解決します!
まったりとした甘みと白くにごった色が特徴的なお酒、どぶろく。
ビールやワインほど有名ではありませんが、日本では古くから美容や健康を気にする方に人気があります。
でも、唯一無二かと思いきや、甘酒やにごり酒など似ている飲み物もたくさんあるみたい。
そこで今回はどぶろく・甘酒・にごり酒の違いを徹底解説!
その特徴や作り方、税法上の違いを整理してみました。
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この記事を書いた人:
腸活研究家 長谷川ろみ
発酵食品にハマり、ダイエットなしで12㎏減。痩せたことをきっかけに腸を愛でる生活に目覚める。重度の便秘から解放され、腸活研究家として活動開始。今では発酵ライフ推進協会通信校校長を務め、昔の自分と同じ悩みを持つ方に向けて腸や菌のおもしろさを発信中。詳しくはこちら


どぶろくと甘酒とにごり酒の違い


どぶろくは、米と米麹が原料のお酒です。
しかし、米と米麹が原料の飲み物と言えば、甘酒やにごり酒もまったく同じ。



じゃあなんで、それぞれ呼び名が違うのか不思議ですよね。
ここからは、以下の観点からどぶろくと甘酒とにごり酒の違いを見ていきましょう。
一つずつ見ていきましょう。
作り方・製造方法の違い
どぶろくと甘酒とにごり酒は、作り方・製造方法が違います。
どぶろくと甘酒の違い
どぶろくと甘酒の違いは、アルコール発酵をしているかどうかです。
甘酒=麹と蒸し米を混ぜて糖化させたもの
どぶろく=麹と蒸し米を混ぜて糖化させたものをエサにして、酵母菌がアルコール発酵したもの



甘酒に酵母菌を混ぜると、アルコール発酵が進んじゃう可能性があるんだよね。
糖化とは、麹菌が米に含まれる大きい糖(でんぷん)を小さい糖(ブドウ糖など)に分解することです。
糖化
=蒸し米のでんぷんをブドウ糖に分解するための工程
=麹菌が持つ酵素(具体的にはアミラーゼ)で、米に含まれるでんぷんをブドウ糖に分解する
糖化は主に麹菌の仕事です。



糖化がすすんで甘くなると、甘酒が完成!そこにさらに酵母菌を追加すると、ブドウ糖をエサにして酵母菌がアルコールを作ってくれるの。
甘酒(米と麹菌から糖分ができる)*酒粕で造る方法もあります。
↓
↓アルコール発酵(酵母菌が糖分を喰ってアルコールを出す)
↓
どぶろく(濁酒)
酵母菌はアルコール発酵の過程で、二酸化炭素をはじめとするたくさんのガスや臭気成分を出します。
この臭気成分がお酒の香りを作ります。
酵母の種類や発酵の仕方によって、フルーティな香りをまとう日本酒ができたり、お米のにおいががっつりする日本酒ができたりと、個性が生まれます。



酵母菌は麹菌のように酵素(ハサミ)をたくさん持っていないので、自分でエサを作ることはできません。麹菌が作ってくれたエサを食べて、はじめてアルコール発酵ができます。
どぶろくとにごり酒の違い
どぶろくとにごり酒の違いは、アルコール発酵をしたあとにできたもろみを濾すか、濾さないかです。
どぶろく
=麹と蒸し米を混ぜて糖化させたものをエサにして、酵母菌がアルコール発酵したもの
にごり酒
=麹と蒸し米を混ぜて糖化させたものをエサにして、酵母菌がアルコール発酵したものを
荒い目の袋で濾したもの
清酒(純米酒)
=麹と蒸し米を混ぜて糖化させたものをエサにして、酵母菌がアルコール発酵したものを
細かい目の袋で濾したもの



どぶろくは発酵した液体そのままだけど、にごり酒は荒く濾すという特徴があるよ。
甘酒(米と麹菌から糖分ができる)*酒粕で造る方法もあります。
↓
↓アルコール発酵(酵母菌が糖分を喰ってアルコールを出す)
↓
どぶろく(濁酒)
↓
↓粗めの布などで濾す
↓
にごり酒
↓
↓細かめの布などで濾す
↓
清酒(純米酒)
法律上の違い
どぶろくと甘酒とにごり酒は、法律上の扱いが違います。
名称 | 分類 | 酒税法の対象 |
---|---|---|
甘酒 | 清涼飲料水 | 対象ではない |
どぶろく | その他の醸造酒 | 対象 |
にごり酒 | 清酒 | 対象 |



米麹から作られる甘酒は、アルコールは入っていないので、酒税法の対象ではないよ。
どぶろくと甘酒の違い
酒税法上、どぶろくは「その他の醸造酒」に分類されますが、甘酒はそもそも酒税法の対象ではありません。
甘酒は米と米麹が主原料で、酵母は含まれません。
そのためアルコール発酵をするスターター菌が存在せず、アルコールが発生しません。
一方、どぶろくは米と米麹に酵母を加えて醸造するため、アルコールを含みます。
つまり、どぶろくと甘酒の違いは、アルコールを含有しているかどうか、酵母を含有しているかどうかということになります。
その他の醸造酒 穀類、糖類その他の物品を原料として発酵させた酒類(第七号から前号までに掲げる酒類その他政令で定めるものを除く。)でアルコール分が二十度未満のもの(エキス分が二度以上のものに限る。)をいう。
引用:(※1)酒税法第三条


どぶろくとにごり酒の違い
酒税法上、どぶろくは「その他の醸造酒」に分類されますが、にごり酒は「清酒」に分類されます。
「清酒 次に掲げる酒類でアルコール分が二十二度未満のものをいう。
イ 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの
引用:(※1)酒税法第三条
ロ 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量の百分の五十を超えないものに限る。)
ハ 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの」
どぶろくとにごり酒の共通点は、原材料として米と米麹を使用し、アルコール発酵をしていること。
しかし、にごり酒はアルコール発酵をした後に濾す工程が入るのに対し、どぶろくは濾さずにそのまま飲むのが大きな違いです。
にごり酒は醸造の過程で、もろみを目の粗い酒袋でこす作業がはいります。
この濾すという工程がある場合に、酒税法では「清酒」に分類されます。
一方、どぶろくは濾すという工程を含みません。そのため、酒税法上は清酒として扱われず、雑酒(=その他の醸造酒)に分類されます。



かんたんに言うと、にごり酒は日本酒だけど、どぶろくは日本酒ではないってことです。
どぶろくと甘酒とにごり酒の比較表
甘酒(米麹甘酒) | どぶろく | にごり酒 | 清酒 | |
---|---|---|---|---|
酒税法上の分類 | 清涼飲料水 | その他の醸造酒 | 清酒 | 清酒 |
作り方 | 麹と蒸し米を混ぜて糖化させたもの | 麹と蒸し米を混ぜて糖化させたものをエサに、酵母菌が発酵し、アルコールができたもの | 麹と蒸し米を混ぜて糖化させたものをエサに、酵母菌が発酵し、アルコールができたものを粗めの布で濾したもの | 麹と蒸し米を混ぜて糖化させたものをエサに、酵母菌が発酵し、アルコールができたものを細かいめの布でしっかり濾したもの |
➀糖化する | する | する | する | する |
➁酵母発酵する | しない | する | する | する |
➂濾す | しない | しない | 粗めにする | しっかりする |
アルコール度数 | なし | 20度まで | 22度まで | 22度まで |



ここからは、日本酒とは似て非なるもの「どぶろく」について、詳しく見ていきましょう。
どぶろくとは?


どぶろくは、日本に古くから伝わる原始的なお酒で、日本酒よりも古い歴史があります。
もともとは豊作祈願のために、神様にお供えされた神聖な飲み物でした。
なんの技術も機械もない時代から作られていたので、その作り方はとてもシンプル。
単純に米と米麹、そして酵母を混ぜて、発酵させるだけの単純なものでした。
その後、どぶろくは時代ごとに大きなドラマを生む飲み物となります。
少しさかのぼってみていきましょう。
江戸時代に大流行した「どぶろく」
古代から神様のお酒として親しまれていたどぶろくですが、江戸時代になると庶民が各家庭で作りはじめるようになります。



とにかく材料は少ないし、混ぜるだけでできてしまうから、そりゃみんな作り始めるよねw
かんたんな製造工程が原因で、日本各地で独自に作る人が多くなり、どぶろく造りを家業にする「どぶろく屋」も現れ、江戸っ子の間ではちょっとしたブームになりました。



当時はどぶろく関連のお祭りもかなりたくさんあったようです。
戦後は闇のイメージが強い「密造酒」
みんなに愛され、庶民が各家庭で作ることも増えたどぶろく。
しかし、自由に製造できた期間は明治初期までです。
明治15年に制定された酒造税則の改正により、どぶろくの製造は免許制になり、税金(80銭の免許鑑札料)を納付した者だけが作れるように。



どうにかして税金を摂ろうとした結果の改正だったようです…むむむ。
その後、さらにどぶろくの製造が許されるケースが少なくなっていき、一部の神事に使われるどぶろくのみ醸造が許されることになりました。
ただし、戦後は一時的な混乱により、密造酒としてどぶろくを作っている人も多かったようです。
2002年から「どぶろく特区」が制定され、公にどぶろくを作ることができる地域が生まれ、合法的にどぶろくが飲めるようになりました。
どぶろく特区
=酒税法の酒類製造免許取得に関する年間最低製造数量基準を適用しない地区のこと
=酒税法に基づく製造免許の取得など、その他の製造条件は適用される



でも、未だにルールは厳しく、販売業の免許がある場合以外は、お土産等で直接製造者が販売することができないので、通常の日本酒と比べると出会える機会が少なくなっています。
健康美容効果が期待される「栄養酒」
どぶろく特区などのルールが明確になり、また盛り上がりをみせている「どぶろく」。
材料を濾さないため、もろみがそのまま残り、日本酒と比較すると明らかにどろどろです。
どろどろした食感が残るどぶろくは飲みにくいと言う人がいる一方で、発酵によってつくられた成分が凝縮された栄養の宝庫!
特にヒトが体内で作ることができない必須アミノ酸が豊富に含まれ、ビタミンB群やペプチド、食物繊維はもちろん、肩こりや頭痛の改善、発毛促進、睡眠の質の向上が期待される「アデノシン」や、骨粗鬆症予防が期待される「カテプシンL」などの効果も注目されています。
どぶろくの美容・健康効果


どぶろくは麹菌が発酵の過程で、いろんな栄養素を作ってくれるので、栄養価にすぐれた酒類のひとつです。



あくまで飲みすぎなければの話ですよw
一つずつ見ていきましょう。
アミノ酸が多く、代謝アップに効果的
どぶろくは、血や筋肉を作り、代謝を促すために必要なアミノ酸が豊富に含まれています。
血や筋肉が増えれば、基礎代謝も上がり、太りにくく、丈夫な体を作ることができるので、風邪予防や肥満予防にも間接的に効果があります。
食べ物からしか摂取できない必須アミノ酸に分類される、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジンが含まれているのがうれしいところ。
他の酒類と比べても、どぶろくはアミノ酸を摂取しやすいお酒だと言えそうです。
コウジ酸が多く、美肌・美白に効果的
麹菌がつくるコウジ酸は、美肌や美白に導いてくれる成分です。
コウジ酸
=メラニンの生成を抑える
=黄色いくすみを軽減する



お肌の調子が微妙だなぁと思ったら、どぶろくや甘酒などの発酵食品がおすすめ!
オリゴ糖が腸内環境の改善に効果的
どぶろくの甘さの元になっているのは、麹菌が米を分解して作ったオリゴ糖です。
オリゴ糖
=少糖類の1種で、腸まで届き、腸内細菌のエサになる糖
=通常の砂糖より甘さは弱い
オリゴ糖は、腸まで届き、腸内細菌のエサになると言われている糖です。
腸内細菌のバランスを整えて、体外にゴミを出しやすい体にしてくれます。
酵母が作るアデノシンA2Aが良質な睡眠に効果的
どぶろくには、酵母が作る「アデノシンA2A」という成分が含まれています。
アデノシンA2A
=深い睡眠を誘発する成分として注目されている。
=覚醒時間を減らす効果がある成分として注目されている。
筑波大学の研究発表(※1)によると、「アデノシンA2A」は睡眠ととても関連が深い成分なのだとか。
特に深い睡眠を誘発したり、覚醒時間を減らす効果が注目されています。



どぶろくを飲んだらよく寝られるようになった…としても不思議じゃないようです。
どぶろくを飲んだ人の口コミ


最近はどぶろくの製造者さんと地域が一緒になって、新しい商品を開発することが多くなり、おしゃれなどぶろくがたくさん生まれています。
ぜひいろんなどぶろくを楽しんでみてください。
甘酸っぱくてフルーティ&フレッシュ



フルーティな黒松仙醸さんのどぶろくです!SNSの口コミで大人気な一品
過発酵は酸っぱすぎてマズい
ろ過されていないどぶろくは栄養満点



「TOKYO どぶろくフェスタ2012 火入れ部門」の大賞に輝いたこともある人気のどぶろくです!
まとめ:どぶろく・甘酒・にごり酒の違いを解説!


結論から言うと、どぶろくと甘酒の違いは、アルコール発酵をしているかどうか、さらに、どぶろくとにごり酒の違いは、アルコール発酵の後に「濾す」工程があるかどうかです。
甘酒(米麹甘酒) | どぶろく | にごり酒 | 清酒 | |
---|---|---|---|---|
酒税法上の分類 | 清涼飲料水 | その他の醸造酒 | 清酒 | 清酒 |
作り方 | 麹と蒸し米を混ぜて糖化させたもの | 麹と蒸し米を混ぜて糖化させたものをエサに、酵母菌が発酵し、アルコールができたもの | 麹と蒸し米を混ぜて糖化させたものをエサに、酵母菌が発酵し、アルコールができたものを粗めの布で濾したもの | 麹と蒸し米を混ぜて糖化させたものをエサに、酵母菌が発酵し、アルコールができたものを細かいめの布でしっかり濾したもの |
➀糖化する | する | する | する | する |
➁酵母発酵する | しない | する | する | する |
➂濾す | しない | しない | 粗めにする | しっかりする |
アルコール度数 | なし | 20度まで | 22度まで | 22度まで |
さまざまな歴史をたどって、今また江戸時代と同じように、みんなが楽しめるお酒というイメージに戻りつつあるどぶろく。
ぜひ、どぶろく特区に出向き、おいしいどぶろくをみつけてみてください。
参考にしてみてね。
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参考文献
(※1)睡眠誘発物質アデノシン|筑波大学
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/images/pdf/181025lazarus-1.pdf
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