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長谷川ろみ
編集長:長谷川ろみ麹のちから推進委員会代表。元おデブの腸活研究家。腸内細菌に救われたことをきっかけに、日本の発酵文化や腸の大切さを伝えるためのコト・モノ・しくみづくりに挑戦中。詳細はこちら>

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犬にも腸活は必要なのか?犬の腸内環境を整える食べ物&方法まとめ

最近は、「腸活が健康のためにとても重要!」という内容のメディア記事や番組が多くみられるようになりました。

腸内環境を整えることが健康を維持する上で重要であるという研究結果や論文も多く発表されています。

でも、それって人間だけなのでしょうか?

今回はペットの中でもいちばん身近な犬の腸内環境についてまとめてみました。

ペットとしてわんちゃんを飼っているみなさん!
わんちゃんが下痢や便秘をしがちで悩んでいるみなさん!

必見です♪

目次

犬の腸内環境

犬の腸内環境って、どうなってるかいるんだろう?

わんちゃんを飼っている人なら、うんちの処理をしながら一度は思ったことがあるのではないでしょうか?

残念ながら犬の腸内環境についての研究は、まだ人間ほど進んでいません。

でも、人間と一緒で、犬の腸内環境も生活習慣によって変化し、腸内環境の良し悪しによって健康に影響が出ることがわかってきています。

では、犬の腸内環境は、どんなことで変化するのでしょうか?

犬の腸内環境を変化させる要因

犬の腸内環境を変化させる主な要因は、以下の3つだと言われています。

食生活
ストレス
加齢

うん、なんか、人間とやっぱり似てる。笑

同じ動物なので、当たり前といえば当たり前なのですが、犬の場合は、加齢による腸内環境の変化がとても大きく、また犬種によっても、腸内環境が大きく違うことがわかってきています。

犬のステージ別腸内環境の変化

加齢による犬の腸内環境の変化とは、一体どんなことなのでしょうか?

ここに、犬の年齢のステージによって、腸内細菌叢がどのように変化するかをしらべた研究結果があります。

日精製粉グループと東京大学大学院農学生命科学研究科獣医公衆衛生学教室の共同研究ですが、内容を要約したものがこちらです。

・犬もヒトと同じく、加齢に伴う腸内細菌叢の変化(老化)が認められた。

・ヒトの赤ちゃん期はビフィズス菌は優勢菌であり、加齢に伴ってその数が減少するが、犬の赤ちゃん期は乳酸桿菌が優勢菌であり、加齢に伴って減少することが確認された。

・優勢菌である乳酸桿菌の中でも、Lactobacillusjohnsonii という菌種は、離乳前の犬にのみ多く認められた。

参考:イヌにおける加齢に伴う腸内細菌叢の変化を確認
https://www.nisshin.com/uploads/170131.pdf

人間は、生まれたばかりの赤ちゃん期は、その99%がビフィズス菌だと言われています。

しかし、犬の場合は、乳酸菌が優勢で、中でもラクトバシラスジョンソニイ(Lactobacillusjohnsonii)という菌が多いのだとか。

ラクトバシラスジョンソニイは、肝臓で作られる胆汁酸につよい菌です。

犬は胆汁酸が多い動物だと言われているので、ラクトバシラスジョンソニイが育成しやすいのもわかります。

ラクトバシラスジョンソニイ(Lactobacillusjohnsonii))は抱合胆汁酸に対する加水分解活性、胆汁酸耐性、コレステロール吸着作用に優れ、生体への投与によって血清中のコレステロールを抑制する。

参考:
ラクトバシラスジョンソニイのコレステロール抑制効果を有数各種製品
https://patentimages.storage.googleapis.com/8f/83/96/52cb0a45f932b7/JP2011217715A.pdf

犬と人間の腸内環境の違い

人間と同じように、犬にも小腸があり、大腸があります。犬も人間と同じように腸内細菌叢(=腸内フローラ)を持っています。

人間と犬の腸は、似ているところもがあれば、似ていないところもあります。

よく言われるのは、犬のほうが下痢になりやすいということ。犬の大腸は人間の大腸に比べて短いので、腸内細菌叢が安定していない場合、消化不良によって下痢になりやすいのです。

他にもたくさんの違いがあります。ペット栄養学会誌にその違いが整理されていたので要約してみましょう。

・犬の小腸に住む腸内細菌数は、人間のそれに比べて少ない

・犬の小腸に住む腸内細菌の種類は、人間のそれに比べて少ない

・犬の小腸に住む腸内細菌は、酸素があっても生きていける菌が多い

・犬の小腸は大腸に比べて、腸内細菌数が少ないが、その理由は犬は食事の内容物の通過速度が速いこと、胆汁酸の濃度が高いことが挙げられる

・原因はわかっていないが、最近は小腸の腸内細菌が増えていて、それが慢性的な下痢の原因になっている犬も少なくないという報告がある

参考:ペット栄養学会誌 イヌ・ネコの腸内細菌と健康より
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan1998/7/3/7_139/_pdf/-char/ja

犬は残念ながら食生活による腸内細菌叢の変化よりも、老化による腸内細菌叢の変化のほうが一般的には大きいようです。

ただ老化はコントロールしにくいこともあって、食生活やストレスケアをすることで、老化スピードを遅らせる方向に仕向けるしかなさそうですね。

犬の腸内環境を整える方法

人間の腸内環境を整える方法もやっといろいろな研究結果が出始めたところなので、犬のそれはまだ多くはありません。

でも、もしわんちゃんが下痢や便秘を繰り返していたら、腸内フローラのバランスが崩れている可能性があります。

まず、ケアしてあげたいのはストレスです。部屋の温度が暑すぎたり、寒すぎたり、常に人が行き来していたりといった環境の問題や、飼い主とのコミュニケーションの不足などがストレスになるといわれています。

そして、もう一つケアしやすいのが食生活です。

炎症を起こしやすい腸内細菌が増える原因として、一般的に報告されているのは栄養の取りすぎが多いのだとか。逆に炎症を減らすものとしては、食物繊維が注目されています。

▼炎症を起こす原因
大腸内に脂肪やたんぱく質が過剰に与えられること
▼炎症を緩和する原因
発酵可能繊維や多価不飽和脂肪酸を摂ること

他にも研究結果を調べてみると、犬の腸内細菌叢とはいっても、人間の腸内細菌を整える方法と似ているなーと感じるものが多くあります。

食物繊維:ペクチン・イヌリン

発酵可能な食物繊維とは、可溶性食物繊維といわれるペクチン、イヌリンなどで、人間の腸内環境にとっても良いとされる成分です。

ペクチンやイヌリンは、犬の大腸を大きくして、栄養吸収の面積を大きくしたり、インスリン分泌を促進することで、血糖値を正常に保つ働きが報告されています。

オリゴ糖:ラクチュロース

もうひとつ犬の腸内環境にいいという報告があるのが、オリゴ糖のひとつであるラクチュロースです。ラクチュロースは、人間の腸内環境も整えるといわれています。

ラクチュロースは、牛乳に含まれる乳糖を原料として作られるオリゴ糖で、ミルクオリゴ糖とも呼ばれている。牛乳を殺菌することでラクチュロースが生まれるため、牛乳が嫌いな人でなければ、ラクチュロースは、実は知らず知らずのうちに食べている身近な存在といえる。

参考:森永乳業研究開発ストーリー
https://www.morinagamilk.co.jp/learn_enjoy/research/story/lactulose/

犬にラクチュロースを与えて腸内環境の変化を調べた研究結果では、人間と同じくビフィズス菌などの善玉菌とされる菌が増え、悪玉菌が減ったと報告されています。

食物繊維とオリゴ糖・・・人間と一緒ですね。

犬のエサは手作りすべきか?

最近はペットの健康を考えたエサやサプリメントがかなり増えていて、昔よりも手に入れやすくなっています。

通常のドライフードやウェットフードに、ペクチンやイヌリン、ラクチュロースが入った少し特殊なエサやサプリメントを追加するのも良い方法ですが、獣医師やペットの栄養管理士さんの中には、ペットのごはんを手作りすることを推奨している方もいます。

手作り食にすると不必要な添加物を摂らなくなるため、犬の毛のつやや便の状態がよくなったり、口臭や体臭がなくなるんですって!

添加物は犬のエサにも多く含まれる可能性があり、ペット栄養学会誌にはこんな心配も述べられていました。

加工肉には亜硝酸が発色剤として用いられることがあるので、イヌ・ネコが直接直接亜硝酸を摂取することもあり得る。

特にペットフードの原料には輸入肉が用いられることが多いが、輸入肉には保存のために亜硝酸が添加されているものがあると言われていることからイヌ・ネコの亜硝酸摂取量は高い可能性がある。

また、魚や肉類はアミノ酸やリン脂質を多く含んでいるので、これらの含有量の高い餌を摂取するイヌ・ネコでは、ニトロソアミンの問題は無視で きないであろう。

参考:ペット栄養学会誌 イヌ・ネコの腸内細菌と健康より
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpan1998/7/3/7_139/_pdf/-char/ja

ニトロソアミンの中には、発がん性が心配される物質もあります。

ニトロソアミン (nitrosoamine、nitrosamine) とはアミンの誘導体のうち、アミン窒素上の水素がニトロソ基に置き換わった構造をもつ化合物群のこと。 中には発がん性などの生理活性が知られる物質がある。

参考:ウィキペディア

まとめ

犬の腸内環境も人間の腸内環境と似ているところが多く、同じ動物なんだなぁと強く感じます。

最初にお腹にいる菌がビフィズス菌ではないことはすこし驚きだけど、腸活でしなければならないことは結構似ています。

犬を飼っていて、ペットが便秘や下痢を繰り返していたり、アレルギーなどでかゆがって苦しんでいたら、ストレス管理はもちろんのこと、食生活も管理してあげるとよさそうです。

わたしも動物予防医療普及協会さんのイベントで腸活講師をさせていただいたときに、実際に手作り食のわんちゃんと触れ合わせていただいた機会がありました。

飼い主さんによると、体をかかなくなったり(以前はかゆがっていたそうです)、便通が良くなったそうですよ♪

わんちゃんの腸内環境がよくなる参考になれば幸いです(*´▽`*)

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