【この記事で解決できるお悩み】
「分別生産流通管理済み」ってどんな意味?
「分別生産流通管理済み」と成分表に書かれた納豆の安全性は?
「分別生産流通管理済み 」と「遺伝子組み換えでない」の違いをおしえて!
この記事では、こんなお悩みを解決します!
最近、成分表の大豆の欄に「大豆(分別生産流通管理済み)」と書かれた納豆や醤油、味噌などの発酵食品を見かけるようになりました。
実はコレ、2023年4月1日から変更された遺伝子組み換え表示制度によるもの。
最近生まれた新しい表記方法なんです。
そこで今回は、納豆の成分表に書かれた「分別生産流通管理済み」とはなにか、その意味を徹底解説!
「分別生産流通管理済み 」と「遺伝子組み換えでない」の違いも整理してみましょう。
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この記事を書いた人:
腸活研究家 長谷川ろみ
発酵食品にハマり、ダイエットなしで12㎏減。痩せたことをきっかけに腸を愛でる生活に目覚める。重度の便秘から解放され、腸活研究家として活動開始。今では発酵ライフ推進協会通信校校長を務め、昔の自分と同じ悩みを持つ方に向けて腸や菌のおもしろさを発信中。詳しくはこちら
遺伝子組み換え食品とは?
厚生労働省の資料(※1)によると、遺伝子組み換え食品とは、他の食品の遺伝子を計画的に組み込んで性質を変えた食品のこと。
遺伝子組み換え食品
=他の食品の遺伝子を計画的に組み込んで性質を変えた食品
日本国内では、遺伝子組み換え作物を商業的に栽培することはありませんが、アメリカなどの諸外国から輸入されています。
納豆や醤油、味噌などの日本の発酵食品に多く使われている大豆も、遺伝子組み換え食品が多い食材のひとつです。
【遺伝子組み換え食品の例】
・除草剤に強い大豆、とうもろこし、なたね
・害虫に強いとうもろこし、わた など
詳しく見てみましょう。
遺伝子組み換え食品の安全性
遺伝子組み換え食品の安全性については、厚生労働省によって審査が行われており、「食べ続けても問題はない」という見解が発表されています。
遺伝子組み換え食品を食べ続けても健康被害は起こりませんか?
さまざまなデータに基づき、組み込んだ遺伝子によって作られるタンパク質の安全性や遺伝子が間接的に作用し、有害物質などを作る可能性がないことが確認されていますので、食べ続けても問題はありません。
(※1)新しいバイオテクノロジーで作られた食品について|厚生労働省
食べたくない人のための遺伝子組み換え表示制度
厚生労働省の審査や見解によると問題がない遺伝子組み換え食品ですが、食べたくない人が多いのも事実です。
遺伝子組み換え食品を食べたくない人のために、消費者庁は遺伝子組み換えされた農作物を使用しているか表示することを義務化しています(※2)。
1:遺伝子組換え農産物を使用する場合は、「遺伝子組換え」と表示する
2:遺伝子組換えの農産物とそうでない農産物が混ざっている場合は、「遺伝子組換え不分別」と表示する
食べたくない人は、「遺伝子組換え」「遺伝子組換え不分別」を選ばなければよいというのが基本です。
でもこれが、そんなに単純ではないんです。「遺伝子組換え」「遺伝子組換え不分別」を選べば絶対に避けられるというわけではないのが、難しいところ…。
遺伝子組み換え表示、どこが変わった?
遺伝子組み換え食品を食べたくない人が遺伝子組み換え食品を避けることができるように、2023年4月1日に遺伝子組み換え表示の「任意表示」が変わりました。
一つずつ見ていきましょう。
任意表示とは?
遺伝子組み換え表示制度には、遺伝子組み換え農作物を使っている場合に、必ず原材料名に遺伝子組み換えであることを表示しないといけないルールがあります。
1:遺伝子組換え農産物を使用する場合は、「遺伝子組換え」と表示する
2:遺伝子組換えの農産物とそうでない農産物が混ざっている場合は、「遺伝子組換え不分別」と表示する
しかし、遺伝子組換え農産物を使用していない場合は、遺伝子組換え農産物を使用していないことを表示する義務はありません。
この場合は、任意でこんな表示をすることが認められています。
大豆(遺伝子組み換えでない)
でも、この「遺伝子組み換えでない」の意味が問題なんです。
これまでの任意表示の問題点
これまでの遺伝子組み換え食品表示制度では、遺伝子組換えの使用率が5%以下なら、「遺伝子組み換えでない」と表示して良いことになっていました。
旧ルール
遺伝子組み換え大豆の使用率 | |
---|---|
「大豆」 | 不明 |
「大豆(遺伝子組み換えでない)」 | 0~5%の間 |
「遺伝子組み換えでない」と書かれていても、5%含まれている可能性があるってことです。
そのため、消費者が「遺伝子組換え」「遺伝子組換え不分別」を避けていても、遺伝子組換えの使用率が5%以下である場合は、そのことに気がつかずに食べてしまう可能性があることが問題視されていました。
どうしてこのような曖昧なルールになっているのか。
それは、適切に分類されていたとしても「意図せざる混入」があることを予想したルールになっているからです。
意図せざる混入
(※3)アメリカ及びカナダ産の非遺伝子組換え原料(大豆・とうもろこし)確保のための流通マニュアル
分別生産流通管理が適切に行われたことを確認した非遺伝子組み換え農産物であっても、意図せざる遺伝子組み換え農産物の一定の混入の可能性は否定できません。
そして、この遺伝子組み換え食品表示制度の曖昧さを払拭した新ルールが2023年4月から適用されることになりました。
任意表示の変更点(2023年4月)
2023年4月以降は、遺伝子組み換え食品表示制度の任意表示についてのルールが以下のように変わりました。
旧ルール
遺伝子組み換え大豆の使用率 | |
---|---|
「大豆」 | 不明 |
「大豆(遺伝子組み換えでない)」 | 0~5%の間 |
新ルール
遺伝子組み換え大豆の使用率 | |
---|---|
「大豆」 | 不明 |
「大豆(分別生産流通管理済み)」 | 5%以下 |
「大豆(遺伝子組み換えでない)」 | 0% |
「大豆(非遺伝子組換え)」 | 0% |
これからは「遺伝子組み換えでない」「非遺伝子組換え」と書かれている大豆は、本当に0%の確率で遺伝子組み換えでないことになりました。うん、わかりやすいですね!
分別生産流通管理済みとは?
新しい遺伝子組み換え表示制度では、新たに「分別生産流通管理済み」と書かれる大豆が増えることになります。
この「分別生産流通管理済み」の意味は、こんな感じ…?
分別生産流通管理済み
=遺伝子組み換え農産物かどうかは分別済み
=遺伝子組み換え農産物は入っていない…が意図せざる混入の可能性はある(0~5%以下)
「大豆(分別生産流通管理済み)」と書かれた納豆や醤油をみつけたら、少し曖昧な納豆や醤油であることを覚えておきましょう。笑
遺伝子組み換え食品を食べたくない人の納豆の選び方
「遺伝子組み換え食品を絶対に食べたくない」
「遺伝子組み換え食品は0%以外は認めない」
という方は、ぜひこれから解説するポイントをチェックして、納豆を選びましょう。
国産と書かれた納豆を選ぶ
2023年3月現在、日本国内では、遺伝子組み換え農作物を商業的に栽培することはありません。
今出回っている遺伝子組み換えは、そのすべてがアメリカなどの諸外国から輸入されたものです。
そのため、国産大豆100%使用している納豆であれば、遺伝子組み換え農作物が混ざっていることはありません。
有機・オーガニックと書かれた納豆を選ぶ
有機・オーガニックと書かれた納豆は、遺伝子組換え由来の種苗を使用していません。
消費者庁が発行する有機農産物の表示概要資料(※4)によると、JAS法による有機農産物の定義は以下のとおり。
①種播き又は植え付け前2年以上、禁止されている農薬や化学肥料を使用しない田畑で生産。
(※4)有機農産物の表示概要|消費者庁
②遺伝子組換え由来の種苗を使用しない。
③原則として農薬・化学肥料を使用しないで栽培を行う等、地域環境への負担をできる限り軽減した栽培で生産した食品。
遺伝子組換え由来の種苗は使用されていません!わかりやすいですね。
さらに平成11年のJAS法の改正によって、JAS規格に沿った農作物でない場合は、「有機〇〇」「オーガニック〇〇」という表示をすることもできなくなりました。
「有機〇〇納豆」って書かれていたら、遺伝子組換え農作物ではないってことが明確になりました。
「大豆(遺伝子組み換えでない)」が書かれた納豆を選ぶ
ぱっとみで「国産」や「有機」という言葉がパッケージにない場合でも、原材料表示を見れば、区別可能です。
大豆の欄を見て、「大豆(遺伝子組み換えでない)」が書かれていれば、遺伝子組み換え農産物の割合は0%です。
逆に「大豆(分別生産流通管理済み)」を選ぶと、少し混入している可能性は否定できないので、選ばないようにしましょう。
遺伝子組換え不分別とは?
また、「分別生産流通管理済み」とは逆に、「遺伝子組換え不分別」と書かれている納豆もたまに存在します。
これは、納豆の原材料となる大豆を生産、流通、加工するどこかの段階で、分別管理できていないことを指しています。
遺伝子組換え不分別
=大豆を生産、流通、加工するどこかの段階で、分別管理できていないという意味
遺伝子組換え農産物を絶対に食べたくない場合は、「遺伝子組換え不分別」も選ばないようにしましょう。
遺伝子組み換え大豆を使っていない納豆・醤油
遺伝子組み換え大豆を使っておらず、昔ながらの発酵段階を踏んだ蔵造りの納豆や醤油は、とても深みがあり、香り豊かです。
わたしの好きな昔ながらの納豆や醤油をご紹介します!遺伝子組み換え大豆を使っていないものを厳選!
一つずつ見ていきましょう
生板納豆(秋山食品)
茨城の県南、小さな町にある小さな納豆屋、秋山食品がつくる、質の高い納豆です。
そもそも完全有機の品質の高い納豆を作ることになったのは、卸先の外食チェーン店から突然の取引中止を言い渡されたことがきっかけだったとか。
「有機JAS認証」マーク付き、合成保存料、着色料、増粘剤不使用の納豆は本当にめずらしいです。
納豆の原材料:
国産有機大豆、納豆菌
タレの原材料:
有機しょうゆ(大豆、小麦を含む)、有機砂糖、食塩、有機醸造調味料、鰹節エキス、有機りんご酢、酵母エキス
からしの原材料:
からし、醸造酢、水飴、食塩、植物油脂、ビタミンC、香辛料
タレやからしは使わず、生板納豆をお味噌汁に入れて納豆汁にするのが好きです…笑
\ 有機JAS認証マーク付きの納豆はめずらしい(*´▽`*) /
高級納豆6種お味見セット(二代目福治郎)
秋田県にある自家製納豆専門店の二代目福治郎さんの人気商品の詰め合わせセットです。
通常の3倍の時間をかけて熟成させた納豆は香りが高く、全国にファンが多い一品。
6個セットも大粒、小粒、黒豆大粒、枝豆大粒、ひきわりといろんな種類の味・風味・歯ごたえが楽しめます。
秋田県にある自家製納豆専門店の二代目福治郎さんの人気商品の詰め合わせセットです。
通常の3倍の時間をかけて熟成させた納豆は香りが高く、全国にファンが多い一品。
原材料名:国産大豆 納豆菌 (タレは付いておりません)
\ 有機JAS認証マーク付きの納豆はめずらしい(*´▽`*) /
木桶仕込しょうゆ(弓削多醤油)
どんなお料理にもあう、万能な濃口醤油と言えば、弓削多醤油の木桶仕込しょうゆがおすすめです。
塩味がやわらかく、香り高いおしょうゆです。
また、蔵造りの醤油なのに比較的スーパーなどでも買いやすいのがうれしいところ。
原材料 :大豆(国産、遺伝子組み換えでない)、小麦(国産)、食塩
\ どんなお料理にもあう、万能型(*´▽`*) /
古式じょうゆ(井上醤油店)
国産大豆と小麦を使って、慶応3年の創業以来蔵に住み着く、蔵つき酵母で発酵させた昔ながらのお醤油です。
普通のお醤油は途中で酵母を添加することが多いですが、そういった発酵の促進を一切せずに菌に任せているのがすごい!
うま味がたっぷりなので、卵かけごはんや豆腐やお刺身などのかけ醤油として食べるのがおすすめです。
原材料 :国産丸大豆・国産小麦・食塩
\ かけ醤油におすすめの芳醇なかおり(*´▽`*) /
まとめ:分別生産流通管理済みとは?納豆の原材料欄の意味と安全性を解説
分別生産流通管理済みとは、2023年4月から適用されることになった、遺伝子組み換え食品表示制度内で使われている言葉です。
旧ルール
遺伝子組み換え大豆の使用率 | |
---|---|
「大豆」 | 不明 |
「大豆(遺伝子組み換えでない)」 | 0~5%の間 |
新ルール
遺伝子組み換え大豆の使用率 | |
---|---|
「大豆」 | 不明 |
「大豆(分別生産流通管理済み)」 | 5%以下 |
「大豆(遺伝子組み換えでない)」 | 0% |
「大豆(非遺伝子組換え)」 | 0% |
旧ルールでは、たとえ「遺伝子組み換えでない」と表示されていても、0~5%の間の混入率を疑う必要があったのですが、
新ルールでは、「遺伝子組み換えでない」と表示された大豆は、100%遺伝子組み換えでないことが一目でわかるようになりました。
新ルールの詳細は以下のとおり。
遺伝子組み換えの農作物を食べたくないと思っている人は、国産・有機・「大豆(遺伝子組み換えでない)」を探してみると、お気に入りの納豆や醤油に出会えるかもしれません。
参考にしてみてね。
参考文献
(※1)新しいバイオテクノロジーで作られた食品について|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000657810.pdf
(※2)知っていますか?遺伝子組み換え表示制度|消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/genetically_modified/assets/food_labeling_cms202_220329_01.pdf
(※3)アメリカ及びカナダ産の非遺伝子組換え原料(大豆・とうもろこし)確保のための流通マニュアル
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/guideline/pdf/guideline_190225_0001.pdf
(※4)有機農産物の表示概要|消費者庁
https://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/pamph_d7.pdf