【この記事で解決できるお悩み】
・八丁味噌ってどんな味噌?
・八丁味噌と赤味噌の違いってなに?
・八丁味噌がない場合の代用品は?



この記事では、こんなお悩みを解決します!
日本の代表的な発酵調味料である味噌。その中でも一番謎が多いと言えば、八丁味噌ではないでしょうか?
醤油には、「JAS規格」と言われる食品の規格(=ある程度のルールや決まり)があり、ある程度定義がはっきりしています。
一方、味噌は各家庭が自由に手作りしていた関係で、醤油よりも地域差が大きく、わかりやすい食品規格がありません。
一言に「味噌」と言っても地域ごと、色ごと、原料ごとにいろんな種類があり、呼び名も少しずつ違います。特に「八丁味噌」は、その名前からは特徴が想像できません。



「八丁」ってなに??ナゾすぎる…
今回は、八丁味噌は一体どんな味噌なのか?その特徴や栄養素、そして違いが分かりにくい赤味噌との違いについて整理してみました。
この記事を書いた人:
腸活研究家 長谷川ろみ
発酵食品にハマり、ダイエットなしで12㎏減。痩せたことをきっかけに腸を愛でる生活に目覚める。重度の便秘から解放され、腸活研究家として活動開始。今では発酵ライフ推進協会通信校校長を務め、昔の自分と同じ悩みを持つ方に向けて腸や菌のおもしろさを発信中。詳しくはこちら
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八丁味噌とは?
八丁味噌は、今現在の愛知県岡崎市で江戸時代初期から作られている豆味噌のことを言います。
=豆味噌の一種
=愛知県岡崎市の八帖町(旧八丁村)で江戸時代初期から作られている
江戸時代の愛知県岡崎市には「岡崎城」というお城があり、お城から八町分(約800mほど)離れた村を八帖町(旧八丁村)と呼んでいました。
この「旧八丁村で作られている味噌」を「八丁味噌」と呼びます。



今となっては、八丁味噌は全国で食べることができます。
しかし、今でもやっぱり八丁味噌は愛知県で人気!名古屋名物の「味噌カツ」や「味噌おでん」などは、すべて八丁味噌を使って作られています。
八丁味噌の特徴
八丁味噌の特徴は以下の通りです。
特徴➁ 色が濃くて茶褐色(赤黒っぽい)
特徴➂ 甘味が弱く、渋みやうま味が強い
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
特徴➀ 豆味噌の一種である(主な材料は大豆)
八丁味噌の特徴の1つ目は、大豆を多く使った豆味噌の一種であることです。
豆味噌とは、主に愛知県、三重県、岐阜県などを中心に生産されている豆麹を使って作る味噌のこと。その中の代表的な味噌が、愛知県の「八丁味噌」です。
八丁味噌の主な原料は、大豆と塩と水です。
大豆に麹菌を植え付けて作った豆麹と大豆と塩と水を混ぜて発酵させるので、普通の味噌より大豆の割合が多くなります。
大豆は米と比べると脂肪酸が多いので酸化しやすく、また愛知県は湿気が多い土地なので、腐敗リスクが高くなります。
酸化防止や腐敗予防のために使うのが「塩」です。
塩を多めに入れるのも「八丁味噌」の特徴です。
特徴➁ 色が濃くて茶褐色(赤黒っぽい)
八丁味噌の特徴の2つ目は、色が濃くて茶褐色をしていることです。
八丁味噌の大きな特徴は、その色です。茶褐色と言われますが、見ようによっては黒にも見えるほど濃い色をしています。
赤味噌の仲間ではあるのですが、あまりにも黒いので仲間として認識されないことも多いです。
八丁味噌の色が濃いのは、他の味噌に比べるとかなり熟成期間が長く、また豆が多いのでタンパク質が多くなりメイラード反応が起こりやすくなるという理由があります。
特徴➂ 甘味が弱く、渋みやうま味が強い
八丁味噌の特徴の3つ目は、甘味が弱く、渋みやうま味が強いことです。
甘味が弱くなるのは、通常の味噌が米麹を使い米のでんぷん(糖)が含まれるところ、八丁味噌は豆麹を使っているので、糖の代わりにタンパク質が多く含まれることが原因です。
また、タンパク質が多いのと熟成期間が長いことから、タンパク質の発酵が進み、うまみの素のアミノ酸が増えやすくなります。
八丁味噌の栄養と効果効能
八丁味噌は原料の大豆の割合が多いこと、そして熟成期間がとても長いのが特徴です。
そのため、一般的な赤味噌と比べると、タンパク質が多く、また発酵熟成が十分にできるので、かなり栄養価が高くなりやすいことがわかります。
八丁味噌の栄養素
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)(※)」によると、一般的な豆味噌(100g)と一般的な赤味噌(100g)の栄養素は以下のとおりです。
豆みそ | 赤みそ(比較用) | |
---|---|---|
エネルギー | 207kcal | 178kcal |
水分 | 44.9g | 45.7g |
タンパク質 | 17.2g | 13.1g |
脂質 | 10.5g | 5.5g |
炭水化物 | 14.5g | 21.1g |
灰分 | 12.9g | 14.6g |
水溶性食物繊維 | 2.2g | 0.6g |
不溶性食物繊維 | 4.3g | 3.5g |
食物繊維総量 | 6.5g | 4.1g |
食塩相当量 | 10.9g | 13.0g |
ナトリウム | 4300mg | 5100mg |
カリウム | 930mg | 440mg |
カルシウム | 150mg | 130mg |
マグネシウム | 130mg | 80mg |
リン | 250mg | 200mg |
鉄 | 6.8mg | 4.3mg |
亜鉛 | 2.0mg | 1.2mg |
B1 | 0.04mg | 0.03mg |
B2 | 0.12mg | 0.10mg |
ナイアシン | 1.2mg | 1.5mg |
B6 | 0.13mg | 0.12mg |
引用:文部科学省|食品成分データベース(日本食品標準成分表2020年版)
八丁味噌はタンパク質はもちろん、ビタミンやミネラル、そして食物繊維が豊富に含んでいます。
また大豆に含まれるポリフェノールの一種であるイソフラボンや、発酵の過程で増える乳酸菌やメラノイジンやGAVAなども豊富に含まれています。
効果効能➀ 抗酸化作用
八丁味噌は、大豆に含まれるイソフラボン、メイラード反応によって生まれるメラノイジンなどの抗酸化作用がある成分を豊富に含みます。
=大豆の胚芽部分に多く含まれているポリフェノールの一種
=女性ホルモンと似た働きをするため、美肌効果が注目される
=メイラード反応でつくられる色素成分
=コレステロール値を下げ、血糖値を正常に保つ働き
=糖尿病の予防効果、腸内環境改善効果が注目される
効果効能➁ 腸内環境改善
八丁味噌は、そもそも食物繊維が多いと言われる一般的な赤味噌よりもさらに食物繊維が多いことで知られています。
不溶性食物繊維はもちろん水溶性食物繊維も含まれるので、腸内細菌のエサとなり腸内環境を整えたり、便のかさましをして便秘を予防することも期待されます。
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効果効能➂ コレステロールの低下
八丁味噌は、大豆の量がとても多いため、通常の赤味噌よりもリノール酸を多く含みます。
=不飽和脂肪酸の一種。体に栄養を与え元気にする働きがある
=冷え性改善、筋肉代謝強化、脂肪分解効果
八丁味噌と赤味噌の違い
そもそも赤味噌とは、原料や作り方とは関係がなく、見た目の色が赤っぽい(=色が濃い)味噌のことを指します。反対にあるのは白味噌(=色が薄い)です。
=見た目が赤っぽい(=色が濃い)味噌のこと
=見た目が白っぽい(=色が薄い)味噌のこと
色だけで分類する場合は八丁味噌も赤味噌の一種であり、赤味噌に分類される場合もあります。



「赤味噌」と呼ばれる味噌があっても、それが「米味噌」か「豆味噌」か「麦味噌」か「調合みそ」かはわかりません。
ここでは、あえて八丁味噌を一般的な米味噌の赤味噌とは別のものとして考えて、八丁味噌と一般的な赤味噌の違いを整理してみましょう。
違い➀ 材料(麹の種類)が違う
一般的な赤味噌:大豆+米麹+塩+水
大豆に麹菌を植え付けてつくる豆麹を使うのが八丁味噌で、米に麹菌を植え付けて作る米麹を使うもののうち、色が濃くなったもの(赤くなったもの)が一般的な赤味噌です。
そもそも大豆を多く使った豆みその一種である八丁味噌は、米を多く使った通常の米味噌と比べると糖が少なく、タンパク質が多いので、タンパク質のメイラード反応で色が濃くなりがちです。
色の違いだけで見ると、一般的な赤味噌と比べてももっと赤く(というか赤さを通り越して黒く)なるので、八丁味噌は色だけで分類した場合、赤味噌の一種であると考えられることもあります。
違い➁ 熟成期間が違う
一般的な赤味噌:3か月~(ものによって違う)
八丁味噌は冬の仕込みが終わると、木桶の中で2年間発酵させて作ります。
木桶に入れた八丁味噌は、蓋の上にたくさんの石の重しを積んで放置します。麹菌や乳酸菌の活動が活発になる夏は石が上にどんどん上がってきたのをチェックすることで、発酵が十分に進んでいるか確認します。
通常は追加で菌を入れたり、添加物を入れることなく、自然の発酵に任せて2年間放置します。
いわゆる天然醸造です。
=発酵を促進するするものや保存料、味付けするための添加物などを一切使わずに醸造すること
一般的な赤味噌は日本全国で作り方が違うので、熟成期間もそれぞれですが、短いものでは3か月からあります。
違い➂ 生産地域が違う
一般的な赤味噌:東北地方が多い
そもそも愛知県八帖町(旧八丁村)で作られている味噌のことを八丁味噌と呼ぶため、愛知県以外で作られた豆味噌は、どんなに味が似ていても八丁味噌とは呼びません。
また、一般的な赤味噌は東北地方に多く、津軽味噌(青森)、秋田味噌(秋田)、仙台味噌(宮城)、会津味噌(宮城)などは赤味噌に分類されることが多くなります。
津軽味噌:寒冷な気候に合わせた長期熟成味噌のためうま味が強い。津軽三年味噌とも呼ばれる。
秋田味噌:米どころのため、米を贅沢に使った米麹の優しい甘みが特徴の米味噌。
仙台味噌:大豆をたっぷり使いうまみが強い。発酵温度を低くして香りを出す。
会津味噌:会津盆地の厳しい気象に合わせて長期熟成。うま味と塩辛さが特徴。
八丁味噌の生まれ故郷である愛知から西の地域では、比較的色が白い味噌が多く、関西白味噌、府中白味噌、讃岐白味噌が有名です。
違い➃ 味が違う
一般的な赤味噌:甘味が強い/塩味とうま味が弱い
八丁味噌は、豆味噌なのでタンパク質が多く、そのタンパク質を発酵熟成させる過程でうま味の素であるアミノ酸ができます。
一般的な赤味噌は、いろいろな種類のものが多いので一概には言えませんが、米味噌が多いので炭水化物(でんぷん)が多く、その炭水化物(でんぷん)を発酵熟成させる過程で甘味の素である糖ができます。
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赤だしとは?赤だし・八丁味噌・赤味噌の違い
「赤味噌」と似ている言葉で「赤だし」があります。
東海地方で古くから食べられている郷土料理や懐石料理に多く使われる「赤だし」。
東海地方になじみがない人は、いわゆるかつお節や昆布などのだしになる素材と赤味噌を混ぜたものと誤解しがちですが、全く違います。
赤だしは、色の濃い豆味噌と米味噌を合わせた調合みそのことです。
=豆味噌と米味噌を合わせた調合みそのこと
=だしが入っているものもあるが、だしがはいっていなくても「赤だし」という
=2種類のみそを混ぜてつくるみそのこと
「赤だしみそ」と「赤だしみそ だし入り」の違い
ややこしいのですが、実はスーパーやコンビニなどで売っている「赤だし」には、かつお節や昆布などの「だし」が入っている場合があります。
食品表示法では、かつお節や昆布などの「だし」が入っている場合は、パッケージなどの表示に「だし入り」と書くというルールがありますので、表示によって区別できます。(※内閣府資料「みそ品質表示基準改正のポイント」より)
だし以外にも原材料にいろいろなものが入っている場合もあるので、昔ながらの調合みそを買いたい場合は、裏に書かれた原材料をきちんと読むようにしましょう。



八丁味噌の代用品ならコレがおすすめ
八丁味噌は愛知県なら簡単に手に入りますが、それ以外の県では大きめのスーパーなどに行かないと手に入りにくいかもしれません。
その場合は、以下の八丁味噌の代用品を探してみましょう。
代用品➀ 八丁味噌以外の豆味噌
八丁味噌も豆味噌の一種なので、独特の渋みや塩味・うま味は再現できると思います。他の地域の豆味噌が見つけられたら、それで代用することをおすすめします。
代用品➁ 赤だし
赤だしは豆味噌と米味噌の両方が入っているので、豆味噌の独特の渋みや塩味・うま味はかろうじて再現できると思います。豆味噌がみつけられなかったら、赤だしもおすすめです。
代用品➂ 色が濃い目の辛口の赤味噌
他の豆味噌も赤だしもなかったら辛口の赤味噌でも代用は可能です。ただし独特の渋みや塩味・うまみの再現は難しいので、お砂糖やみりんを使うお料理の場合は少し控えめにするなど、料理によっては全体の調味料の調整が必要かもしれません。
まとめ:八丁味噌と赤味噌の違いと代用品
赤味噌は、成分や作り方には関係なく、色による味噌の分類方法のひとつなので、八丁味噌は赤味噌の一種です。
しかし、見た目も味も全く異なる八丁味噌は、ほとんどの場合赤味噌とは違うものとして分類されます。
その違いは以下の通りです。
違い➀ 材料(麹の種類)が違う
八丁味噌:大豆+豆麹+塩+水
一般的な赤味噌:大豆+米麹+塩+水
違い➁ 熟成期間が違う
八丁味噌:二夏二冬(約2年)
一般的な赤味噌:3か月~(ものによって違う)
違い➂ 生産地域が違う
八丁味噌:愛知県のみ
一般的な赤味噌:東北地方が多い
違い➃ 味が違う
八丁味噌:塩味とうま味が強い/甘味が弱い
一般的な赤味噌:甘味が強い/塩味とうま味が弱い
どうしても八丁味噌が手に入らない時は、もちろん他の豆味噌や赤だし、赤味噌で代用可能ですが、八丁味噌独特のコクや渋みなどはなかなか他では味わえません。
代用品➀ 八丁味噌以外の豆味噌
代用品➁ 赤だし
代用品➂ 色が濃い目の辛口の赤味噌
八丁味噌をちゃんと味わったことがない方は、ぜひためしてみてね。
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参考文献
(※1)文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」https://fooddb.mext.go.jp/
(※2)内閣府資料 みそ品質表示基準改正のポイント (だし入り)表示 https://www.cao.go.jp/consumer/history/01/kabusoshiki/syokuhinhyouji/doc/110824_shiryou1-3.pdf