【この記事で解決できるお悩み】
・みりん風調味料って危険なの?
・みりん風調味料と本みりんの違いは?
・みりん風調味料に含まれる食品添加物で、気を付けるべきものは?
この記事では、こんなお悩みを解決します!
和食の料理本をひらけば必ず載っている、発酵調味料のみりん。
スーパーに行くと、昔ながらの製造方法で作る「本みりん」の隣には、いつも「みりん風調味料」が並んでいます。
しかし、意外なことに「本みりん」と「みりん風調味料」は、まったくの別物。
そのせいか、ネットでは「みりん風調味料は危険」「みりん風調味料は偽物」といったようなちょっといじわるなウワサも流れているみたい。
そこで今回は、みりん風調味料が危険と言われる理由を徹底解説!
本みりんとの違いや、利用用途別のおすすめの選び方まで整理してみました。
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この記事を書いた人:
腸活研究家 長谷川ろみ
発酵食品にハマり、ダイエットなしで12㎏減。痩せたことをきっかけに腸を愛でる生活に目覚める。重度の便秘から解放され、腸活研究家として活動開始。今では発酵ライフ推進協会通信校校長を務め、昔の自分と同じ悩みを持つ方に向けて腸や菌のおもしろさを発信中。詳しくはこちら
みりん風調味料が危険と言われる理由
みりん風調味料は、「みりん風」と言われていることからもわかるように、昔ながらの製造方法で作られた「本みりん」に似せた調味料のことです。
みりん風調味料
=本みりんに似せて作られた、本みりんに似た調味料
日本で古来より作られてきた「本みりん」は、原料を長期間発酵・熟成して作るため、完成までに長い時間を要します。
さらに、発酵の過程でアルコールが発生するため、酒税法上の酒類に該当します。
製造コストが高く、酒税もかかるので、市場に出回るころにはかなりの高級品に。
庶民が気軽に料理に使う調味料にしては、めちゃくちゃ高くて手が出ないんです…。
そこで発酵・熟成の過程を省き、製造コストを削減。
さらにアルコール度を低くして、酒税をかからないように大改良。
今手元にある調味料を混ぜて、「本みりん」に似た味を再現したのが「みりん風調味料」なのです。
みりん風調味料は、1リットルで300円ぐらいから買えますが、本みりんは1リットルでどんなに安くても1000円以上はします。
この安さが「みりん風調味料=危険」と思われてしまう理由のひとつかも。決して、危険なわけではないんですけどね。
ここからはみりん風調味料の詳細を整理してみましょう。
一つずつ見ていきましょう。
原材料が危険?
本みりんとみりん風調味料の原材料は、以下のとおりです。
本みりん:もち米、米麹、醸造アルコールまたは焼酎など酒税法で定められた原料
みりん風調味料:糖類、米、米麹、酸味料、調味料、着色料など
本みりんは、もち米と米麹を混ぜて発酵させた、発酵食品です。
一方、みりん風調味料は、本みりんに似た味を再現するための材料を混ぜた甘味料。
日本食品標準成分表2020年版(八訂)(※1)のデータによると、本みりんとみりん風調味料の栄養素は以下のとおり。
本みりんと比べると、みりん風調味料はただの甘味料なので、炭水化物が多め。さらに、食塩が含まれています。
本みりん | みりん風調味料 | |
---|---|---|
エネルギー(kcal) | 241 | 225 |
たんぱく質(g) | 0.3 | 0.1 |
脂質(g) | 0 | 0 |
炭水化物(g) | 43.2 | 55.7 |
食塩相当量(g) | 0 | 0.2 |
原材料は危険とまでは言い切れませんが、本みりんとみりん風調味料を比べると、みりん風調味料のほうが糖質や食塩が多めであることがわかりました。
製造方法が危険?
本みりんとみりん風調味料の製造方法は、大きく違います。
本みりんが麹菌の酵素の力でデンプンやタンパク質を分解する「糖化熟成」によってつくられるのに対し、みりん風調味料は甘味料、酸味料、調味料などを混ぜるだけ。
本みりん:糖化熟成=40~60日間糖化・熟成させる
みりん風調味料:ブレンド=材料を混ぜる
製造方法に特に危険な点は見当たりませんが、もしブレンドする材料の中に危険な添加物が混ざっていれば、リスクがある可能性も捨てきれません。
みりん風調味料の添加物については、のちほど詳細を確認しましょう。
アルコール度数が危険?
本みりんとみりん風調味料は、アルコール度数が全く違います。
本みりん:12~14%程度
みりん風調味料:1%未満
これは、みりん風調味料は、酒税がかからないように、あえて酒税法の酒類の定義である「アルコール1%未満」を守って作っているから。
Q1 酒類の定義を教えてください。
引用:(※2)よくある質問|国税庁
A 酒税法において酒類とは、アルコール分1度以上の飲料(飲用に供し得る程度まで水等を混和してそのアルコール分を薄めて1度以上の飲料とすることができるものや水等で溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のものを含みます。)をいいます。
根拠法令等:酒税法第2条、法令解釈通達第2条関係
アルコール度数に限っては、本みりんのほうがよっぽど危険!笑 アルコール度数12~14%って、3%ぐらいのサワーやビールと比べると、かなり高いんです。よっぱらっちゃう。笑
使い方が限られるリスクあり?
本みりんとみりん風調味料は、まったく違う調味料なので、使い方もかなり違います。
みりん風調味料に本みりんと同じ効果を期待してしまうと、おいしい料理にならない可能性があります。
本みりん:
アルコールが含まれるので、肉や魚の臭みを取り除く効果が期待できる
アルコールが含まれるので、煮崩れを防ぐ効果が期待できる
アルコールが含まれるので、料理によっては加熱処理によってアルコールを飛ばす必要がある
みりん風調味料:
肉や魚の臭みを取り除く効果はない
煮崩れを防ぐ効果はない
加熱処理をしなくても使える(アルコールを飛ばす必要はない)
臭みは料理中にとれるだろう!と思ってみりん風調味料で煮魚を煮ると、臭さがとれない可能性が…!これは確かに危険かも?笑
保存場所を間違えると危険?
本みりんとみりん風調味料は、適している保存場所が違います。
本みりん:
冷暗所で常温保存
みりん風調味料:
冷蔵庫で冷蔵保存
本みりんは雑菌が嫌いなアルコールがたくさん含まれているため、基本的には直射日光の当たらない場所で常温保存が可能です。
しかし、みりん風調味料はアルコールがほぼ含まれていないため、冷蔵庫で保存するのが普通です。
本みりんはアルコール度数が高いので、開栓後も冷蔵の必要がありません。
引用:(※3)本みりんとみりん風調味料の違い|一般社団法人日本協同組合連携機構(JCA)
みりん風調味料は、アルコール度数が低いので、開栓後は冷蔵しないとカビなどの発生に繋がるため、要冷蔵としています。
みりん風調味料の保存場所を間違えて、カビが生えたら、確かに危険かも…
本みりん | みりん風調味料 | |
---|---|---|
原材料 | もち米、米麹、醸造アルコールまたは焼酎など酒税法で定められた原料 | 糖類、米、米麹、酸味料、調味料、着色料など |
製造方法 | 糖化熟成 | ブレンドなど |
アルコール度数 | 約14% | 1%未満 |
塩分 | 0% | 1%未満 |
保存場所 | 冷暗所で常温保存 | 冷蔵庫で冷蔵保存 |
違いをまとめてみると、こんな感じです。やっぱり全然違う調味料だわ~
みりん風調味料に含まれる添加物と危険性
みりん風調味料の原材料には、食品添加物が多く含まれます。
そのため、食品添加物=体に悪いというイメージを持っている方は、不安に思うかもしれません。
しかし、基本的には国が定めている基準を守って使われているため、食べ過ぎなければ問題はありません。
ここでは、みりん風調味料によく入っている食品添加物を一部ご紹介します。
一つずつ見ていきましょう。
グリシン
みりん風調味料には、アミノ酸の一種である「グリシン」が多く使われます。
「グリシン」は、日本では厚生労働省によって、指定添加物として認可されている添加物のひとつです。
グリシン
参考:(※4)指定添加物|厚生労働省
=アミノ酸の一種
=厚生労働省の指定添加物
=甘みのある成分として、または食品の日持ちをよくする成分として使用
グリシンは甘みのある成分で、甘味を足す調味料として使われるケースがあります。
この場合は、成分表に「調味料(アミノ酸)」と書かれます。
一方で、グリシンは食品の日持ちをよくする作用もあります。この場合は成分表に「グリシン」という成分名がそのまま書かれます。
みりん風調味料には、成分名の「グリシン」が書かれていることが多いよね…
みりん風調味料には、本みりんのようにアルコールが含まれていません。
そのため、日持ちをよくするためにグリシンを使用します。
グリシンはありふれた成分であり、危険性はありません。
一方でグリシンを大量に使うことで「合成保存料・合成着色料不使用」と記載することができてしまったり、塩分を感じにくくしてしまう可能性が心配されることがあります。
グリシンを大量に用いれば、保存料を使用しなくてすみ、「合成保存料・合成着色料不使用」という表示ができるのです。(中略)しかし、何より問題なのは、実際の塩分よりも塩味を薄める効果です。グリシンはコンビニおにぎりによく用いられていますが、そこには大量の塩が用いられています。しかし、グリシンを用いると、塩分をほとんど感じさせないのです。
引用:(※5)“グリシン”がもたらす諸問題|2020年『Life』200号
過剰摂取に気をつければ問題はありませんが、塩分量はなるべく控えたいよね…
コハク酸
みりん風調味料には、アミノ酸の一種である「コハク酸」が多く使われます。
「コハク酸」は、日本では厚生労働省によって、指定添加物として認可されている添加物のひとつです。
コハク酸
=アミノ酸の一種
=厚生労働省の指定添加物
=酸味料として使用。貝類のうまみ成分としてコクやうま味を与える成分
水あめ・ブドウ糖・ガムシロップ
みりん風調味料には、甘みを加えるために「水あめ」・「ブドウ糖」・「ガムシロップ」などが多く使われます。
「水あめ」・「ブドウ糖」・「ガムシロップ」は、みりん風調味料に限ったものではなく、食品全般に多く含まれていますよね。
安全性が認められている添加物ではありますが、糖のとりすぎはよくありません。また急激な血糖値の上昇を招く可能性もあるので、血糖値の上昇をゆるやかにする食物繊維などと一緒にとるのがおすすめです。
また、体質によってはおなかが緩くなる場合があります。お心当たりがある方はご注意を!
醸造アルコール
みりん風調味料は、本みりんと違って発酵によってアルコールが作られないので、代わりに「醸造アルコール」を添加することがあります。
醸造アルコール
=保存性を高めたり、キレを良くするために使用
みりん風調味料と本みりんの違いと選び方
みりん風調味料と本みりんは、原料や製造方法、アルコール度数や塩分なども全く違う別物です。
この違いを知っていれば、みりん風調味料だけが特に危険ということはなく、よりよい使い分けができるはず。
ただ、みりん風調味料と本みりんの違いを理解しないまま使用すると、おいしい料理はできないので注意が必要です。
本みりんとみりん風調味料の使い方で適するものはどっちか、整理してみましょう。
本みりん | みりん風調味料 | |
---|---|---|
とにかく味と栄養重視 | ||
料理を時短する | ||
子ども・妊婦の食事に使う | ||
料理につやと照りを出す | ||
料理にコクやうま味、風味を与える | ||
食材の臭みを消す | ||
食材の煮崩れを防止 |
一つずつ見ていきましょう。
味と栄養重視なら…
味と栄養を重視するなら、本みりんを選びましょう。
本みりんの中でも、伝統的な製法で育てた良質なみりんを使うと、料理の味が一気によくなります。
本当においしい本みりんは、そのまま飲めてほぼお酒。お料理に使うのがもったいなくなってしまうというデメリットはあります。
伝統製法の三大本みりんと言えば、以下の3つ。
三州三河みりん
福来純 三年熟成 本みりん
甘強 昔仕込本味醂
売り上げランキング: 1,599
売り上げランキング: 11,253
売り上げランキング: 11,036
気になる人は、ぜひ一度お酒として本みりんを飲んでみて!
ドレッシングや和え物なら…
ドレッシングや和え物など、生のまま使う場合は、みりん風調味料のほうが簡単です。
本みりんはアルコールが含まれているため、生のまま使うなら、一度加熱してアルコールを飛ばす必要があります。
しかし、みりん風調味料ならわざわざ加熱してアルコールを飛ばす必要がありません。
そのまま料理に使えるので、時短料理には最適です。
忙しい時にありがたいのはみりん風調味料のほうかも?笑
子どもや妊婦の食事なら…
子どもや妊婦さん、さらにアルコールがニガテな人向けの料理に使う場合は、みりん風調味料のほうが簡単です。
本みりんはアルコールが含まれているため、アルコールが飲めない人に提供する料理を作る時は注意が必要です。
中には数滴お酒をなめただけで気分が悪くなってしまう人もいるから、絶対に注意して!
アルコールが1%以下のみりん風調味料なら、安心して使えます。
料理につやと照りを出すなら…
料理につやと照りを出したい場合は、本みりんもみりん風調味料もどちらも有効です。
商品によって違いますが、つやや照りだけが目的ならみりん風調味料のほうがきれいについて、おいしそうに見せてくれる可能性も…。
実際にいろんなタイプのみりんで試してみてね。
料理にコクやうま味、風味を与えるなら…
料理にコクやうま味、風味を与える場合は、本みりんがおすすめです。
本みりんは発酵の過程で、ぶどう糖やオリゴ糖などのいろんな種類の糖が含まれます。
みりん風調味料の単純な砂糖の甘さとは違い、深みを感じられるはず。
アミノ酸などの旨味もたくさん含まれているので、コクが欲しい場合は、ぜひ本みりんを使ってみてください。
食材の臭みを消したいなら…
食材の臭みを消したい場合は、アルコールが含まれる本みりんがおすすめです。
火を通すと、本みりんはアルコールが蒸発し、食材の臭みをアルコールと一緒に飛ばしてくれます。
みりん風調味料はアルコールがそもそも含まれていないので、臭みを消す効果はほとんどありません。
煮崩れを防止したいなら…
煮崩れを防止したい場合は、アルコールが含まれる本みりんがおすすめです。
アルコールの成分にはタンパク質凝固作用があり、荷崩れを防止してくれます。
みりんの使いみちが照りや甘さを出すだけなら、みりん風調味料でも代用可能!でもそれ以上の効果を期待するなら、やっぱり本みりんがおすすめです。
番外編:発酵調味料(みりんタイプ)とは
実は本みりんにもみりん風調味料にも属さない、「発酵調味料(みりんタイプ)」という商品があります。
発酵調味料(みりんタイプ)
=米やトウモロコシなどの穀物アルコール発酵させ、飲めないように食塩を添加したもの
=アルコールは高いが、飲めないように加工しているため、酒税法上の酒に当たらない
発酵調味料(みりんタイプ)は酒税法上の酒に当たらないので、かなり安く買えるというメリットがありますが、塩分を多く含むので料理方法が限られます。
アルコールのメリットを受けたい方は発酵調味料(みりんタイプ)を利用してみてもいいかも?
まとめ:みりん風調味料が危険な理由を解説!食品添加物が多いってホント?
結論からいうと、みりん風調味料は危険ではありません。
みりん風調味料は、「みりん風」と言われていることからもわかるように、昔ながらの製造方法で作られた「本みりん」に似せた調味料のことです。
みりん風調味料
=本みりんに似せて作られた、本みりんに似た調味料
本みりんのように、発酵・熟成はされておらず、単純に甘味料や酸味料、アルコール等を混ぜただけのものなので、その簡易さが危険に見え、噂が広まった可能性があります。
食品添加物も本みりんと比べると多いですが、食べ過ぎなければ特に問題はありません。
自分の趣味や趣向やライフスタイルに合わせて、自分にあったみりんを選んでみてください。
参考にしてみてね。
発酵を体系的に勉強したくなったら…
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参考文献
(※1)日本食品標準成分表2020年版(八訂)
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
(※2)よくある質問|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/01/01.htm
(※3)本みりんとみりん風調味料の違い|一般社団法人日本協同組合連携機構(JCA)
https://goods.jccu.coop/voice/opinion/2015/03/post-120.html
(※4)指定添加物|厚生労働省
https://www.ffcr.or.jp/shokuhin/2019/06/post-4.html
(※5)“グリシン”がもたらす諸問題|2020年『Life』200号
https://www.yotuba.gr.jp/amagasa/20200