【この記事で解決できるお悩み】
・味噌は健康に悪い?体に悪いって言われる理由は?
・塩分が多いから高血圧になるよ!と言われました。ホント?
・減塩味噌やだし入り味噌、価格が安い味噌のデメリットをおしえて!



この記事では、こんなお悩みを解決します!
ネット検索をすると、「味噌は健康に悪い」「味噌は塩分が多いので高血圧になる」といった、味噌の悪いウワサを目にします。
でも、一方では「味噌は健康にいい」「味噌を毎日食べよう」などの正反対の口コミも。
最近は、減塩味噌やだし入り味噌も多いので、「塩分が心配なら減塩味噌を買えばいいや」と思っている方も多いと思いますが、本当にそれでいいのでしょうか?
そこで今回は、「味噌は健康に悪い」は本当なのかを発酵のプロが大検証!
味噌が体に悪い理由と良い理由はもちろん、減塩味噌やだし入り味噌、価格が安い味噌のデメリットもご紹介します。
この記事を書いた人:
腸活研究家 長谷川ろみ
発酵食品にハマり、ダイエットなしで12㎏減。痩せたことをきっかけに腸を愛でる生活に目覚める。重度の便秘から解放され、腸活研究家として活動開始。今では発酵ライフ推進協会通信校校長を務め、昔の自分と同じ悩みを持つ方に向けて腸や菌のおもしろさを発信中。詳しくはこちら
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結論:「味噌は健康に悪い」は誤解!


結論からおはなしすると、「味噌は健康に悪い」は、誤解です。
味噌は主に大豆と麹と塩を原料にした発酵食品で、麹菌、乳酸菌、酵母菌の発酵で分解された栄養素が、吸収しやすい形で含まれています。
味噌
=大豆と麹と塩を原料にした発酵食品
=アミノ酸などの有機酸やビタミン、ミネラルが豊富
毎日、味噌汁で採ることを習慣にすれば、アミノ酸や乳酸などの酸、ビタミン、ミネラルを効率的に摂取することができます。



わたしは味噌とかつお節と具材をお椀に入れてお湯を注ぐだけの「ずぼら味噌汁」で栄養を摂取中!あったかいお味噌汁を飲むと、心もほっこり落ち着くんですよね。ずぼら味噌汁のレシピはこちらから>


一方で、ネットでは「毎日摂ったらダメ、味噌は健康に悪い」というウワサも…。
なぜ、「味噌は健康に悪い」と言われるのでしょうか?
「味噌は健康に悪い」と言われる理由
「味噌は健康に悪い」と言われるいちばんの理由は、塩分が多いことです。
世界保健機関(WHO)が推奨する1日の塩分摂取量の目安は、5.0g/日未満です。
・High sodium consumption (>2 grams/day, equivalent to 5 g salt/day) and insufficient potassium intake (less than 3.5 grams/day) contribute to high blood pressure and increase the risk of heart disease and stroke.
引用:Salt reduction|WHO
・(日本語訳)ナトリウムの摂りすぎ(2g/日を超える量。5g塩/日に相当)とカリウム摂取不足(3.5g/日未満)は高血圧の一因となり、心疾患および脳卒中のリスクを増大させます。
・The main source of sodium in our diet is salt, although it can come from sodium glutamate, used as a condiment in many parts of the world.
・(日本語訳)食事中の主なナトリウムは塩に含まれますが、世界中で調味料として使われているグルタミン酸ナトリウムにも含まれます。
・Most people consume too much salt—on average 9–12 grams per day, or around twice the recommended maximum level of intake.
・(日本語訳)ほとんどの人は、 1 日平均 9~12 グラム、または推奨される最大摂取量の 2 倍前後の塩分を過剰に摂取しています。
しかし、厚生労働省の令和1年(2019)「国民健康・栄養調査」によると、食塩摂取量の平均値は男性10.9g/日、女性9.3g/日で、世界保健機関(WHO)が推奨する1日の塩分摂取量を優に超えています。
厚生労働省は日本人の塩分摂取量の多さを踏まえ、現実的な減塩目標量として、男性で7.5g/日、女性で6.5g/日を決めました。(※6)



たしかに、日本人はもうちょっと減塩したほうが良いのかもしれませんが、味噌は、本当に塩分が多いのでしょうか?
味噌を使った味噌汁と、その他洋風だしやすまし汁、コーンスープなどの汁物と塩分を比較してみましょう。(※味噌汁は、100g中に10gの素を入れる方法で計算)
味噌汁 | 洋風だし | コーンスープ | |
---|---|---|---|
エネルギー | 12 | 6 | 62 |
たんぱく質 | 0.9 | 1.3 | 1.7 |
脂質 | 0.4 | 0 | 2.6 |
炭水化物 | 1.5 | 0.3 | 8.5 |
食塩相当量 | 0.9 | 0.5 | 0.9 |



たしかに味噌汁に含まれる食塩相当量は多めなので減塩意識は大事だけど、コーンスープとだいたい同じ…。味噌汁だけ「塩分多い」って言うのも変な気がしますね。
安心できる食生活を目指すなら、減塩意識は大切です。
しかし、それは味噌に限ったことではありません。
むしろ、味噌は塩分があっても血圧が上がらないという驚きの研究結果があります。
論文紹介➀ 味噌汁を飲んでも血圧は上がらない
日本高血圧学会で発表された研究(※1)によると、味噌汁を飲む頻度と血圧は無関係であることがわかっています。
この研究では、味噌汁をよく飲む人(1日1杯以上~3杯まで)と味噌汁をたまに飲む人(1日1杯まで)、そして味噌汁をあまり飲まない人(5日間で0~2回)の血圧を測りました。



うーん、たしかに全然変化ない…
この研究では、減塩のために味噌汁を減らしても大して効果がないと発表しています。



お味噌汁は飲んで、調味料の味付けに注意するほうが何倍も減塩になるってことね。
また、むしろ味噌汁を1日1杯飲む人のほうが血管がやわらかく、動脈硬化リスクが低いことがわかりました。



L-CAVIとかCAVI値は、血管のやわらかさを示してます。
CAVI値
=心臓から足首の動脈の硬さを示す数値
=8以下が正常で、9以上は動脈硬化が疑われる
高血圧の方は別として、高血圧や動脈硬化になることを避けたい人が予防の一環として1日1杯の味噌汁を飲むことは悪いことではなさそうです。
論文紹介➁ 1日2杯飲むと高血圧リスクが低下する
もう一つ、むしろ味噌汁を飲んだほうが高血圧リスクが低下するという研究結果(※2)もあります。
血圧は通常、寝ている夜の時間になると下がりますが、睡眠中でも血圧が下がらない「夜間高血圧」の方がいます。



夜間高血圧だと、脳卒中などのリスクが高くなってしまうんだって。
味噌汁1日2杯を飲むと、夜間の血圧が下がることがわかりました。




味噌はなぜ血圧を上げないのか?


味噌は、コーンスープなどの他の汁物と同じぐらい塩分が含まれていますが、適量を飲むのであれば逆に高血圧予防ができる可能性を秘めています。



味噌ってすごくない?!
その理由として考えられるのは以下の3つです。
一つずつ見ていきましょう。
血圧を下げるペプチドが豊富だから
味噌が血圧を上げない理由の1つ目は、血圧を下げるACE阻害ペプチドが豊富だからです。
ACE阻害ペプチドとは、血圧を上げるホルモンを作らせないアンジオテンシン変換酵素(ACE)の邪魔をするアミノ酸の一種です。
ACE阻害ペプチド
=血圧を下げるアミノ酸の集合体の総称
=血圧を上げるホルモンを作らせないアンジオテンシン変換酵素(ACE)の邪魔をする
味噌にはこのACE阻害ペプチドがたくさん含まれています。
マウス実験では、このACE阻害ペプチドのおかげで食塩水よりも33%も食塩の血圧への影響がカットされることがわかりました。


メラノイジンが豊富だから
味噌が血圧を上げない理由の2つ目は、メラノイジンが豊富だからです。
味噌は、発酵が進むと同時にメイラード反応が起きます。
メイラード反応
=アミノ酸と糖が熱や発酵によって反応し、褐色物質(メラノイジン)を生み出すこと
味噌がメイラード反応を起こすと、チル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン(DMHF)という香り成分が発生するのですが、この成分が血圧の低下に深く関係していることでわかっています。(※4)



DMHFが自律神経に影響して、アクセル全開の交感神経が優位な状態から、ブレーキの役割をする副交感神経が優位な状態に切り替えてくれるの。


カリウムが豊富だから
味噌が血圧を上げない理由の3つ目は、カリウムが豊富だからです。



味噌自体にも310mg/100gのカリウムが含まれていますが、味噌汁にすると具材としてカリウムをたくさん摂取できるのがいいよね。めかぶの味噌汁、好きです。
カリウムを十分に採れば、塩分をとったとしても体外に排出することができるので、特に高血圧の人はカリウムを意識するのがおすすめです。
【カリウムが豊富な食べ物】
・海藻類
・切り干し大根
・ほうれんそう
・モロヘイヤ
・小松菜
・ブロッコリー
・バナナなど


減塩味噌や安い味噌のデメリット


味噌の塩分量には必要以上に恐れる必要はないことがわかりましたが、味噌が健康に悪いとウワサされる理由は、塩分量だけではありません。
危険性を心配される代表的な2つのリスクは、以下のとおり。
特に最近はやりの減塩味噌や、価格が安い味噌は、これらのリスクが高いと言われているので注意が必要です。
ひとつずつ見ていきましょう。
食品添加物による危険性
市販の味噌は、その見た目や味をキープするために、以下の食品添加物を入れる場合があります。
アミノ酸
=うま味成分。発酵によるうま味では足りない場合に添加されることが多い
ビタミンB2
=味噌が酸化して、変色するのを防ぐ
ソルビン酸
=腐敗菌が寄り付くのを防ぎ、保存性を高める
酒精
=味噌に含まれる酵母菌の活動を抑制し、容器が膨らむのを防ぐ
昔ながらの作り方で作られた味噌は、麹菌や乳酸菌の力を借りて作られる発酵食品です。
麹菌の酵素によってタンパク質がアミノ酸に分解されるため、うま味がたっぷり作られます。
さらに、乳酸菌が作った乳酸のバリアで腐敗菌も寄り付きません。
家で作った味噌なら、食べきるまでめったなことでは腐りませんし、防腐剤などを添加する必要はありません。
でも、市販の味噌として流通させることを考えると、「もっとおいしくしないと売れない」「もっと見た目がよくないと売れない」と言った忖度がされ、いろんな食品添加物が添加されても不思議ではありません。



実際に味噌の裏に書かれた成分表を見てみると、「無添加味噌」以外はかなりたくさんの食品添加物が含まれています。
食品添加物が必ずしも悪いわけではありませんが、中にはあまりよくない食品添加物も多いので注意は必要です。
さらに、減塩味噌は塩の量を減らしています。
塩は、味噌づくりにおいて、腐敗菌を防ぐ抗菌作用がある大事な材料です。
塩の量を減らすということは、他に腐敗菌を防ぐ「抗菌」「防腐」効果のある食品添加物を多く入れないと、流通させにくくなることが考えらえます。



一見よさそうな「減塩」だけど、腐りやすくなるリスクが増える=添加物が増えるということにもなりかねないので、注意が必要…。気になる人は、購入する時に成分表をチェックしましょう。
大豆の遺伝子組み換えへの不安
味噌の代表的な原料と言えば、大豆。
大豆は遺伝子組み換え食品が多い食材のひとつです。



成分表を見ると、大豆のところに「遺伝子組み換えでない」と書かれたものがありますよね。書かれていないものは、遺伝子組み換え大豆の可能性があります。
遺伝子組み換え大豆が原料になっている味噌は、比較的安く購入できる可能性が高い味噌です。
というのも、遺伝子組み換え大豆は大豆が完成するまでにかかる投入費用の総額が少なく済むことが多いからです。



安く買える味噌は、材料費も安く済ませる必要があるってことなんですよね。
バイテク情報普及会事務局のホームページによると、遺伝子組み換えではない大豆(食品用非GMO)と遺伝子組み換えの大豆(種子用GMO)では、投入費用の総額が10ドル程度、約35リットル当たりの売価が約1ドル違うことがわかりました。
投入費用の総額 | 約35リットル当たりの売価 | |
---|---|---|
(食品用非GMO) | 遺伝子組み換えではない大豆$366.50 | $12.25 |
(種子用GMO) | 遺伝子組み換えの大豆$356.50 | $11.50 |



気にする人は、購入する時に原材料の部分をチェックしましょう。
健康に悪い影響を避ける味噌の食べ方・選び方


健康に悪いと言われる影響を避けるには、味噌の食べ方や選び方に工夫が必要です。
ひとつずつ見ていきましょう。
味噌を食べ過ぎない
味噌は健康に良いと言われていますが、食べ過ぎはよくありません。



濃い味が好きな人も多いけど、味噌に限らずそもそも塩分はひかえめのほうがいいもんね。
味噌は1日15ml(大さじ1杯)程度を目安にして、料理の味付けは薄めにすることを心がけましょう。
味噌の種類によって、塩分量や味の濃さは異なりますが、うま味が多く塩味が少ないお気に入りの味噌を見つけて、少しずつ食べるのがおすすめです。
また、味噌と一緒にカリウムの多い野菜を多く食べるようにすると、塩分が体の外に排出されやすくなります。
【カリウムが豊富な食べ物】
・海藻類
・切り干し大根
・ほうれんそう
・モロヘイヤ
・小松菜
・ブロッコリー
・バナナなど



切り干し大根入りのお味噌汁なんて、おいしそう~!
減塩・安い・だし入りの味噌には注意する
最近人気の減塩味噌や、そのまま使える時短のだし入り味噌、価格が安い味噌などは、添加物が多い可能性が高いので、少し注意が必要です。



気にしない人はいいけど、気にするならちゃんと成分表を見てから買いましょう。
【注意が必要な味噌】
・減塩味噌
・だし入り味噌
・インスタント味噌
・価格が安い味噌 など
だし入り味噌やインスタント味噌は、手軽に使えて長持ちするように賞味期限が長く設定されている場合が多いようです。
賞味期限を長くしようとすると、どうしても保存料や防腐効果のある食品添加物の量が増えがちです。
価格が安い味噌も質の良くない材料で作られている可能性があります。
大量生産の中でたくさんの農薬を浴びて腐りにくくしていたり、遺伝子組み換え食材が多く入っていたり…。
もちろん気にならなければ問題ありませんが、気になる人は注意してください。



わたしは味噌は自分で作るか、昔ながらの作り方で作っている無添加の生みそを選んじゃうことが多いなぁ…。
無添加味噌のおすすめ商品を選ぶ
なるべく原材料がシンプルでおすすめの無添加味噌であり、さらに気軽にAmazonなどの通販で買えるものと言えば、限られてきます。
ここでいくつかご紹介しましょう。
たねすはら無添加味噌|山古志本舗
豪雪地帯の長岡で取れた甘いお米「たねすはら米」を使った麹を使った無添加のお味噌です。
\ 甘いお米の麹を使用したコクのある無添加味噌 /
熟成与一味噌赤みそ|糀屋本店
大麦・大豆・海塩・米糀という超シンプルな材料しか使っていない味噌で、材料はすべて国産です。
\ 超シンプルな材料&国産の無添加味噌 /
かんたん味噌づくりキット(国産原料使用)|丸新本家
やっぱり手作りが安心…という方は、味噌づくりキットを購入して味噌づくりに挑戦するのもおすすめです。



味噌づくりに慣れると、キットを購入しなくても作れるようになるよ。
\ やっぱり手作り派の方向け!材料はすべて国産! /
味噌汁は健康に悪くない?!口コミをチェック!


味噌汁は健康に悪いのか?!実際に血圧と味噌汁の関係を実感している方の口コミをみてみましょう。
味噌汁は健康に良い派の口コミ



バランスのよい食事と適度な味噌汁はやっぱり血圧を下げるみたい!
味噌汁は健康に悪い派の口コミ



もともと塩分が多いものを飲み過ぎ・食べ過ぎている人は、やっぱり減らしたほうが良いケースもあります。
まとめ:味噌は健康に悪い?体に良い理由と減塩や安い味噌のデメリット
「味噌は健康に悪い」は、誤解です。
「味噌は健康に悪い」とウワサされるいちばん大きな理由は、塩分量の多さです。
しかし、実際に味噌に含まれる塩分の量は、自炊すれば減塩可能ですし、他のスープ類と比べてもものすごく多いかと言えばそうではありません。
また、塩分は多めではあるものの、味噌には高血圧リスクが低下する成分が含まれているので、血圧を上げないと言われています。
その理由として考えられるのは以下の3つです。
この理由のおかげで、味噌汁を1日2杯飲むと高血圧リスクが低下するという論文も存在します。
味噌汁には塩分だけでなく、たくさんの栄養素が含まれています。
塩分に関しては高血圧リスクがあるものの、ほかの栄養成分をとることによるメリットも同時に存在するのが難しいところ。
さらに体に良いと思って食べていた減塩味噌や価格が安い買いやすい味噌には、意外なデメリットがあることも指摘されています。
健康に悪いと言われる影響を避けるには、味噌の食べ方や選び方に工夫が必要です。
すべての人にとって良い食べ物はないので、自分にとって味噌汁はリスクが大きいのか、それともリターンが大きいのか、この記事が考えるきっかけになったらうれしいです。
参考にしてみてね。
発酵を体系的に勉強したくなったら…
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参考文献
(※1)みそ汁の塩分 血圧に影響せず 日本高血圧学会報告 https://www.atpress.ne.jp/releases/40356/x_5.pdf
(※2)第39回 日本高血圧学会総会 (2016年10月1日) https://www.marukome.co.jp/rd/result03/
(※3)味噌に含まれる各種機能性成分の解明 https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010928401.pdf
(※4)メイラード反応生成香気成分が有する新たな可能性への挑戦
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/57/12/57_571204/_pdf
(※5)カリウム摂取量の増加が心血管の危険因子と疾患に及ぼす影響
https://pmc.carenet.com/?pmid=23558164&keiro=journal
(※6)第2回 厚生労働省「自然に健康になれる持続可能な食環境づくりの推進に向けた検討会」資料
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000760248.pdf