梅干しは、「一日一粒で医者いらず」と言われるほど、効果を期待されている伝統的な健康食品です。
その歴史は古く、なんと平安時代に書かれた日本最古の医学書「医心方(いしんぼう)」にも梅干しの健康効果が書かれていたとか。
クエン酸が多くて疲れがとれるのは有名ですが、実は腸活ともとても相性が良いのです。
今回は、梅干しと腸内環境についてまとめてみました。
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梅干しとは?
梅干しは、家庭で作られる伝統的な漬物のひとつです。
家庭で作られて広まっていった食べものなので、各家庭によって作り方が違います。
でも、どの作り方でも必要なのは、塩。塩だけはどんな梅干しでも使われています。
梅干し
=梅を塩漬けにして干したもの
伝統的な作り方で塩漬けにされた梅干しは、もともとは保存食として食べられていました。
そのため、塩分量が多いという特徴があります。腐敗菌が寄り付かないように塩を多く入れるのです。
梅干しはなぜ腸にいいのか?
梅干しには、消化を助ける働きがあると言われています。
その理由は、あの「すっぱさ」です。
わたしたちはすっぱいものを食べると、唾液がたくさんでます。
なんと梅干しは普段の唾液の分泌量の2~3倍に唾液が増えると言われています。
唾液の中には「アミラーゼ」という糖質を分解する酵素がたくさん含まれています。
この酵素のおかげで、食べものが消化しやすくなり、胃や腸へ負担を減らします。
それだけではありません。
梅干しには、たくさんの有機酸やミネラルが含まれています。
この中には腸を元気にしたり、便秘解消効果がある成分も含まれています。
クエン酸
腸を刺激し、便を外に出しやすくする腸の蠕動運動を活発にする
悪玉菌の増殖を抑えるカテキン酸
悪玉菌の増殖を抑えるマグネシウム
腸管から水分を吸収して便の水分量を調節し、便をやわらかくする
腸を刺激し、便を外に出しやすくする腸の蠕動運動を活発にする
そして、最近注目されているのが、梅だけに含まれている「梅ポリフェノール」です。
梅ポリフェノールの腸内環境への影響
2016年に近畿大学が発表した内容(※1)によると、梅酢由来のポリフェノールマウスに与えたら、腸の中で硫化水素、アンモニア、インドール、吉草酸などの腐敗ガスを出す菌が少なくなることがわかりました。
また、高脂肪食を食べた肥満マウスに梅ポリフェノールを与えたら、ほとんどいなくなってしまっていた善玉菌のビフィズス菌が回復したことがわかりました。(※2)
ヒトを対象にした研究はまだ多くはないですが、梅酒を2週間摂取したことでビフィズス菌が増えたという研究結果もあり、梅ポリフェノールは腸内環境を整える可能性があると注目されています。
バニリンのダイエット効果
梅ポリフェノールの他にも、梅にはおもしろい成分が含まれています。
ダイエット効果があると注目されているのが「バニリン」です。
バニリン
=バニラの香りの主成分
=小腸で吸収され、脂肪細胞に刺激を与える
2005年に和歌山県立医科大学を含む研究チームが発表したマウス実験(※3)によると、バニリンを摂取したマウスは、痩せホルモン「アディポネクチン」が増えたことがわかっています。
バニリンは熱を加えたほうが増えるので、ダイエット効果を狙うなら焼いた梅干しを食べるとよいと言われています。
腸によい梅干しの食べ方
梅干しは、腸内の悪玉菌の力を弱めると言われることから、ファスティング時の回復食として利用される「梅流し」というメニューがあります。
食物繊維が含まれた大根の煮汁に梅干しを入れて、味噌で味付けしたスープです。
究極にデトックスしたい時はやっぱり「梅流し」がいちばん。
でも、もう少し食べやすい方法もほしいですよね。
梅干しってヨーグルトにいれてもおいしいんです。
梅干しヨーグルト
材料
・プレーンヨーグルト 100g
・梅干し1~2個
・甘酒 大さじ1作り方
1:すべて材料を入れる
2:梅干しをつぶしながら甘酒とヨーグルトと一緒に食べる
梅干しは甘いものとの相性がとてもいいので、梅と甘酒を混ぜながらヨーグルトと一緒に食べるのもおいしいですよ。ヨーグルトの乳酸菌と甘酒のこうじ菌が発酵の過程で作ってくれた、ビタミンやアミノ酸もたっぷりです。
ぜひ、参考にしてみてね。
ばいばいきん。
参考:紹介論文&研究結果
※1 梅ポリフェノールのマウス腸内細菌フローラ改善効果. 近畿大学生物理工学部紀要. 2016. (37), p. 1-10.
https://ci.nii.ac.jp/naid/120005823361
※2 梅ポリフェノールの肥満モデルマウスに対するプレバイオティック効果とビフィズス菌増殖メカニズム. 近畿大学生物理工学部紀要. 2018, (42), p. 1-13.
※3 ダイエットに期待できる紀州産梅干しの成分を発見
http://www.umekounou.com/effect/fat.html
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