【この記事で解決できるお悩み】
京都三大漬物「千枚漬け」とは?
昔ながらの本物の千枚漬けの作り方は?
家でかんたんに作れる千枚漬けの作り方もおしえて!
この記事では、こんなお悩みを解決します!
京都三大漬物のひとつ、千枚漬け。
関東に住んでいたわたしが、修学旅行で京都に行った際、家族へのお土産に選んだのが、この千枚漬けでした。
でも、実は千枚漬けは、そんなに手の込んだ難しい漬物ではありません。
お店で売られている本物の千枚漬けも、乳酸発酵させているわけではなく、家庭でも気軽に作ることができます。
そこで今回は、千枚漬けの作り方を徹底解説!
さらに昔ながらの乳酸発酵させた千枚漬けの作り方もご紹介します。
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この記事を書いた人:
腸活研究家 長谷川ろみ
発酵食品にハマり、ダイエットなしで12㎏減。痩せたことをきっかけに腸を愛でる生活に目覚める。重度の便秘から解放され、腸活研究家として活動開始。今では発酵ライフ推進協会通信校校長を務め、昔の自分と同じ悩みを持つ方に向けて腸や菌のおもしろさを発信中。詳しくはこちら
千枚漬けとは?
京都みやげとして人気の千枚漬け、主な特徴は以下の通りです。
一つずつ見ていきましょう。
京都三大漬物のひとつ
京都生まれの以下の3つの漬物を総称して、「京都三大漬物」と呼んでいます。
しば漬け
=夏野菜を刻んで赤紫蘇の葉と一緒に塩漬けにした漬物
千枚漬け
=京野菜の聖護院かぶを薄切りにして昆布と一緒に塩漬けにした漬物
すぐき漬け
=すぐき菜をラブレ菌(Lactobacillus brevis KB290株)で乳酸発酵させた漬物
すぐき漬けは発酵食品だけど、千枚漬けは一般的には発酵していません。
農林水産省が運用する「うちの郷土料理」というホームページでは、千枚漬けのはじまりを紹介しています。
この記事によると、千枚漬けの発祥は江戸時代で、明治時代に開かれた京都の全国博覧会で入選したことから、全国的に有名になりました。
江戸時代、御所の料理人である大藤藤三郎が考案したものとされる。のちに大藤藤三郎は漬物商に転身し、「千枚漬け」を販売。たちまち評判となり、明治23年(1890年)に京都で開かれた全国博覧会では、全国名物番付けに入選するまでになった。
(※1)千枚漬け(せんまいづけ)|うちの郷土料理|農林水産省
千枚漬けの名前の由来は、かぶを薄く切って、何枚も何枚も重ねてつけるので、「樽に漬け込むときには千枚以上になった」という意味からなのだそう。
この薄さがとてもおいしいんだよね!
伝統的な京野菜の「聖護院かぶ」が材料
千枚漬けは、伝統的な京野菜の「聖護院かぶ」を原料にした漬物です。
聖護院かぶ
=京野菜のひとつ
=普通のかぶと比較すると、肉質がやわらかく、大きく、白い
聖護院かぶは、普通のかぶと比較すると、肉質がやわらかく、大きいため、薄切りにしても存在感があり、千枚漬けによく使われます。
普通のかぶでももちろんおいしくできるけど、存在感が違うかも!笑
聖護院かぶが作られる亀岡盆地は、朝晩の気温差が厳しく、その特徴的な気温がかぶをみずみずしく、そして甘くしてくれると言われています。
そのほのかな甘さがお漬物に適しているといわれていて、千枚漬けの材料として使われていますが、煮崩れしにくいという特徴もあり、煮物にするのも好まれます。
また、聖護院かぶとよく間違えられるものに、「聖護院大根」という野菜があります。
聖護院大根も聖護院かぶと同じように、漬物にするとおいしい野菜ですが、歯ごたえがシャキシャキしていて、聖護院かぶのつるんとした食感とは異なるものです。
シャキシャキした大根サラダの食感が好きな人は、聖護院大根で作ったお漬物も絶対好きだと思います!美味しい無農薬のかぶや大根が手に入ったら、ぜひお漬物を作ってみて!
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旬の時期は冬(11月~3月)
千枚漬けの旬の時期は、主に冬で、11月~3月ごろだと言われています。
これは材料である聖護院かぶの出荷時期が11月ごろだから。
このころから千枚漬けづくりのための仕込み作業を行う業者が多く、またご家庭でも冬の時期に作ることが多いようです。
昔は乳酸発酵させた漬物だったが、現在はしていないものが多い
現代の千枚漬けは、乳酸発酵させていないものがほとんどで、発酵していない=本物ではないというわけではありません。
本物=発酵していると思いがちですが、千枚漬けは本物も発酵していないのが普通だよ。
もともと千枚漬けは、聖護院かぶと昆布だけを使ったシンプルな材料で、乳酸菌発酵させた漬物でした。
最近は、老舗企業であっても、昔ながらの乳酸発酵させて作る作り方だけでなく、お酢やお砂糖などが含まれた調味液に漬けて作っている企業がほとんどです。
聖護院かぶの特徴である、甘さときめ細かさ、肉質の柔らかさが甘酢を使ったお漬物にぴったりで、短い時間でも甘酢が浸透しておいしい酢漬けになります。
千枚漬けは「ぬるぬるする」ってホント?
「千枚漬けは、ぬるぬるする」と指摘されることがあります。
千枚漬けがぬるぬるする場合、腐っているとか、腐敗菌が繁殖しているとか、そういうことではない場合がほとんどで、どうやら水溶性食物繊維のペクチンが影響しているようです。
かぶには水溶性・不溶性に関わらず、食物繊維もたくさん含まれています。
そのため、消化を助けてくれたり、腸内細菌のえさになってくれることも期待できます。
かんたん!現代の千枚漬けの作り方(乳酸発酵なし)
京都のお店で作られる、一般的な千枚漬けの作り方を見てみましょう。
一つずつ見ていきましょう。
材料
聖護院かぶ、もしくは普通のかぶ:1個
【下漬け用】
塩:かぶの約2%の重さの量
【調味液用】
昆布:2~3枚(5cm角)
鷹の爪:少々
酢:125㏄
砂糖:60g
みりん:75㏄
聖護院かぶの皮をむいて、スライスする
聖護院かぶの皮をむいて、スライスします。
むき方はりんごのように丸く向いても、縦にそぎ落とす形でも問題ありません。
スライスは約2㎜の厚さにするのが一般的です。
歯ごたえが欲しい方は、もう少し厚めに切るのもあり!薄いほうが味は染み込みやすいよ。
おいしく作るコツのひとつに、薄切りを妥協しないことが大切です。
分厚く切ってしまうと、上手く漬からなかったり、歯ごたえが変わってしまい、美味しく感じない可能性があります。
2mmの薄切りはかなり器用で料理に慣れていないと難しいかも!普通の人は、スライサーを使うと上手に再現できます。
聖護院かぶを塩漬けにする(下漬け)
聖護院かぶをスライスしたら、ジップロックなどの密封できる袋に入れます。
そこに塩を入れ、空気をなるべく入れないように封をします。
塩漬けすると、水分が少しずつ出てくるので、そのまま1~2日程度常温でおいておきます。
しんなりしてきたら水をきります。
つけ汁につけて数日漬ける(本漬け)
ジップロックなどの密封できる袋に調味液の材料をすべて入れて軽く混ぜます。
ここに聖護院かぶをつけて、空気を入れないように封をして、1~2日ほど置いたら完成です。
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本物?昔ながらの千枚漬けの作り方(乳酸発酵あり)
未発酵の千枚漬けももちろん本物ですが、江戸時代に作られていた昔ながらの千枚漬けは、乳酸発酵をさせた発酵食品でした。
お酢やみりんなどを使った調味液にもつけず、乳酸発酵のすっぱさとうま味が加わります。
京都で一般的に売られている千枚漬けとは違いますが、昔ながらのシンプルな味がする漬物になります。
材料
聖護院かぶ、もしくは普通のかぶ:1個
塩:かぶの約2%の重さの量
唐辛子 適量
昆布 適量
聖護院かぶの皮をむいて、スライスする
聖護院かぶの皮をむいて、スライスするところは、現代の千枚漬けと一緒です。
常温で酸味が出るまで発酵させる(乳酸発酵)
スライスした聖護院かぶと昆布、塩をジップロックなどの密封できる袋に入れて、常温に置いておきます。
冷蔵庫に入れると、なかなか発酵しないので、常温に放置してね。
夏と冬で発酵スピードは異なりますが、少しずつ袋の中に水分が溜まり、その水分の色が濁ってきます。
夏:1~2日
冬:4~6日
味見してみて、酸味とうま味を感じたら、食べごろです。
常温に放置するのをやめて、冷蔵庫に入れ、お好きなタイミングで食べましょう。
かぶの皮の有効利用法
かぶの皮をむいた時に、全部捨てちゃうのはもったいない気がする…
たしかに!特に無農薬野菜の場合は、皮もおいしく食べられます。
聖護院かぶの皮は、そのままだと若干苦味を感じることがあるため、千枚漬けをおいしく作りたい場合は、ちゃんとむくのがおすすめです。
しかし、皮は食べられないわけではないですし、逆に真ん中の部分より栄養価が高いとも言われています。
食物繊維:便秘を予防する、体内の老廃物を体外に排泄する
アントシアニン(赤かぶの場合):脂肪細胞の増殖を抑える
少し硬い&苦いというデメリットを除けば、食べるメリットは多く、無農薬野菜の場合はなおさらホールフードの観点からも食べるのがベストです。
かぶの皮の有効利用法としておすすめなのは、以下の方法です。
一つずつ見ていきましょう。
軽く干して、きんぴらにする
かぶの皮を軽く干して、きんぴらにすると、とてもおいしく食べられます。
かぶの苦味は、油でいためたり、炒め物として味付けすれば、まったく気にならなくなります。
特にきんぴらのような濃い味にアレンジするなら、まったく気になりません。
醤油、砂糖、とうがらしやごまなどと一緒に炒めて、おかずの1品に生まれ変わらせましょう。
和え物にする
かぶの皮は、和え物にしてもとてもおいしく食べられます。
特に、旬の時期が近く、栄養価が高い「柿」と合える食べ方がおすすめです。
かぶも柿も体を温める働きがあり、さらに柿には胃にたまった熱を鎮め、異常な食欲を抑える働きがあるため、ダイエット中にもおすすめできる食べ方です。
柿の働き
清熱潤肺:肺を潤し、便秘を改善する
生津止渇:胃にたまった熱を鎮め、異常な食欲を抑える
味噌汁やシチュー、カレーの具にする
かぶの皮は、味噌汁やシチュー、カレーの具にしてもとてもおいしく食べられます。
なぜなら、汁物に入れて煮込むことで、皮に含まれる苦みを感じにくくなるからです。
カレーはなんでも余り物を入れちゃえるという便利なメニューではありますねww
千枚漬けのおいしい食べ方
ご家庭で作った千枚漬けは、そのまま食べてももちろんおいしいですが、いろんなアレンジが可能です。
特に味の主張が強すぎず、塩味や酸味、うま味のバランスが良いので、魚介類や淡泊な味のお肉によく合います。
参考までにご紹介します。
スモークサーモンとサンドイッチにする
千枚漬けは、スモークサーモンとの相性がバツグンだと言われています。
【大根の千枚漬け・アレンジ】数日前に漬けておいた大根の千枚漬け柚子風味。スモークサーモンをくるくる巻いて。粗挽き黒胡椒ふってケッパーのせて頂きます。((・_・ )))モグモグ…
— しげちょ (@nagocyan9) December 9, 2013
御正月の御節に入れたいようなお味♡まいうー pic.twitter.com/TMtCaIFNdH
見た目もおしゃれで、野菜も食べられて、タンパク質も摂れるという最高の組み合わせです。
千枚漬けカルパッチョにする
さっぱりしているので、淡泊な海鮮ものととても相性がよい千枚漬け。
ぶりや鰆と合わせてカルパッチョ風にするのが、本物を知る京都では通の食べ方のようです。
これまた、おしゃれだなぁ…!おもてなし料理としても使えそうです。
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まとめ:千枚漬けの作り方を解説!本物(京都名物)の材料は?
千枚漬けは、江戸時代から伝わる日本の漬物で、以下の特徴を持っています。
江戸時代に食べられていた千枚漬けは、乳酸発酵している発酵食品でしたが、現代の老舗企業が作る千枚漬けは、通常は発酵していません。
調味液次第で味を自分好みに変えられ、アレンジもしやすいので、ご家庭でも作り置きしておきたい漬物のひとつです。
参考にしてみてね。
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参考文献
(※1)千枚漬け(せんまいづけ)|うちの郷土料理|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/semmaizuke_kyoto.html
(※2)千枚漬|JA京都
https://jakyoto.com/recipe/%E5%8D%83%E6%9E%9A%E6%BC%AC/