【この記事で解決できるお悩み】
・ロシアのサワークリーム「スメタナ」ってなに?
・ロシア人はなぜサワークリームを使うの?
・スメタナとサワークリームの違いは?
・スメタナのかんたんな作り方をおしえて!
この記事では、こんなお悩みを解決します!
ロシアの伝統料理に必ず添えられる、発酵調味料の「スメタナ」。
スメタナは、ボルシチなどのシチュー・スープ類にはもちろん、肉料理や魚料理にもよく使われ、ロシア風サワークリームと呼ばれることもあります。
見た目もほとんど同じスメタナとサワークリーム、果たして違いはなんなのでしょうか?
そこで今回は、スメタナとサワークリームの違いを徹底解説。
日本にいる私たちもかんたんに作れる作り方やアレンジレシピのアイデアも整理してみました。
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この記事を書いた人:
腸活研究家 長谷川ろみ
発酵食品にハマり、ダイエットなしで12㎏減。痩せたことをきっかけに腸を愛でる生活に目覚める。重度の便秘から解放され、腸活研究家として活動開始。今では発酵ライフ推進協会通信校校長を務め、昔の自分と同じ悩みを持つ方に向けて腸や菌のおもしろさを発信中。詳しくはこちら
スメタナってなに?
ロシア風サワークリーム「スメタナ」とは、いったいどんな調味料なのでしょうか?
詳しく見てみましょう。
ロシアで古くから使われるサワークリーム
スメタナは、20世紀前半ごろからロシアで愛されている、生クリームを発酵させた乳製品のことです。
スメタナ
=生クリームを発酵させた乳製品
発酵しているため、牛乳や生クリームなどと比べるとヨーグルトに似た酸味があり、ある程度保存もききます。
本場のロシアでは、日本のヨーグルトや牛乳などとは違い、スメタナだけを食べるということは少なく、マヨネーズのような調味料として使うことが多いようです。
用途的にはマヨネーズと似ているんだって!
サワークリーム・スメタナの歴史
サワークリーム・スメタナが誕生したのは、16世紀です。
最初はモンゴルで作られていた馬乳酒「クミス」がロシアに伝わり、ロシア料理に合う形に変化していったのだとか。
馬乳酒「クミス」
=馬乳を乳酸菌と酵母で発酵させたアルコール飲料
=酸味が強く、モンゴル~ロシアでよく飲まれている
日本国内でサワークリームが広まったのは、1960年代です。
乳製品の生産・販売を行う中沢フーズが、ロシアの伝統的な調味料のスメタナの作り方を譲り受けたことがきっかけだと言われています。
サワークリーム・スメタナの栄養
サワークリーム・スメタナの原材料は、生クリームや牛乳です。
生クリームや牛乳を発酵させて作るため、発酵の過程でアミノ酸などの有機酸やビタミン、ミネラルがたくさん作られます。
残念ながら、文部科学省の「日本食品標準成分表2020年版(八訂)(※1)」には、サワークリームの栄養価は収録されていません。
商品によって栄養価は変わりますが、ここでは中沢フーズさんの「中沢サワークリーム」の栄養価を確認してみましょう。
【中沢サワークリーム 100gあたり】
原材料:クリーム(国内製造)、牛乳、乳たんぱく
乳脂肪分:40.0%
無脂乳固形分:4.5%
サワークリーム | 比較用:生クリーム | |
---|---|---|
エネルギー(kcal) | 383 | 404 |
たんぱく質(g) | 2.2 | 1.9 |
脂質 (g) | 40.4 | 43.0 |
炭水化物(g) | 2.7 | 6.5 |
食塩相当量(g) | 0.06 | 0.1 |
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生クリームを発酵させたサワークリームは、タンパク質が増えているのが印象的ですね!
サワークリーム・スメタナを作る発酵菌
ロシアの有名なヨーグルトと言えば、カスピ海ヨーグルトがあります。
カスピ海ヨーグルト
=乳酸菌「クレモリス菌FC株」が生み出したねばりが強いヨーグルト
=ヨーロッパ東部のコーカサス地方やロシアなどで食される
=整腸作用が高く、腸のぜん動運動を促す効果がある
ロシアに古くから伝わる伝統的なスメタナは、カスピ海ヨーグルトと同じクレモリス菌を使って発酵させています。
そのため、ロシアで食べるスメタナは、脂肪分がそんなに高くなくても口当たりがまったりしていて、酸味も強くないという特徴があります。
原材料が同じ生クリームや牛乳でも、発酵させる菌によって、味や口当たりが大きく変わるのがおもしろいですね。
ロシア人はなぜサワークリームを使うの?
サワークリームやスメタナは、たしかに料理をマイルドに整えてくれるおいしい調味料です。
しかし、ロシア人はわたしたちからみると異常なくらいなんにでもサワークリームを使います。
日本人も味噌や醤油を使い過ぎと言われたら、確かにそうなんだけど…笑
ロシア人がサワークリーム・スメタナをよく使うのには、理由があります。
ひとつずつ見ていきましょう。
栄養不足を補うため
サワークリーム・スメタナは、農作物がなかなか取れない寒冷地方の貴重な栄養源だったためです。
今でこそ、流通経路が発達し、栄養不足に陥ることは少なくなりました。
しかし、もともとロシアは自国で農作物を十分に育てることができず、栄養不足に陥ることがおおかったのだとか。
そんな時、ロシアでよく取れた乳製品を使って、クレモリス菌の発酵で栄養価を追加したのがはじまりです。
栄養価が高く、保存もきくサワークリーム・スメタナは、当時のロシア人にとっては救世主だったのです。
日本では、よく取れた大豆と麹菌を使って味噌を作って、栄養不足を補っていました。…スメタナは、日本の味噌と似ているよね。
ロシア人は辛い物が苦手!味を柔らかくするため
ロシア料理には、歴史的にあまり辛いものを食べる習慣がないようです。
辛みの強い生の玉ねぎや香菜を使うことはありますが、唐辛子やコショウ、カレー粉に使うチリスパイス・クミンなど、特に辛みの強いスパイスを使うことは少ないのだとか。
理由は不明だけど、もともと寒い国であるため、抗菌作用があるスパイスを必要としなかったなどの説もあるらしい…
そのため、辛みのある料理をどうしても食べないといけない時には、サワークリーム・スメタナやマヨネーズを入れて、味をマイルドにして整えようとする人も多いようです。
冷蔵庫には必ず、サワークリーム・スメタナが入っているんだって。
マヨネーズより健康的なため?!
ロシア人は、マヨネーズもよく使います。
しかし、マヨネーズは脂質が多く、大量に料理にかけるのは好ましくないという印象があるようです。
そこで、マヨネーズの代用品として、使いやすいのがサワークリーム・スメタナというわけ。
サワークリーム | 生クリーム | ヨーグルト | マヨネーズ | |
---|---|---|---|---|
エネルギー(kcal) | 383 | 404 | 56 | 668 |
たんぱく質(g) | 2.2 | 1.9 | 3.6 | 1.4 |
脂質(g) | 40.4 | 43.0 | 3.0 | 76.0 |
炭水化物(g) | 2.7 | 6.5 | 4.9 | 3.6 |
食塩相当量(g) | 0.06 | 0.1 | 0.1 | 1.9 |
マヨネーズのエネルギーはサワークリームのエネルギーの2倍もあるぞ…たしかにダイエット時は危険だぁ…。
スメタナとサワークリームの違い
スメタナとサワークリームは、とても似ています。
というか・・・サワークリームの中にロシアの伝統的な作り方で作ったサワークリーム「スメタナ」があるって考えるほうが正しいかも…
しかし、スメタナには一般的なサワークリームとは異なる特徴があります。
一つずつ見ていきましょう。
乳脂肪分が少なめ
スメタナは、一般的なサワークリームと比較すると、乳脂肪分が少なめです。
スメタナの乳脂肪分は、ものによって大きく異なるので、すべて乳脂肪分が少ないわけではないのですが、少ないものが多いと言われています。
日本の市販の「サワークリーム」:乳脂肪分40%程度
ロシアの伝統的な発酵調味料「スメタナ」:乳脂肪分20~40%程度
日本で食べることができる市販のサワークリームの乳脂肪分は、40%程度です。
しかし、ロシアの発酵調味料であるスメタナは、少しやわらかくふわふわしている印象で、クリームっぽさがあると形容されることが多いようです。
乳酸菌はクレモリス菌を使っている
本場ロシアで作られるスメタナは、その製造過程で使われる乳酸菌として、クレモリス菌を使うのが一般的です。
クレモリス菌は、カスピ海ヨーグルトに使われる菌。
ねばりが出やすく、まったりとした口当たりを作るので、原材料の乳脂肪が低くても、固めでコクがあるサワークリームを作ることができます。
日本でサワークリームを作ろうとすると、ヨーグルトに牛乳を混ぜることが多いので、ヨーグルトの菌によって風味が変わる可能性があります。
味が違う(コクがある)
スメタナは、一般的なサワークリームと比較すると、コクを強く感じるものが多いと言われています。
日本で買うことができるサワークリームや、家で類似品を作ろうとすると、ヨーグルトを使うことも多いので、風味がヨーグルトに似てさっぱりしているものが多いです。
ロシアの伝統的な作り方で作ったスメタナは、ヨーグルトよりも生クリームに近いコクを強く感じるものが多いようです。
クリームの固さ・使い方が違う
スメタナは、一般的なサワークリームと比較すると、乳脂肪分は少ないです。
しかし、クレモリス菌のおかげで、はっきりと形づくられる固さがあるものが多いです。
やわらかいスープやシチューに入れても簡単に分離することはないですし、チップスやパン、クラッカーなどに乗せてもだらだら流れることはなく、しっかりと形ができます。
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ロシアのサワークリーム・スメタナを家でつくる方法・レシピ
ロシアの伝統的なサワークリームのスメタナと全く同じものを日本で作るのは、少し難しいかもしれません。
でも、日本に住んでいる人でも、超簡単にスメタナもどきを作ることができます。
整理してみましょう。
材料
ヨーグルト 30g
生クリーム 90g
※ヨーグルトは無糖を使用します。
※生クリームはホイップクリームでも代用できます。
作り方
1:生クリームとヨーグルトを3:1の割合で混ぜる
2:冷蔵庫で冷やし、固める
ヨーグルトを使うと、スメタナ独特の酸味を作ることができるので簡単に作れます。
おいしくなるコツ
ただし、この作り方だとヨーグルトの種類によっては、出来上がり品の水分量が多くなりがちです。
口当たりが固めのスメタナもどきが作りたい場合は、ヨーグルトを水切りしてから使うのがおすすめです。
自分が作りたい料理に合わせて、アレンジを加えてみてください。
ロシアのサワークリーム・スメタナのアレンジレシピアイデア
ロシアのサワークリーム・スメタナもどきは、スメタナと同じような効果を狙って使うことができます。
ひとつずつ見ていきましょう。
サワークリームポテトサラダ
サワークリーム・スメタナもどきは、マヨネーズの代用品として使うことができます。
マヨネーズは油と卵でできていますが、サワークリームは乳製品なので卵アレルギーの人でも食べられたり、油の摂取を減らすこともできます。
さい。
ダイエットの時に、マヨネーズがどうしても食べたい!と思ったらスメタナもどきの出番です。
サワークリームディップ
サワークリームは、どんな調味料にも合いやすく、味を柔らかくしてくれるという特徴があります。
そのため、少し塩味や旨味が強い、明太子や味噌、チリソースなどを加えるだけで個性的なディップが完成します。
海苔にスメタナもどきを使ったサワークリームディップをつけて食べると、よいダイエットおやつになるよ。
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まとめ:スメタナとサワークリームの違いは?かんたんな作り方
ロシア風サワークリーム「スメタナ」は、ロシアの伝統的な発酵調味料です。
日本でいう味噌のように、身近にある食材と発酵菌のちからを借りて、栄養不足を補ってきた影の立役者ともいえるでしょう。
注目なのは、カスピ海ヨーグルトに使われる菌「クレモリス菌」を使っているところ。
クレモリス菌のおかげで、乳脂肪分を増やさずに、コクがあり酸味が弱めのまろやかなサワークリーム「スメタナ」を作ることができています。
日本で一般的に使われるサワークリームと比較すると、以下のような違いがあります。
厳密にいえば全く同じものを作るのは難しいですが、ロシア風の料理っぽくする程度でよければ、ヨーグルトや生クリームで類似品を作ることができます。
参考にしてみてね。
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参考文献
(※1)日本食品標準成分表2020年版(八訂)|文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html
(※2)中沢サワークリーム(90ml)|中沢フーズ
https://www.nakazawa.co.jp/product/detail/1175