今回は、こんな疑問にお答えします。
・水道水が飲める県という意味では、日本の水道水は国の水質管理ルールが徹底していて、どの都道府県でも安全に飲める
・しかし、そのおいしさは都道府県ごとに異なり、個別の理由がある
日本は世界でも有数の「水道水がおいしく飲める国」です。
日本が「水道水がおいしく飲める国」である理由は、厚生労働省が日本の水道水を守り、管理するための安全検査項目を51種類も掲げ、徹底管理しているから。
でも、それだけではありません。
日本の水道水は都道府県によって、そのおいしさが違います。
安全性には問題がないものの、地域によって、おいしく飲める水道水とちょっと微妙な水道水があるんです。
今回は、水道水が飲める都道府県ランキングを例に出し、水道水が飲める条件や理由を徹底解剖!
そして、水道水が飲めない時の対策法もご紹介します。
水道水が飲める都道府県ランキングを紹介!
それでは早速、2021年にマーケティング調査会社の株式会社キュービックが3,497名を対象に行った「地域別の水道水に対する意識調査(※1)」をご紹介しましょう。
この調査では水道水が飲める都道府県はどこなのか、実際に各都道府県の移住者の方々の認識が分かります。
ランキング➀ 水道水が飲めると感じる人が多い都道府県は?
自分が住んでいる地域の水道水をおいしいと感じている人が最も多い都道府県を調査したところ、1位は富山県でした。
住んでいる地域の水道水をおいしいと感じている人が最も多い都道府県のベスト5は以下の通りです。
2位:熊本県
3位:鳥取県
4位:岐阜県
5位:青森県
ランキング➁ 水道水が飲めると感じる人が少ない都道府県は?
一方、自分が住んでいる地域の水道水をおいしいと感じている人が最も少ない都道府県を調査したところ、1位は沖縄県でした。
住んでいる地域の水道水をおいしいと感じている人が最も少ない都道府県のワースト5は以下の通りです。
44位:大阪府
45位:千葉県
46位:東京都
47位:沖縄県
ランキング➂ 水道水を飲むことに抵抗がない人が多い都道府県は?
今度はおいしいかどうかは関係なく「水道水は飲める」と思っている人が多いかどうかを調べるランキングです。
この調査では、水道水を飲むことに抵抗がない人が多い都道府県の1位は北海道と秋田県でした。
水道水を飲むことに抵抗がない人が多い都道府県のベスト5は以下の通りです。
1位:秋田県 66.67%
3位:鳥取県 65.67%
4位:長野県 65.22%
5位:青森県 62.69%
ランキング➃ 水道水を飲むことに抵抗がある人が多い都道府県は?
一方、「水道水は飲めない」と思っている人が多い都道府県の1位は沖縄県でした。
水道水を飲むことに抵抗がある人が多い都道府県のワースト5は以下の通りです。
44位:香川県 28.36%
45位:大阪府 27.84%
46位:福岡県 27.59%
47位:沖縄県 27.14%
ランキング➄ 水道水を飲んでいる人が多い都道府県は?
最後のランキングは、実際に水道水を飲み水として飲んでいる人の割合をランキングにしています。
ここでは北海道と長野県が1位になりました。
水道水を飲んでいる人が多い都道府県のベスト5は以下の通りです。
1位:長野県 76.81%
3位:鳥取県 76.12%
4位:山梨県 75.71%
5位:宮城県 74.65%
ランキング➅ 水道水を飲んでいる人が少ない都道府県は?
一方、実際に水道水を飲み水として飲んでいる人が少ない都道府県は、ここでも堂々のワースト1位は沖縄県でした。
水道水を飲んでいる人が少ない都道府県のベスト5は以下の通りです。
44位:福岡県 51.72%
45位:和歌山県 50.72%
46位:兵庫県 50.62%
47位:沖縄県 30.00%
水道水のおいしさの条件と理由
水道水が飲める・飲めないの判断は都道府県ごとに大きく違い、地域差があることがわかりました。
それでは一般的にわたしたちはどんな水道水をおいしいと感じ、どんな水道水のことをマズいと感じるのでしょうか?
厚生労働省が「おいしい水研究会」を発足させて策定した「おいしい水の要件」には以下の7項目があります。
条件➁ 硬度
条件➂ 水温
条件④ 臭気強度
条件➄ 蒸発残留物
条件➅ 過マンガン酸カリウム消費量
条件➆ 遊離炭酸
一つずつ見ていきましょう。
条件と理由➀ 残留塩素
水道水のおいしさの条件の1つ目は「残留塩素」です。
塩素は安心・安全な水道水の共有に必要不可欠なものです。
昔は水道水を塩素で消毒する工程がなかったので、汚染された水が原因の消化器系伝染病「コレラ」や「チフス」が大流行しました。
日本の水道水は塩素によって消毒され、飲み水として供給されているからこそ、安心なのです。
そのため、必ず塩素を使用することが義務づけられており、水道法では残留塩素0.1mg/L以上残るように塩素を添加する必要があります。
しかし、この消毒のための塩素が多すぎると、カルキ臭と呼ばれるイヤなにおいが発生します。
水道水が飲める・おいしいと判断される基準は「残留塩素:0.4mg/L以下」だと言われています。
各都道府県の水道局は、残留塩素を0.1mg/L以上残しながら、なるべく0.4mg/L以下に抑えることを目標にしています。
条件と理由➁ 硬度
水道水のおいしさの条件の2つ目は「硬度」です。
硬度は、水道水に含まれるミネラルのうち、カルシウムとマグネシウムの総量を指しています。
健康や美容のために水道水を飲むのであれば、カルシウムやマグネシウムが多く採れるミネラルの多い(=硬度が高い)硬水を飲んだほうが良いのですが、硬度が高すぎると、口当たりが重く、美味しく感じないというデメリットがあります。
特にマグネシウムには苦みがあり「硬度が高い水は苦い」と認識されることも多くなります。
日本の水道水はほとんどが軟水なので、中硬度程度でも違和感を感じる人は多く、硬度10~100mg/Lぐらいの軟水が好まれます。
硬度は日本国内でも都道府県別に異なります。
東京大学が日本全国の水道水の硬度を測ったところ(※2)、関東全域や九州、沖縄県は硬度が高めであることがわかりました。
また同じ東京大学の調査によると、世界的に硬度を測ってみると日本の硬度の低さはとても珍しく、ヨーロッパやアフリカでは、ミネラルがたっぷり含まれた硬度の高い水道水が飲まれていることがわかりました。
条件と理由➂ 水温
水道水のおいしさの条件の3つ目は「水温」です。
実は温度も水道水のおいしさに大きく関係します。
水温が高いと水道水はおいしくないと認識されることが多く、大体20℃以下がおいしく飲める水の適温です。
条件と理由➃ 臭気強度
水道水のおいしさの条件の4つ目は「臭気強度」です。
残留塩素、硬度、水温が3大水道水のおいしさの条件だとしたら、次に気になるのは臭いの強さです。
臭いは残留塩素の多さとも関連が深いですが、それ以外にも各都道府県の水源の状況によっては独特な臭いがつくことがあります。
条件と理由⑤ 蒸発残留物
水道水のおいしさの条件の5つ目は「蒸発残留物」です。
ここで言う蒸発残留物は、塩素以外のものを指します。
水が蒸発した後に残る物質で、主な成分はミネラルです。カルシウム、マグネシウム、シリカ、ナトリウム、カリウム、バナジウムなどの有機物で、基本的には害があるものではありません。
条件と理由⑥ 過マンガン酸カリウム
水道水のおいしさの条件の6つ目は「過マンガン酸カリウム」です。
水道水のおいしさを測る際に、過マンガン酸カリウム消費量を計測することがあります。
これは水道水中に含まれる酸化されやすい物質によって消費される過マンガン酸カリウムの量で、水道水がし尿等で汚染されていればいるほど多くなります。
水道水の過マンガン酸カリウム消費量の基準値は、10mg/L以下です。
プール水:12mg/L以下
浴槽水:25mg/L以下
引用:厚生労働省健康局長通知による
条件と理由➆ 遊離炭酸
水道水のおいしさの条件の7つ目は「遊離炭酸」です。
遊離炭酸とは、水に溶けている炭酸ガスの量のことで、地下水には多く含まれています。
適度な量であれば水がさわやかになり、おいしさを感じられますが、多すぎるとまろやかさが失われ、逆においしくないと感じやすくなります。
厚生省生活衛生局水道環境部の「おいしい水研究会」の定義では、おいしさの基準値は20mg/L以下です。
水道水が飲める・飲めない理由の考察(都道府県別)
水道水のおいしさの条件を踏まえて、水道水が飲める都道府県の考察をしてみると、ランキングに納得ができます。
水道水が飲める県➀ 北海道
水道水を飲んでいる人が多い都道府県の1位に君臨していた北海道。
日本でも一番北に位置する都道府県で気温が寒いのが特徴です。また、東京大学の硬度調査の結果を見ても、硬度は低めで水道水を飲んでいる人が多い理由がわかります。
そして、もう一つ気になるのが残留塩素です。
水道水が飲めると判断するおいしい水の残留塩素の条件は0.4mg/L以下でしたが、札幌市水道局が発表している「令和3年(2021年)4月の水質検査結果」(※3)によると、平均値が0.4mg/L~0.5mg/L代に収まっていることがわかりました。
条件➀ 残留塩素 〇
条件➁ 硬度 〇
条件➂ 水温 〇
水道水が飲める県➁ 長野県
北海道と同じく、「水道水を飲んでいる人が多い都道府県」の1位に君臨していた長野県。
長野県は「水道水を飲むことに抵抗がない人が多い都道府県」にもランクインしていました。
長野県おいしい水の要件と各浄水場の水質(令和元年度結果)(※4)によると、なんとおいしい水道水の条件をすべてクリアしていることがわかりました。
条件➁ 硬度 〇
条件➂ 水温 〇
条件④ 臭気強度 〇
条件➄ 蒸発残留物 〇
条件➅ 過マンガン酸カリウム消費量 〇
条件➆ 遊離炭酸 〇
長野県の水源はすべて北アルプスの山で自然にろ過された「湧水」です。
もちろん水道法による塩素消毒は行っていますが、最低限の消毒で問題なく飲める水になるとのこと。
他の都道府県では地下水やダム、河川から流れる水を使っていますが、湧き水を使える地域は数えるほどしかありません。
水道水が飲める県➂ 鳥取県
「水道水を飲むことに抵抗がない人が多い都道府県」と「水道水を飲んでいる人が多い都道府県」の両方で3位に位置する鳥取県。
ちょっと意外な感じがしませんか?
実は鳥取県は、最低限の塩素消毒だけで十分に飲み水が作れる県なのです。
なぜなら、鳥取県の水道水はその多くが井戸水や伏流水だから。
=河川水が川底の砂利層により自然に浄化された水のこと
日本の水道水源はその半分近くがダム湖水(47.3%)で、その次に河川水、湖沼水と続きます。約7割が地表水で、残りの3割が伏流水です。(※5)
しかし、鳥取県は約9割が地下水源です。
伏流水:34.4%
浅井戸:31.0%
深井戸:31.2%
鳥取県のように豊富な地下水源がある場合は、比較的軽度の消毒で済むため、水道水が作りやすくなり、おいしい水道水が提供できます。
水道水が飲めない県➀ 沖縄県
全ての水道水ランキングでワースト1をとった沖縄県。
水道水を飲むことに抵抗がある人が多い都道府県:1位
水道水を飲んでいる人が少ない都道府県:1位
特に「水道水を飲んでいる人が少ない都道府県」では、他の都道府県が50%程度は飲んでいるのに対し、30%と圧倒的に少ないのが気になります。
この大きな理由は、やはり硬度の高さです。
同じ沖縄県でも特に北谷浄水場の水は硬度が高いことで有名です。
嘉手納井戸群や中部河川などを水源としているこの地域は、水質基準の300mg/L以下は満たしていますが、通常140~180mg/L程度で推移している中硬水と言っても過言ではありません。
沖縄では、平成15年度に硬度低減化施設を作るなどして、硬度を下げる取り組みを行っており、それによって水道水も飲みやすく変化しているようです。
水道水が飲めない県➁ 東京都
「水道水をおいしいと感じている人が最も少ない都道府県」のワースト2位に輝いてしまった東京都。
東京都はどうしてもマンションや高層ビルが多く、水の管理や法律の整備とは別に貯水タンクの管理の問題が出てきます。
もちろんきちんと管理はされているところが大半ですが、マンション設備の場合は個々の家庭ではできない管理が必要となり、水道管やタンクの劣化が美味しくない水を作り出す可能性も高そうです。
また、東京都は気軽に飲料水を買うことができるサービスも整っているため、水道管やタンクの管理が行き届いているか確認するよりは、別途飲料水を確保することのほうを重要視している人も多そうです。
日本の水道水はおいしくて安全な理由
日本では水道水が飲めるのは当たり前ですが、世界的に見ると数か国しか存在しないと言われています。
日本でも昔は管理体制や法整備がなかったために、水道水が原因の感染症にかかることも少なくありませんでした。
今の水道設備が普及する前の1950年代までは、汚染された水が原因で起こる消化器系伝染病「コレラ」や「チフス」が大流行し、患者が10万人を超えていたのは有名な話です。
日本の水道水の水質安全検査項目は51種類
厚生労働省が設定している水道水の安全検査項目は51種類もあり、これは世界でもかなり厳しいものです。
また、水道法第22条では水道水は必ず塩素によって微生物の消毒をすることが義務付けられていて、遊離残留塩素を0.1mg/L以上保持することも決められています。
トリハロメタン:0.1mg/L以下
細かいルールや目標設定が各都道府県によって異なることはありますが、水道法による安全検査項目や遊離残留塩素量については、どの都道府県でも同じルールを守っているため、日本ではどこに住んでいても安全で安定的な水道水を飲むことができます。
古い&管理不足のマンションの水道水はまずいという意見も
国や県が管理する水道局は、水道管の整備洗浄も定期的に行っています。
しかし、家庭内の配管は範囲外のため古いマンション・小規模なマンションなどの管理状況によっては水道水のトラブルが発生することもあり得ます。
厚生労働大臣から認可をうけた事業者が点検・清掃をする
※しかし、有効容量が10t以下の貯水タンクの場合は所有者に任せられる
水道水が飲めない時の対策法
日本の水道水は、基本的には安心・安全に提供されています。
しかし、何かしらのトラブルがあったり、都道府県別に硬度や残留塩素の量に差があるのも事実です。
水道水の質が気になる時は以下のような対策を採るのもひとつの手です。
対策法➀ 水道水を加工する(煮沸・汲み置き・レモン水)
水道水の塩素臭を軽減し、飲みやすくするためには以下の3つの方法があります。
水道水を10分~20分ほど煮沸することでカルキが抜ける
➁汲み置き
水道水を一晩汲み置きすることでカルキが抜ける
➂レモン水にする
水道水にレモン汁を入れると、ビタミンCが還元反応を起こして塩素を中和してくれる
対策法➁ 浄水器を使う
塩素抜きはお手軽な方法ですが、多少時間と手間がかかります。
その手間をかけたくない方は、浄水器を設置するのもおすすめです。
浄水器はフィルター交換や清掃など定期的なメンテナンスを怠らないようにしましょう。
対策法➂ ウォーターサーバーを導入する
浄水器はフィルター交換や清掃が手間に感じる方は、ウォーターサーバーを導入するのもおすすめです。
ウォーターサーバーであれば、好きな硬度・好きな産地のお水が定期的に届きます。
特に健康や美容のために、自分にあった飲料水を選びたい方におすすめです。
まとめ ~水道水が飲める県とその理由~
水道水が飲める県ランキングは以下の通りです。
▼ベスト5
1位:富山県
2位:熊本県
3位:鳥取県
4位:岐阜県
5位:青森県
▼ワースト5
43位:埼玉県
44位:大阪府
45位:千葉県
46位:東京都
47位:沖縄県
▼ベスト5
1位:北海道 66.67%
1位:秋田県 66.67%
3位:鳥取県 65.67%
4位:長野県 65.22%
5位:青森県 62.69%
▼ワースト5
43位:長崎県 29.58%
44位:香川県 28.36%
45位:大阪府 27.84%
46位:福岡県 27.59%
47位:沖縄県 27.14%
▼ベスト5
1位:北海道 77.11%
1位:長野県 76.81%
3位:鳥取県 76.12%
4位:山梨県 75.71%
5位:宮城県 74.65%
▼ワースト5
43位:宮崎県 54.41%
44位:福岡県 51.72%
45位:和歌山県 50.72%
46位:兵庫県 50.62%
47位:沖縄県 30.00%
厚生労働省が「おいしい水研究会」を発足させて策定した「おいしい水の要件」には以下の7項目があります。
ランキングベスト5に入っている都道府県の水道水は、以下の条件項目の結果がかなり良いことが分かりました。
条件➁ 硬度
条件➂ 水温
条件④ 臭気強度
条件➄ 蒸発残留物
条件➅ 過マンガン酸カリウム消費量
条件➆ 遊離炭酸
自分が住んでいる都道府県の水道水の質が良くないと思ったら、以下の対策をとるのもおすすめです。
対策法➁ 浄水器を使う
対策法➂ ウォーターサーバーを導入する
参考にしてみてね。
参考文献
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000012817.html
https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/news/topics/files/20210629watanabe_horisoubun01.pdf
https://www.city.sapporo.jp/suido/overview/suishitu/result/index.html
https://www.pref.nagano.lg.jp/uedasui/suishitsu/oishimizu.html
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/suigen/topic/09.html
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